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実乃梨「バレンタインか…」


2月13日

竜児「だああああ違う!そうじゃねぇだろ!」

大河「うっさい!黙って見てろおせっか犬!」マゼマゼ

ああぁああぁうぅ…もっと、もっと切るように混ぜないと
空気が、気泡があああ!
竜児は声にならない叫びを心であげていた





2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 01:26:56.08 ID:oeMttaluO
大河「よっしゃあ!完成よ!」

竜児「…」

大河「…な、何よその目は」

こ、これがティラミス…だと?馬鹿な、こんな暗黒物質はこの世に存在していけない

大河「し、心配しなくたってちゃんとアンタの分もあるわよ…そっちのにはⅠミリたりとも愛とか感謝みたいな感情なんて入れてないけど」

竜児「お、おう…サンキューな…」

大河の奴…余計な気をきかせやがって…

大河「ほれ」

竜児「…へ?」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 01:30:30.61 ID:oeMttaluO
そのスプーンの上の物質がそうなのか?
トレイの内側にこびりついてたやつだよなそれ…

大河「手がだるい!早く食らえ馬鹿犬!」

竜児「…あむ…!!!」


美味い…
馬鹿な、何故だ何故だ何故だ!美味くなる要素があの手順のどこにあったんだ!?

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/15(月) 01:33:35.76 ID:oeMttaluO
大河「…どう?」

竜児「おう!美味いぞ大河!すげー…本当にすごいぞ大河!これなら北村だってイチコロだ!」

大河「本当!?北村君が…い、イチコロ…へ、へへへ」

まあ、要領はともかく、一生懸命つくってたもんな
頑張れよ大河!

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/15(月) 01:44:19.37 ID:oeMttaluO
実乃梨「うーんうーん」スタスタ

そのころ実乃梨はとあるデパートにいた

実乃梨「う…うーん??」

チョコ売り場の前でピタリと停止、そのまま右向け右で手近にある
かわいらしいピンク色の包装紙に包まれた箱を一つ手に取る

実乃梨「む、むむむむむ…無理だぜよー!」

スパーンと、手にした箱をまた戻す
そしてそのまま左向け左、すたすたとまるで競歩の様に立ち去る

と見せかけて回れ右をしてまた売り場の前で立ち止まる


これで12回目ね…
売り子の若い女性はそんな事を考えていた

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 01:48:57.71 ID:oeMttaluO
実乃梨「…」

自宅に帰った実乃梨はそのままベッドへダイブ

実乃梨「気軽に、そうこれは日頃の感謝の気持ちなのだよ実乃梨君…」

逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ逃げちゃ駄目だ…

ぶつぶつと高速で呟く実乃梨の手には先程の箱が握られていた



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 01:57:21.68 ID:oeMttaluO
2月14日

大河「ふぁ~あ」

竜児「なんだよ大河、まさか緊張で一睡もしてねぇとか小学生みたいな事言うんじゃ」

大河「…」カアア

竜児「…大丈夫なのか?いいか!ちゃんと渡すんだぞ?」

大河「わわわわかって、いるわよいちいちうるさいわね…」

大河「あ!みーのりーーん!」



10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 02:05:14.96 ID:oeMttaluO
実乃梨「大河~おっはよ!…た、高須くんも!おはよ~…ごぜーます」///

竜児「お、おはよう」

大河「みのりん!今日はなんの日かわかってる?バレンタインだよ、バレンタイン!」

実乃梨「も!もっちろんだよ!ほら!」ジャラ

大河「それ…チョコベビー?」

実乃梨「そ!…く、喰らえぃっ!」ドバァ!

大河「うわ痛たた」ピシピシ

竜児「ちょ、櫛枝?」ピシピシ

大河「…消えた」

竜児「忍者かよ…」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/15(月) 10:27:36.28 ID:oeMttaluO
大河「どうしちゃったんだろみのりん、顔赤かったし熱でもあるのかな…

竜児「ていうか、あれが櫛枝からの…はぁ~」

大河「おら!扉の前に突っ立ってんな!さっさと開けな」

竜児「おう」ガラガラ

大河「フン」スタスタ

竜児「あ、おい大河!まだチョコがつむじについてるぞ」

大河「うええっ!?取って取って!」

竜児「動くなって」ヒョイ

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/15(月) 10:37:15.76 ID:oeMttaluO
実乃梨「!…」ズーン


亜美「ちょっと、そこどいてくれない?超邪魔なんですけど」

大河「あ、ばかちーおはよ」

竜児「おう、すまねぇ…ん?」

亜美「あ、そーだ、はい高須くんまあ義理だけどすっげぇ義理だけど!…この前のお礼だと思ってくれていいわ」スッ

竜児「お、おう…ありがとう」テレテレ

亜美「フ、フン!」スタスタ


実乃梨「!!!…」ズズーン

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/15(月) 10:43:14.05 ID:oeMttaluO
実乃梨「…」ガタン、フラフラ
亜美「あ、実乃梨ちゃんおはよ~…ってどうしたのその顔!」

実乃梨「な、なんでもござらん…あーみんちょっといいすか」

亜美「?」

自販機前

亜美「…」

実乃梨「どうか!どうかこの私めに!チョコを気軽に渡すテクニックを授けて頂きたい!」ガバア

亜美「わ、わかったからちょっと!…面をあげろって」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/15(月) 10:47:58.47 ID:oeMttaluO
亜美「ふ~ん高須くんにねぇ」

実乃梨「う…うん」

亜美「実乃梨ちゃんでも緊張とかするんだね~マジで意外」

実乃梨「あんましさ…こうゆうの慣れてないってかさ…初めてなんだよね」

亜美「へぇ!…でもそれって義理なんでしょ?」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/15(月) 10:52:07.22 ID:oeMttaluO
実乃梨「義理…と言いますか何といいますか…」

亜美「…じゃ、本命なんだ?」

実乃梨「そそそそんな!…いや…うぅ…」

亜美「…(あの実乃梨ちゃんがこんなに乙女に…高須くんも罪な男ね…)」



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 11:04:02.64 ID:oeMttaluO
教室

実乃梨「すーはーすーはーふぅーひっひっふぅーひっひっ」ズンズンズンズン

実乃梨「た、たたかたたかたた…たきゃすきゅん!(さりげなくさりげなく、あ~らよッ出前一丁)」ズンズンズンズン

竜児「く、櫛枝!?…あ、今朝はその…ありがとな」ポリポリ

実乃梨「へ?今朝って?」

竜児「え、いやだから……チョコ(ベビー)」

実乃梨「!…わ~お、いっいいって事よ!」




実乃梨「…」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 11:11:40.86 ID:oeMttaluO
亜美「でも、麻耶ちゃんわさ…って実乃梨ちゃん!」

麻耶「どうしたの櫛枝!?」

実乃梨「燃え尽きたぜ…真っ白にな…」フラフラ…ガクーン

麻耶「あの櫛枝が片ヒザをッ…」

亜美「ちょっと、チョコはちゃんと渡せたの?」ヒソヒソ

実乃梨「…」フルフル

亜美「はあ何やってんだか…」

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 11:15:21.34 ID:oeMttaluO
亜美「あ…2時間目体育だっけ、そうだ!…ごにょごにょ」

実乃梨「!…あーみん」

亜美「てゆーかなんで亜美ちゃんがこんなに頑張ってんだろ」

実乃梨「あーーみーん」ガバ スリスリ

亜美「…はあ」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/15(月) 17:40:53.10 ID:oeMttaluO
竜児「いくぞ大河!」

大河「おっしゃこーい!」

体育はバスケ
今はペア練習の時間

実乃梨「いいなあ大河…ぐはっ」ボム

亜美「ちょ!なによそ見してんのよ馬鹿…うわ鼻血…引くわ」

実乃梨「鼻血は心の汗だよ!…でも、どうすっぺ…あーみんティッシュない?」

亜美「ちょっと待ってな…」



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 17:46:19.42 ID:oeMttaluO
実乃梨「は~あなーにやってんだあ私…」ボタボタ


大河「おるあ死ねぇ馬鹿犬!」ゴォ

竜児「おいどこ投げてんだよ!」

コロコロ…トン

実乃梨「ん…ボール」

竜児「あ、わ、悪い櫛枝大河の馬鹿がっておわあ!!」

実乃梨「へ?」ボタボタ



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 17:51:38.79 ID:oeMttaluO
大河「み、みのりん!ごめん大丈夫!?」

実乃梨「え?ああ…大丈夫大丈夫!」

竜児「いや、すげえ鼻血出てんじゃん…あ、これ使うか?ティッシュじゃなくて申し訳ないが」

大河「た、高須棒ってアンタ…」

実乃梨「あ、ありがと…」スッ

大河「竜児!さっさとみのりんを保健室まで連れて行きなさいよね」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 17:58:58.75 ID:oeMttaluO
竜児「お、おう…ほら立てるか櫛枝」スッ

差し延べられた竜児の手を実乃梨は凝視、そーっと自分の右手をのばす
が、血だらけのそれをみて慌てて引き戻す

実乃梨「だっ大丈夫…いいよ一人で!ほ、ほら!血が付いちゃうしおぅふ…」フラフラ

やべ…血が足りぬ

竜児「何いってんだ全然大丈夫じゃねぇじゃねーか」グイ

実乃梨「~っ!!!」



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 18:07:30.20 ID:oeMttaluO
実乃梨「かぁ~~っくほぉ~~
血が!マイブラッドが!高須くんのあちこちにぃ~っ」

竜児「おう!?暴れるなって落ちるっ落ちるから!」

竜児の背中の上で実乃梨はジタバタと動き回る
器用にも両手話で体を後方にのけ反るようにしている実乃梨
当然、血が付いてしまわないようにしてくれているのだろうが
想像していたおんぶ、背中で感じる実乃梨の体温、柔らかさ
そういったものが惜しくない訳がなかった




50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 18:19:30.47 ID:oeMttaluO
竜児「別に血ぐらい大丈夫だって、ちゃんと手順を踏めば落ちるんだから」

実乃梨「いやあ!そうゆう問題じゃないのだよ!…っとっとっとぉ!」

動揺してバランスを崩す
竜児「あ、こら暴れるな!」

後に倒れそうになる実乃梨と竜児
実乃梨は意を決して

実乃梨「ごめん高須くん!」ガシィ

竜児の両肩の上で腕を巻き付けるようにしがみつく

竜児「っ…」

竜児の耳が赤く染まる
実乃梨もそれを見て顔を染める
きゅうううっと目を閉じて回していた両腕に力を込める

実乃梨「…(た、高須君!一瞬だけだから、我慢してくんな)」カアア

勿論、実乃梨は気付いていない
竜児の顔が赤黒く、しばらくして青く変わり
口の端から泡を吹いていることに

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 18:55:59.11 ID:oeMttaluO
実乃梨「あうー…」

実乃梨は鼻にティッシュを捩込みベッドに座っていた
その傍らには竜児、良からぬ事を考えながら実乃梨を睨み付けているのではなく、ただ単純に好きな女子を心配していた

実乃梨「高須くん…もういってくれよ、大河も待ってるだろーしさ」

竜児「おう…そーだな」スッ

実乃梨「…っ」

何かを言いかけて飲み込むように拳を口に当てる
竜児「じゃ、無理はするなよ?」



62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 21:50:16.01 ID:oeMttaluO
うぎゃー今!今のチャンスだったのにこの櫛枝!一生の不覚ッ!
出ていった竜児を笑顔で見送り、ドアがしまった後すぐに
顔を真っ赤にしてジタバタと布団の中でもがく実乃梨


実乃梨「つか!カバンの中に入れっぱなしだった~結局意味NE~!」



一方で竜児は

竜児「櫛枝のDNA…い、いかんいかん!俺の馬鹿やろう!」

何やら戦っていた

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 22:00:28.17 ID:oeMttaluO
昼休み

竜児「で、結局渡せたのかよ」

大河「けほっ!…うっさいわね…こ、こうゆうのは放課後にって決まってんのよ馬鹿犬が!」

竜児「そ、そうなのか?」

大河「ま、アンタには関係ない話よ」モグモグ

竜児「ぐ…」

今朝から大河の事ばかりで自分の事をあまり考えてなかった
でもまあバレンタインだし男が特別何かするわけじゃねぇしな…
櫛枝は…誰かにあげたりするんだろうか

ちらっと視線を送るとー偶然にも実乃梨と目があった

実乃梨「っ…」サッ

のも一瞬で、すぐに黙々と弁当に視線を戻してしまった
今日は珍しく自分達ではなく亜美と一緒に昼食をとっていた


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 22:05:21.10 ID:oeMttaluO
亜美「で…結局渡せてないんだ」

実乃梨「情けないぜ…はは、こんなチキン野郎だったとは自分でもびっくりだい…」ドヨーン

亜美「とりあえず顔あげなって、黒いオーラ出てるから」

実乃梨「うん……わっ!」スッ

亜美「?」

実乃梨「目があっちまったぜ…へへ、へへへ」バクバクムシャムシャ

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/15(月) 23:46:46.42 ID:oeMttaluO
ごめんちょっと収拾つきそうにないんで最初からいかせてもらいます


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:58:45.92 ID:oeMttaluO
特に何も考えずにいつもの様にいつもの時間に目覚め
自分と大河の分の弁当を手早く作る
そのままインコちゃんの餌と水を変えてやり、実母、泰子の分の食事にラップをかけてそのままレンジに入れておく

シワ、ほつれなど一切ない綺麗な学生服に身を包み
顔をあらい、歯を磨き
簡単に寝癖もなおし、古めのドアを開け外に出る

「そういや、大河のやつ昨日遅くまで電気が点いてたけど…どうせまだ寝てんだろーな」

チーン、とエレベーターの扉が開き
高そうな赤い絨毯の廊下を竜児はそんな事を呟きながら歩いていた

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 00:11:04.73 ID:bOo12YhZO
「大河ーまだ寝てん…てなんだこの匂いはッ!」

モワアッと、オートロック式の重い扉を開けた瞬間甘ったるい匂いが竜児の鼻孔を刺激する

「こりゃ…チョコか?」

余りにも濃いその香りはそう判断させるのにかなりの時間をかけさせた
竜児はとにかく匂いの原因を確かめようとキッチンのある部屋の扉を開ける
思わず、絶句
言葉を失った

「…」

なんだコレは?一体どうしてこうなった?
キッチンの作業台、床、後の戸棚にまでチョコと思しき物体がまるで殺人現場の様に飛び散っている
シンクには積み重なったボウル(勿論洗っておりません)がいまにも崩れそうだ
何というか…とりあえず

「大河あああ!」

言葉を取り戻した竜児はとりあえずそう叫ぶ事にした

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 00:19:37.58 ID:bOo12YhZO
寝室の扉をまるで蹴破るように開け放ち
天涯つきのベッドですやすやと眠るお人形のような少女にむけて
その悍ましいばかりの眼球をギラつかせる

「大河!おい起きろ!ありゃ一体何だ!?どーなってんだ!」

「…むにゅ…ん…」

「起きろぉおおお!」

ガバアッと、強引に彼女が包まっている毛布を剥ぎ取る
本当巻き付ける様に包まっているいたので大河はそのままグルグルと回転
そしてベッドの下へ落下し鈍い音と、ぎにゃ!と言うくぐもった声が同時に響いた



78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 00:24:26.64 ID:bOo12YhZO
ベッド向こう側から頭をバリボリと掻きむしりながらのそのそと
おまけにでかい欠伸をかましながら起き上がる大河

「…ん、竜児…おはよーさん」

「おう、おはよう…じゃねぇよ!なんだよあの惨劇は!」

「ふわ…あふ、朝からきゃんきゃんうるさい犬だこと…惨劇って?ああキッチンの事か」

キッチンの事を知っているらしい大河はこんどはお腹を掻きながらもひとつ欠伸をぶちかます



80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 00:33:19.31 ID:bOo12YhZO
とりあえずキッチンがあの状態では大河の朝ご飯が作れないので大河の身支度を玄関で待ち
もう一度高須家でご飯を作る事になった

「はあ?決まってるでしょ?…あ、そうかアンタにとってはいつもの平日と変わんないもんね?そりゃ悪い事言っちゃったわ」

全然悪びれる様子もなくずずずっと味噌汁を飲む大河

「喧嘩売ってんだろ、そうなんだな?」

こめかみに筋を浮かべピクピク動かしながら竜児はおかわり!と差し出されたお椀を受け取る

知らないわけがないだろう?
まあ確かに、いつもの平日となんら変わりがない事は認めるが
それでも今年は、今年こそは!何かがあるかもしれないと
毎年毎年、思っているいたいけな少年の心を
大河は土足どころか新品のスパイクで踏み荒らして行きやがった

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 00:41:40.20 ID:bOo12YhZO
そんな傷心の男の事などまるで気にする様子もなく
大河は、山盛りになって戻ってきたお茶碗を受け取りながら

「でもま、さすがのアンタでも0コって事はないわよ」

「何でだよ?そんな保証はどこにもねぇだろ」

「アンタ…普段私をどんな目で見てんの、よ!」

と、大河が何かかくばった物を投げ付けて来た
バシッと額に当たり竜児の組んだ足元に落ちたそれは
文鎮、というような事はなく
綺麗に包装された箱
まあ、チョコだった

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 00:53:47.26 ID:bOo12YhZO
「い、一応アンタには世話になってる事だし…何よその目は!おどろおどろしい!」

物投げ付けて攻撃された事に怒り狂い目の前の大河をどんなルートで売りさばいてやろうか、などと考えているのではなく
単純にそれは笑顔だった

彼が今まで貰った事があるのは
中学の時、なんの面識もない後輩の女子から(たまたま体育館裏を通り掛かった竜児に驚き慌てて逃げ出した際、落としていってしまった物を竜児が持ち帰った)貰ったことを除けば
母親の泰子、そしてその同僚からだけだった

だから竜児は

「…なんだろ、あれ?おかしいな」

「ひいぃっ!ちょっと!何泣いてんのよ!気味が悪いわ!」

不覚にも心で汗をかいた

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 01:07:47.96 ID:bOo12YhZO
なんとなく
本当になんとなく置いていくのもなんだったので
そう!泰子に食べられちゃうといけないからな!
と、心の中で言い訳をする竜児の肩にある鞄の中には
先程、大河から貰ったチョコが入っている
大河はそんな事には気付かずに
まだまだ厳しい寒さが残るいつもの通学路
竜児の隣で奪ったカシミアのマフラーに鼻まで顔を埋めてよたよたと歩いている

浮かれ気分で歩いている隣の般若、いや高須竜児をちらとみやり口を開いた

「なにへらへらしてんのよ馬鹿犬が…アンタもしかしてみのりんにも貰えるなんて甘い事を考えてるんじゃないでしょうね…」

「な、何言ってんだよそんなこと…ねぇさ」

とは言ったものの、やはりもしかしたらという気持ちは拭えない
夏には泊まり掛けの旅行
喧嘩もしたけど文化祭では一生記憶に残るであろう福男レースも一緒にゴールした
クリスマスからは色々、本当に色々とあった
そして今にいたる、一度はフラれたりもしたけど完全に終わったわけじゃない

そんなことがあったからこそ竜児はもしかしたらと…そんなことを考えていた

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 01:16:44.91 ID:bOo12YhZO
寒さのせいか口数も少なく歩いていると
いつもの交差点、櫛枝実乃梨との待ち合わせ場所が近付いてきた

「じゃあ、先に行ってるから!アンタはここで3分ステイ!わかった?」

「わかったわかった」

大河にも色々あって一度は自分と離れ、一人でやっていく
と、意気込んで何週間か高須家にも来なかった時期があった
それでまあ予想通りと言えば様子通り
一月ももたずに箸と茶碗を持って高須家のベランダに飛び込んで来た

一人立ちすると言った理由も戻ってきた理由も結局は聞けずじまいになってしまったが

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 01:23:18.36 ID:bOo12YhZO
「ん、そろそろ3分たったよな」

携帯を開き確認してみるが3分待てと言われた時刻がわからないので
結局はアバウトなわけだが大丈夫だろうと歩みを進める

待ち合わせの交差点、誰もいない筈の待ち合わせ場所

通学路なのだから学校へ向かう生徒がちらほら居ないこともないけれど
そこにはいないはずの人間がいることに竜児は驚いた
そんな理由がなくたってその人間を見つけたときは少なからず驚くことにはなるのだけれど

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 01:36:38.97 ID:bOo12YhZO
「おっはよー!うぅ~いやいや今日もしばれますなー」

っかー!さっびーなおい!と実乃梨はポケットに手を突っ込んだまま詰まり気味らしい鼻をすする
スカートの下とジャケットの下に体育着のジャージをフル装備
やはりもっこもこになっている

「あれ…櫛枝、大河は?」

「大河は先に行っちまったよー!私は一緒に待ってよーぜっていったんだけどさー薄情な奴だぜぃっきしっ!あーチキショー」

親父みたいなくしゃみを放ちつつ
さあゆこう!高須くん!と先に進む

よくわからないが、大河が気をつかってくれたんだろうか
隣の実乃梨をちらと見ながらそんなことを思った

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 01:44:50.34 ID:bOo12YhZO
やはり二人になるとどうしても緊張してしまうのは何故だろうか
ずんずん進んで行く実乃梨は竜児を置いていっては振り向いて立ち止まり
追い付くまで待ってまたずんずん竜児を置いて進んでいく
なんだか落ち着きがないのは気のせいだろうか
いや、いつも通りだろうか
未だに実乃梨の全貌が掴めない竜児だったが
彼女の全貌を掴んでいる人間などこの世にはおそらくいないだろう

「どうあー!っいってーなもう!」

凍った水溜まりの上で足を滑らせ豪快に転ぶ実乃梨を見て竜児はそう心から思う

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 01:55:15.07 ID:bOo12YhZO
「ははー、恥ずかしいとこみられちったぜ失敗失敗…スネーク!その辺りには気をつけたまえ」

「おう。…おぉおっ!」

「ん?どーしたね高須くん」

恐らくはさっき転んで尻餅を着いたせいだろう
実乃梨の肩からかけたスポーツバックに引っ掛かり、スカートが思いっきりめくれ
さらに下にはいている赤いジャージの尻部分!穴が!ANAが!開いておる!
つまりはそのさらに下の部分が穴から丸見えとは行かないまでも
白い布部分と白い肌が覗いてしまっている

「櫛枝!とんでもねぇ事になってんぞ!」

慌てて竜児は実乃梨のバックを持ち上げてとりあえずスカートを下ろしてやる

実乃梨は、え?何が?とまったく下半身の一大事にまるで気付いていなかった


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 02:01:01.18 ID:bOo12YhZO
一人パニックに陥っていた竜児は
とりあえずスカートがめくれていたことだけを伝えた

「あらあらまあ、失敬失敬お見苦しいモン見せちまったかな?」

まあ、ジャージはいてるし無問題だー!と暢気にもVサイン
気付け!頼むから気付いてくれ櫛枝!と
竜児の心の叫びも届かないまま
いつのまにか学校についてしまった

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 02:09:52.84 ID:bOo12YhZO
教室に着いて竜児は異変に気付いた
いつも平和教室の空気が一変
ピリピリと、殺伐とした雰囲気が竜児の体を突いている様だ
見た目はいつもと同じ光景なはずなのに
なんだこの違和感は…ハッと、

先程の実乃梨の件ですっかり頭からぶっ飛んでいたが今日はいつも通りなんかじゃない!
バレンタインじゃねぇか!
と竜児は遅まきながら思い出す

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 02:20:08.19 ID:bOo12YhZO
「みのりーんぬ!!」

すぐ隣にいた実乃梨に目にも泊まらぬスピードで飛び掛かったのは
一足先に学校に着いていた大河だった

「おーう大河!何分振りだー?」

うーはははは、と飛び付いた大河を受け止めそのまま回転し始める実乃梨
ジャージの穴を知っている竜児はもちろん気が気でないが
そんな心配をよそにブン回す実乃梨とブン回される大河
そんな大河の足がガツンと鈍い音を立てる

「あ、亜美ちゃん!?大丈夫?」

続いて来た麻耶と菜々子が白目を向いている亜美を抱き抱えて起こしてやる

「はっ…今亜美ちゃん一瞬お花畑が見えちゃってた…ってゴルアてめーあやまりやがれぇ」

黄泉の国から帰ってきた亜美はそそくさと席に戻る大河の背中に向かって吠えた


99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 02:28:41.54 ID:bOo12YhZO
「ご、ごめんよあーみん」

「フン、ばかちーがノックもせずに教室に入るからでしょ?」

「なんで教室入るのにノックが必要!?ざけんじゃねーよばーかばーか!」

ざわ…ざわ…

亜美の登校に気付いた男連中が急にどよめく

「亜美ちゃんなら…きっと」

「ほらなんかデカイ紙袋持ってるよ!持っちゃってるよ」

「いやまだ断言するには早い…しかし亜美ちゃんなら!」

「あああもう俺はだれでも構わない!誰かっ!神様!」

色々な声が飛び交う中
ニヤリと亜美の顔が不敵に歪む


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 02:34:23.57 ID:bOo12YhZO
限界寝ます
落としていいです

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 21:51:48.99 ID:bOo12YhZO
ありがとう残ってるとは
責任もって書かせていただきます

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 22:08:37.47 ID:bOo12YhZO
ニヤリ、ニヤァリ、そしてニヘラ~と気持ち良さそうに笑う亜美

…ククク跪ずくのだ愚民ども!今世紀最後の女神様の聖誕に平伏すがいい!
さあ!そして舐めろ!この女神の影を犬のように平伏したまま舐めるがいいわ!貴様らには最高のグルメだろ?はっはっはー
この私が愚民にチョコだあ?夢に見ることですらおこがましい行為だという事に気付かないとは
やはり愚民はどこまでいっても愚民なんだオイ!100億年はえぇんだよ!ーーー

「や、やだあそんなんじゃないってばあ」

頬を赤く染めつつ潤みっぱなしのチワワの目で俯き気味に呟く亜美は
手に持っている紙袋をこれみよがしに抱き抱える

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 22:17:01.75 ID:bOo12YhZO
「ぴろぴろーぴろぴろー…むむっ!あーみん、その紙袋っ…この櫛枝のレーダーはごまかせられぬぞ!」

いつの間に結ったのか、頭のてっぺんに噴水が上がっている実乃梨は亜美の紙袋をジト目で睨みつける

「う…ホントになんでもないってば!」

「またまた~チョコだろ?CHOKOなんだろ~?」

と、珍しく食いつく実乃梨
普段あんましない組み合わせに実乃梨のチョコのスペルの間違いに気付くことなく竜児は興味をしめす

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 22:27:46.96 ID:bOo12YhZO
「だーもう!チョコよ!なに、なんか文句あるわけ!?」

すでにキスの距離まで接近した実乃梨のどアップに根負けした亜美はキレ気味に白状する

おおお!と騒ぎ出す野郎供を尻目に実乃梨はさらに尋問を続ける

「ふんふん……で、誰にあげるのだね?」

「えっ!?そ、それは」

思わず取り乱した亜美はハッと一瞬だけ、竜児の事を見て
やばっ!と、すぐに視線を目の前の実乃梨に戻す

その一瞬の隙を実乃梨は見逃すわけもなく
亜美の視線を追ってその先の人物を確認する

そして近くの亜美にも、誰にも聞こえない小さな声でつぶやいた

「!………思わぬライバル出現か…」

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 23:00:55.69 ID:bOo12YhZO
 独っ!
と突如、勢いよく教室の前の扉が開く
余りの轟音に、あの大河や実乃梨まどもが肩をビクッと震わせた程だ


「ククク…いいわよねぇ、朝から受かれちゃったりしちゃったりしてさー…クク、クククク」

「ど、どうしたんですか先生!」

委員長北村が思わず声をかけるが

「るっせぇ!とっちゃん坊やはスッこんでな!!」

「ヒッ」

ドドドド独独ドドド独独独ッ
と、独身(30)の背中からとんでもなく黒い負のオーラが吹き出している

「HRだ…席につけ」

ガタタッ!と恐怖の余りか統率された一糸乱れぬ動きで全員が席に着く

「あわわ…どわ!」

ただ一人鈍臭く、春田が腰を抜かしてしまってへたり混んでいるのを隣の女子が引っ張りあげる

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 23:06:31.21 ID:bOo12YhZO
「き、起り…ヒッ!」

ただ委員長としての義務で号令をかけようとした北村はまたも
独身(30)の一睨みで上げかけた腰をふらふらと戻す

シン…と静まりかえった教室で
教壇に両手をついた独身(30)は(なお、オーラは今も絶賛噴き出し中)

「クク、ククク…く、くっ…おーいおいおいおい」

いきなり男泣き、いや独身泣きで崩れ落ちた

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 23:11:23.69 ID:bOo12YhZO
「どうせ、どうせ私なんか…私なんかあああ」

「お、落ち着いて下さい先生!おい誰か!手を貸してくれ!」


・・・


「えー恋ヶ窪先生は体調が優れないとの事で早退されました、ですので一限目は自習となります」

じゃあとは頼んだよ、と投げやりにも北村に全てを託し福担任らしき(初対面)男はツカツカと教室を出ていった

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 23:19:40.21 ID:bOo12YhZO
「やっほーう!自習だぜーっ」

「うわ超ラッキーじゃん?」

「てゆーかゆりちゃん去年も…」

「さーって何して遊ぶ?」

教師という名の箍が外れた2-C生徒達は各々好き勝手に動き回りはしゃぎだす

「…自習ね」

竜児も内心ではラッキーだとは思っているが根が真面目だからか机の上に予習の準備を始める

「おいおい何だ高須、本当に自習するのか?」

つい先程までは小動物のように震えていた北村が隣の席でそう声をかけてきた

「おう、まあ一応…ん?」

北村の視線が自分の後ろ斜め下の辺りに送られている事に気付いた竜児は振り返る

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 23:27:48.51 ID:bOo12YhZO
「…大河、なにやってんだお前」

「別に、ただの早弁よは・や・べ・ん!」

ガサゴソと竜児の鞄を無断で漁る大河がそこにいた
…ってか!その鞄にゃお前からの!

慌てて阻止しようと伸ばした右腕を横から伸びて来た何かにガシッと掴まれる
大河は竜児の鞄を漁っているので大河ではない

では誰だ?と、そのおもちゃのアーム(何でこんなモンが学校に?)を辿ってみると

「駄目だぜ高須くん!大河の食事を邪魔したら…命がいくつあっても足りんぞよ」

実乃梨がおもちゃのアーム(グリップを握るとアームの先端も閉じる奴)をわきわきとさせながら立っていた

154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/16(火) 23:38:28.06 ID:bOo12YhZO
「く、櫛枝…いやいや何だそれは?」

「これかい?さすが高須くんお目が高いねー。こんなこともあろうかと後ろのロッカーに突っ込んで置いた!…のを今さっき思い出したのだよ!」

「いや、意味がよくわからねーけど…」

「ちょっと竜児!弁当!どこに隠したのよ!」

そーだ!やばって櫛枝もいんのにあんなのが見つかったら

遅かったか…

カシャンと、アームを取り落とす実乃梨

「わ、わーお…高須くんそれって、もしかして」

「ち、違うんだ櫛枝!」

「ち、違うのみのりん!これは私が!どうせ竜児は一つも貰えないだろうしあまりにも不敏だったから!義理!超義理なの!」



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 23:49:13.51 ID:bOo12YhZO
「え、そーなの?」

「そうなの!大体こんな馬鹿犬が誰かから貰えるわけがないじゃん」

「なーんだ!大河からか!はっはっは!はやとちりはやとちり」

一体何をどうはやとちりしたのか問いただしたいのをグッと堪えて竜児は

「そ、そうだ俺みたいなのが大河以外から貰えるなんてそんなこと…んがっ」

いきなり横から何かが飛んできて竜児のこめかみ辺りに直撃する

「って…何すんだ川嶋痛えじゃねーか!」

「ふん、ちゃんと声かけました、聞いてない高須くんが悪いんでしょ」

亜美が投げ付けたそれは
レンガでも灰皿でもなくやはりというかなんというか
チョコだった

なんだ?最近でははチョコは投げ付けて渡すようになったのか?
そんな馬鹿な事を考えてしまうほどバレンタインに縁のなかった男の
二つ目の戦利品がそこにはあった

157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/16(火) 23:57:04.98 ID:bOo12YhZO
ポカンと口を開けたまま少し顔の赤い実乃梨は亜美と竜児とその手元のチョコの箱を順番に見ながら

「あーみん、これって…告、んんっ…わお、大胆だね」

「はあ?何いってんの実乃梨ちゃん!こんなの義理よ義理!」

「いや、義理でも嬉しいぞ…サンキューな川嶋」

「ん…別に」

微妙にバツのわるそうな顔をする亜美の背後では春田が「あ、亜美ちゃん…俺には?」などと泣き崩れている

159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 00:05:19.09 ID:MW9QgjQOO
・・・

何となくそこまで催したわけでもないのだが
せっかくの自習だし、教室も騒がしくて落ち着けない
そういうわけで竜児はトイレの手洗い場にいた

「大河と川嶋から…」

鏡の中の自分にメンチを切られたのでブチ切れている訳ではなく、ただぼーっと他の事を考えている

まあ、高望みなのはわかってるけどな…
やっぱり櫛枝も誰かにあげたりとか…するんだろうか
でも、あんまりそういう事に興味なさそうだし…
そういえば大河なら知ってるのかも知れない
今まで櫛枝が誰かにチョコをやった、なんてことあんまし聞きたい話ではないけれど




161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/17(水) 00:16:00.90 ID:MW9QgjQOO
「なーに生意気に黄昏れてんだ、しょぼくれ犬」

「大河!おいここ男子トイレ痛だだだ」

耳を引っ張るんじゃねえ!と
あくまで授業中なので小心者の竜児は小声で怒鳴りつける

そんな心配もよそに大河は普段通りのボリュームで罵声を浴びせる

「フン!ばかちーからチョコ貰えたからって調子こいちゃってまあ…これだからアンタはいつまでたっても駄犬なのよ。みのりんがせっかく頑張ってんのにあんなに鼻の下伸ばしちゃってさ」

「調子なんかこいてねえし、それに櫛枝は関係…ん?何を頑張ってるんだ?」

「私の口からは言えない、さっさと教室に…いいや、ここでちょっと待って!動くんじゃないよたまにはハチ公を見習いなさい!」

たたたっと、かけていく大河
一体何をしにきたんだろうか

162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 00:26:07.66 ID:MW9QgjQOO
何となくトイレの入口に突っ立ってるのもアレなので
竜児はトイレのすぐ横、自販機と自販機の間、亜美の定位置にしゃがみ混む
近くの教室から教師の声がぼんやりと響く
することもないのでその音に耳を傾けていると
足音が聞こえた

「大河?一体待ってろってどういう…おう。」

「や、奇遇ですなー」

そのまま竜児の向かいの床に体育座り
ジャケットの下のジャージ(上)はさすがにもう脱いでいたが
スカートの下にはジャージをまだはいていた
だからこそ竜児の目の前で体育座りをしても気にしていないのだろうが

実乃梨のジャージの尻には大きな穴が開いていることに気付いている様子はなかった

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 00:36:35.50 ID:MW9QgjQOO
やはりとんでもない状態になっている
その事実を今すぐにでも伝えてやろうと口を開いた竜児だったが
なまじ今まで言い出せなかったため、気付いていないフリをした方がいい事にギリギリで気付いた

「ん、どうしたの?高須くん」

「いや、…なんでもねえ」

目のやり場に困りすぎる

「?」

「ん、あれ櫛枝…ジュース買わねぇのか?」

「んージャンケンで負けて大河のパシリ…だったんだけ、ど……あ!そうゆー…」

大河の奴大河の奴…と、何かに気付き、ぶつぶつ言い出した実乃梨


「く、櫛枝?」

「いやいやいやいや!何でもござらん!」

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 00:46:19.58 ID:MW9QgjQOO
そう言って膝を抱えるようにした腕に鼻まで顔をうずめる
その手にはまだあのアームが握られている

「…」

「…」

なんだこの沈黙は…
普段ならこっちが黙っていても勝手に喋って勝手に笑ってくれる実乃梨が今は何か大人しい、いやかわいいんだけれども
二人きりの状況、少し惜しいがなんとなく気まずくて立ち上がって教室に戻ろうとする竜児は
ガシャコ!と、伸ばされたアームによって進路を妨害される

「お、おう!?」

「い、やーこれ便利だねー座ったままジュースが買えちゃうんだぜー?」

実乃梨のアームは震えながらも器用にチャリンと500円玉を投入する

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 00:53:35.19 ID:MW9QgjQOO
「こんなこともあろうかと持ってきておいたのさー」

「そ、そうかそりゃよかったな…じゃ」

引っ込んだアーム、その隙に教室へ

ガシャコ!と、またもやアームが行く手を阻んだ

「えーと大河が好きなのは~♪…これかあ?とりゃ!」

ガチャッとでてきたのは真冬なのにつめた~いお茶だった
ちなみに大河は自販機でお茶などは絶対に買わない

アームじゃ取れないだろうから
取り出し口のミニサイズペットボトルのお茶をとってやり実乃梨にパスする

「お、サンキュー!」

「おう。じゃ…」

ガシャコ!と
三度アームが竜児の道を阻害する

167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/17(水) 00:57:32.67 ID:MW9QgjQOO
「お釣りお釣り~っと」

「…」

・・・

「ぷはーっ!つめってーなオイ!」

「腹冷えちまうぞ」

てか飲むんだな、それ

心の中で突っ込みを入れる竜児の学ランの裾を
実乃梨のアームはしっかりと摘んでいる

210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 22:20:26.76 ID:MW9QgjQOO
すみません遅くなりました保守ありがとう
続きかいていきます

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/17(水) 22:28:57.38 ID:MW9QgjQOO
「わかったからもう離してくれよ櫛枝」

「NON!そんなこと言われて素直に応じる櫛枝ではないのだよ」

「…そっか」

「む…そんなにオイラと二人きりなのが嫌なのかい?」

「そんなわけねぇだろ!あ…いや、嫌じゃ…ねぇよ」

「…」

ふふーん、と楽しげな含み笑いをしながら太陽みたいな満面の笑みを竜児に向ける


217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/17(水) 22:37:06.12 ID:MW9QgjQOO
しかし、まだアームの先端は竜児を捕らえたままだ

「…櫛枝?」

「だって…不安なんだ、私だって」

「…」

実乃梨の表情が曇る
顔は笑顔のままなのに、瞳の奥深くは冷たく、冷え切っていて、悲しそうだった


219 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 22:47:19.57 ID:MW9QgjQOO
「ごめん高須くん、ちょっと真面目モードな…笑わないでおくれ」

「笑うもんか」

これだけは、はっきり断言できる

「クリスマスの…ことだけどさ、あ…イブだ」

「!…おう。」

「ごめん!」

「…おう。それならもう」

いいんだ、わかってる。わかったから…謝らないで欲しい。

「ち、違うの!違うんだ高須くん…そのごめんじゃなくて、その…」

あの櫛枝がこんなに言葉に詰まるのを見たのは初めてだった
そしてそれだけ、次に来る言葉に予想がつかない

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 22:53:01.32 ID:MW9QgjQOO
実乃梨は「すぅ」と短く息を吸い込み
一息にこう言った

「あの時、高須くんが私を待ってた理由。私に言おうとしてた言葉を聞きたいんだ」

ちゃんと。
実乃梨の目は真っ直ぐに竜児を見据えていた

今度は聞くから。ちゃんと最後まで聞くから。と
竜児が拒絶されたあの日
伝える事も出来ずに泣いたあの夜の情景が
鮮明に竜児の頭の中を走馬灯のように駆け巡る

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 23:00:33.71 ID:MW9QgjQOO
ゆっくりと、しかし確実に
竜児の鼓動が大きく、早くなっていく
あの日、竜児が待っていた、走って、もがいて
それでも訪れることのなかった瞬間が
唐突に現れた

「…俺の、言葉…」

「そう、あの日私は聞かない事を選んだ。逃げる事を選んだ。本当にごめん」

「い、いや…」

「そうすることが…私にとっても高須くんや大河…ううん、これも言い訳だよな、違う…私にとって1番の方法だって、そう思った」

私はただ、傲慢で…ずるいんだよ
いつかの実乃梨の言葉が蘇る


222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 23:14:21.53 ID:MW9QgjQOO
「幽霊なんて見えなくていい、私には見えない方がいいって本気で思ったの」

「櫛枝…」

実乃梨の目にうっすらと涙が浮かぶ

「でもね、高須くん…でもやっぱり駄目だった…私、嘘はつけねー」

「…」

「だんだんと高須くんとの距離が遠くなっていくんだよ、いつも通りに、変わらない様に話す度に、どんどん離れていく様な気がするんだ…」

「不安で、本当に不安で寂しくてさ。気付いちゃったんだよね」

「…何に?」

ぐしぐしとジャケットの袖で涙を拭った実乃梨は
また笑う

「へへ、これ前にも言ったっけな?私は傲慢でずるいんだよ?…お願い高須くん先に聞かせて欲しい」

なるほど、傲慢でずるい…ね
確かにそうだ。俺があの夜、そしてこれからいう事なんてわかり切っているくせに
でももうそんな事は、どうでもいい
伝える。
ずっと出来なくて閉じ込めたこの気持ちを。櫛枝に。


225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 23:23:21.82 ID:MW9QgjQOO
「く、櫛枝…櫛枝実乃梨さん」

「ん…はい」

学ランの胸ポケットにそれはいつも入れていた
修学旅行の前日、一度は実乃梨の手に渡った物
そして当日、大河が命懸けで竜児のもとへ届けてくれた物を
もう一度。

「高須くん…」

あの夜に渡すはずだったそのオレンジに輝く物を
今度こそ、自分の手で

「好きだ!ずっと…ずっと前から!」

届けるんだ!

226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/02/17(水) 23:38:59.78 ID:MW9QgjQOO
実乃梨は何も答えずに竜児からヘアピンを受け取る
そしてそのまま前髪に留め、一呼吸

「へへへ…似合うかな?」

「おう」

太陽みたいな実乃梨にきっと似合うと、一生懸命に選んだそれは
修学旅行の時とは違う輝きを放っていた

「っとと、そーだった」

「?」

ジャッジャジャーン!とジャケットのポケットから取り出した物を高く掲げる実乃梨

「ハッピーバレンタイン高須くん!」

かなり近い距離まで近付いてそれを竜児に手渡した。口に手を添えてまるで内緒話、実際内緒話なのだけれど

「…小さいけど、手作りなんだぜ~」

一歩遠のいて実乃梨はコホン、と軽く咳ばらい
そして最後に小さく

「しかも本命だ有り難く受けとりたまへ」

言い切る前、最後の方
実乃梨の顔は太陽みたいに赤くなっていた

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/02/17(水) 23:56:32.68 ID:MW9QgjQOO
それからちょうど一ヶ月後

「大河!いそげ!遅刻しちまうぞ!」

「朝からぎゃあぎゃあうっさいわね!アンタが早く起こしてくれないのが悪いんでしょ」

「何様だよ!もういい置いてくからな!」

「ちょ、ちょっと待って!どうあっ」

ズダン!と、豪快に蹴つまずいた大河に手を貸して引きずる様に起き上がらせる

いつもの待ち合わせ場所には、いつも通りの光景が待っていた

「みーのりーん!ってみのりん!?」

「ちょ、櫛枝!?」

「おっそいよ大河!高須くん!ああコレ?一限目体育だからさー待ちくたびれすぎてもうここで着替えちまったぜよ!」

「「ええ~っ!!?」」

「ほらほら無駄口はここまでだ!一限の彼方へさあ行こう~!」

背中にターボでも着いているのだろうか上下ジャージフル装備の実乃梨は軽やかな足取りで大河と竜児を置き去りにする

その実乃梨のジャージ、お尻の部分には
ツギハギで出来た太陽が眩しげに輝いている

おしまい


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[ 2011/08/09 12:17 ] SS とらドラ | TB(0) | CM(0)

亜美「ほら、そろそろ起きなさい」

1 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 01:35:41.70 ID:clS0CO590
亜美「竜児」



3 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 01:49:51.72 ID:clS0CO590
Yes,Sir.

竜児「ん……」

亜美「ほ~らぁ~」ユサユサ

竜児「んー……」ゴソ

亜美「んー、じゃなくてっ!」バシッ

竜児「……(う、ん……?)」

竜児「(誰かが、俺を、起こしている……。泰子? じゃ、ないよな……)」

泰子「竜ちゃあん、起きてぇ~」

亜美「ったく……いい加減……」

竜児「(あれ? 泰子の声……じゃあもう一人は?)」

亜美「起きろやゴルァッ!」ドゴォッ

竜児「ぶぐはっ!?」ガバッス


4 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 01:52:20.43 ID:clS0CO590

竜児「!? !? !?」

亜美「やーっと起きた。ほらぁ、早く支度しないと遅刻よ」

竜児「っお、まえ、か、川嶋ッ! 朝から肘はねえだろ肘は! って川嶋!?」

亜美「なーにさっきから驚いてばっかり……」

竜児「いや驚くだろ! 何でお前がうちに居るんだよ!?」

亜美「あんたがいつまでも寝てるからでしょっ!?」

泰子「そ~だよ竜ちゃあん! 亜美ちゃんはぁ、お寝坊さんの竜ちゃんをわざわざ起こしに来てくれたんだよぉ~」

亜美「いいんですよぉ泰子さん。それより起こしてしまってごめんなさい。お仕事でお疲れなのに……」

泰子「大丈夫~っ。それとぉ、『泰子さん』なんてよそよそしくしないで、『やっちゃん』でいいよぉ~」

亜美「え~っ、悪いですよぉ~」

キャイキャイ…

竜児「ちょっっっと待て! 待ってくれ! 説明してくれっ!」

亜美「説明って、何をよ?」

竜児「今この状況をだ!」

亜美「だからあんたが寝坊s」

竜児「ちっがう! 何で俺が寝坊したらお前が起こしに来るんだよっ!」

亜美「え、だって……」

竜児「……だって、何だよ?」

亜美「いつも一緒に登校してるし……」

竜児「……はあ?」

泰子「当たり前だよぉ~! だって二人は“恋人同士”なんだからぁ~!」

竜児「……」

竜児「どういうことなの……?」


7 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 01:54:53.56 ID:clS0CO590
……

――通学路

亜美「いってきまーす」

竜児「……いって、きます」

泰子「いってらっしゃ~い!」パタパタ

スタスタ…

亜美「それにしても珍しいわね、あんたが寝坊なんて」

竜児「ああ」

亜美「いつもはあんたが先に待ってるっていうのに」

竜児「おう」

亜美「……ねえ、」

竜児「ん」

亜美「朝のやつって、もしかして何かのギャグ?」


8 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 01:57:18.20 ID:clS0CO590
竜児「違う」

竜児「……それよりまだ聞いてないぞ。……何で、俺が、お前と、付き合っていることになっているんだ? しかも親公認で!」

亜美「『なっている』じゃないわよ、付き合ってるの! つーかあんたまだ寝ぼけてんの!? それとも記憶喪失!?」

竜児「それはお前だろ!? いつからだ? どこで、どっちが告白したか言ってみろ!」

亜美「夏休み! あたしの別荘で! あんたがっ!」

竜児「嘘だッ!!」

亜美「嘘じゃないッ!! つーか、それも忘れたってわけ!? 冗談にしては度が過ぎるわよ……」ドドドドドドド…

竜児「ッッ!?(ヤバイ、何だかわからんがとにかくヤバイ!)」

竜児「……あっ! もうこんな時間! 急ぐぞ川嶋―!」ダッ

亜美「あっこら待てっ! まだ話は終わってないっつーの!」ダダッ



9 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:00:32.80 ID:clS0CO590
……

――教室

ガラッ

竜児「っはあ! 間に合ったか」ハァハァ

春田「高っちゃんおはよ~っす」

能登「おーっす高須、今日は珍しくギリギリだな」

竜児「おう、まあな……ちょっと、寝坊して」

竜児「(それと……)」

ガララッ


11 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:04:48.20 ID:clS0CO590

亜美「ちょっと竜児……はぁ、はぁ、」

亜美「あんた、あたしを、置いていくなんて……いい度胸、してるわねえっ」ハァハァ

竜児「おう、川嶋。間に合ってよかったな」

亜美「よかったな、じゃにあいわよ!」ヅカヅカ

竜児「噛んだな」

亜美「うるさい!」

木原「あー亜美ちゃん! おはよー!」

香椎「どうしたの? 遅かったね」

亜美「あ、おはよー。実は今日こいつがさー……」タタタ…

竜児「あ、おい……」

北村「そら! おはよう高須!」シュバッシュ

竜児「……おう、おはよう北村」


12 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:08:12.96 ID:clS0CO590

北村「どうした、元気がないぞー?」

竜児「お前は朝から元気だな」

北村「おう、俺はいつでもランナーズハイだからな!」

竜児「……それは、ナチュラル・ハイと言おうとしたのか?」

北村「あーそれだ! 間違えた! 高須は物知りだなー」ハハハ

竜児「(“いつでも興奮状態”、ってのは危ないと思うが。性的な意味で)」

木原「ひどいよ高須く―ん!」


13 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:10:51.35 ID:clS0CO590

竜児「え?」

木原「亜美ちゃん置いて先に行っちゃうなんてさー」

香椎「起こしてもらったっていうのに、それは酷いと思うよ」

竜児「いや、まあそれは……ってそもそも、起こしに来る川嶋の方がおかしいって」

木原「なんで? いい彼女じゃん。ねえ奈々子」

香椎「うん。好きな人に朝起こしてもらえるなんて、男のロマン、とかじゃないの?」

竜児「それはそうだけ……ど……」

竜児「え? 何だって?」

香椎「だから男のr」

竜児「そこじゃない! 何で川嶋が俺の彼女なんだよ?」

香椎「え? 自分で言ってたじゃない、」

木原「亜 美 と 付 き 合 う こ と に な り ま し た って」


15 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:12:45.38 ID:clS0CO590

竜児「おいちょっと待ってくれよ、お前らまでm」

春田「た~か~っちゃ~ん?」ガッ

能登「夏休み終わってから堂々と宣言してたくせに、今頃になってしらばっくれるのか~? えぇ? 高須」ガシッ

春田「しかも今日は亜美ちゃんに起こしてもらっただってぇ~?」ギギギ

能登「キスか……お目覚めのキスなのか高須っ!?」ギリギリ

竜児「ちがっ、ちょっ、苦し」ジタバタ


16 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:15:07.12 ID:clS0CO590

春田「そもそもさぁ~、高っちゃんが亜美ちゃんと付き合うっていうことが……」グググ

能登「許せんッ!」グッ

竜児「ぎゃあああああああああああああっっ!!!」ゴキゴキゴキ

キーンコーンカーンコーン

恋ヶ窪「はーい、HR始めまーす」ガラララッ

北村「ほら、お前たちふざけてないで席に付けって」

春田「ちぇっ」

能登「命拾いしたな、高須……」

竜児「……(ふざけてない、あれは本気だった……)」

亜美「……」



17 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:16:27.06 ID:clS0CO590
……

――昼休み、教室

キーンコーンカーンコーン…

竜児「あ……(そういえば、今日は寝坊したから弁当を持ってきていなかった)」

竜児「(泰子の飯も用意してない……でもまあ、起きてたし、冷蔵庫の残り物でも食うだろう)」

竜児「(それじゃあ俺とた……)」

竜児「(え……? 俺と、誰だ?)」

竜児「(確か俺はいつも、自分と、誰かもう一人分の弁当を……)」

亜美「ねえ、竜児」


18 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:17:54.78 ID:clS0CO590
竜児「っ! おう、川嶋。どうした?」

亜美「……」

亜美「今日、お弁当は?」

竜児「え? 俺、お前に弁当なんて作ってたっけ?」

亜美「うん。もしかして、また忘れたとか言うんじゃ……」

竜児「いや! そういうわけじゃないんだ! ただ、今日は寝坊したから作れなくて……朝来たんだから知ってるだろ?(忘れてはいない……けど)」

亜美「確認してみただけ。だったら買いに行こ?」

竜児「お、おう(……弁当を作っていたのは、“川嶋に”だったか……?)」

竜児「(それ以前に、今日は朝からおかしなことばかりだ。川嶋が俺を起こしに来たり……そもそも俺と川嶋が“付き合っていることになっている”のがおかしい。しかも俺から告白して、クラスの皆にも、親にも知れている……)」

竜児「(何でこんなことになっているんだ? 別に川嶋のことを嫌いではないが、俺の好きな人は……)」

竜児「(好き、な、人……って、誰だったか?)」


19 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:20:15.62 ID:clS0CO590

……

――屋上

竜児「教室で食わないのか? 木原と香椎と一緒に」

亜美「いいの。屋上で食べたい気分なの」

亜美「“二人きりで”」

竜児「!」ドキッ

竜児「(……)座る場所、ないぞ?」

亜美「いいよ、下、土じゃないし」ペタリ

竜児「(地べたに……)まあ、自販機でもそうしてたしな」ボソッ

亜美「……」ジーッ

竜児「(うっ……)何だよ」

亜美「それは覚えてるんだ」

21 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:21:27.08 ID:clS0CO590

竜児「は?」

亜美「あたしがあの自販機の隙間に座ってたことは覚えてて、付き合ってることは覚えてないんだ……」

竜児「それは……」

亜美「ねえ、あんた一体何がしたいの? ただ単にからかってるだけ? あたしをちょっと困らせてみたかっただけ? それなら今止めればまだ許してあげてもいい。うん、許してあげる。でも……」スタスタ

亜美「でも……本当に、本当に“覚えていないふり”をしているなら……。本当に“覚えていたくない”って言うなら……」ゴゴゴゴゴゴ…

竜児「(やべっ、)か、川嶋! これは本当に」

亜美「ほら、また!」

竜児「!?」


22 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:22:20.14 ID:clS0CO590
亜美「何で、“川嶋”って呼ぶの? 付き合ってから“亜美”って呼んでたじゃん!」

亜美「ねえ……“竜児”」ジワ…

竜児「あ……」

亜美「……別れたいっていうなら……あたし、絶対に、許さないからっ!」バッ

竜児「ッ!?」


23 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:23:14.60 ID:clS0CO590

ギュッ

亜美「……っんく、ぅあ、あたし、別れ、たく、ない……」ポロポロ

亜美「りゅ、うじぃぃ……っあ、あたしのこと、嫌いに、なったの? っぐす」

竜児「いや、そんなこと……」

亜美「お願い、あたしはぁ、りゅうじのこと、好きだからぁ! だから、あたしのこと……っえぐ、き、嫌いにならない、でぇ」ボロボロ

竜児「……おう」ギュ

亜美「もっと、」グス

竜児「おう」ギュッ

亜美「もっとぉ」

竜児「おう」ギューッ

竜児「悪かったな……“亜美”」

亜美「っ! ……ぅ、うええぇぇ~ん!」ボロボロ

竜児「(ほんとに、好きなのか、俺のこと……)」

竜児「(……)」


24 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:25:26.58 ID:clS0CO590
……

竜児「落ち着いたか?」

亜美「うん……ごめん、もう大丈夫」

竜児「じゃあ、俺の話、聞いてくれるか?」

亜美「……うん」

竜児「朝さ、お前、言ってただろ? 『記憶喪失なんじゃ』って」

亜美「え……?」

竜児「もしかしたら、それかもしれない」

亜美「え、え?」

竜児「一切が無くなったわけではないんだ。自分が誰かわからないとかではなくて」

竜児「ただ……なんか、今の状態に……違和感がある、というか。何か忘れているって気はするんだが、思い出せなくて」

竜児「だから、お前と付き合ってる、っていうことも――本当に、覚えていないんだ……悪い」ペコ


25 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:26:27.10 ID:clS0CO590
亜美「……」

竜児「(やばっ、また泣くか?)あ、あの」

亜美「別れたい、ってわけじゃ、ないの、よね?」

竜児「そりゃまあ、うん……。あのモデルの川嶋亜美と別れようなんて、普通の男は思わないだろ」

亜美「でもあんたは、今、普通じゃない」

竜児「っ、確かに、そうだが……」

亜美「……そう」

竜児「え?」

亜美「じゃあ、やり直そう」

亜美「忘れたなら、新しく思い出作り直そうっ! ねっ?」

竜児「お、おう……」


26 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:27:46.20 ID:clS0CO590

亜美「うんっ! じゃあ改めてよろしくっ!」ニコッ

竜児「!! っお、おう(か、かわいい……)」

亜美「じゃあ、教室行こっか! やっぱりあっちでご飯食べよっ!」スタッ

スッ

竜児「ん?」スクッ

亜美「……んぅぅ~」

バッ

竜児「ん?」

亜美「手っ!」

竜児「(ああ、そういうこと)」

ギュッ

亜美「っへへぇ~」ニヤニヤ


28 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 02:31:19.16 ID:clS0CO590

竜児「(かわいいっ……)お前なあ、手ぇ繋いでほしいならちゃんと言えよな」スタスタ

亜美「そういうのは言わなくてもわかるでしょ~?」スタスタ

亜美「あたしの“彼氏”なんだからぁ~」ギュー

竜児「ったく……」

……



キリがいいのでこの辺で失礼
明日テストなんで寝ます
見てる人いないかもだけど
支援コメくれた方々ありがとうございました
残ってたら続きうpします


35 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:11:57.48 ID:clS0CO590
残ってた
またレス付いたら始める

37 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:15:27.69 ID:clS0CO590

――教室

亜美「ほぉら竜児、あーん」スッ

竜児「っや、やめろって///」

亜美「な~んでよぉ。前はいっつもやってたじゃな~い」

竜児「嘘つけっ」

亜美「ほんとだも~ん」

竜児「っ、前の俺はやってたのかもしれないがなあ、今の俺は、い や だ!」

亜美「つれないなぁ~もう」


39 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:17:19.32 ID:clS0CO590

木原「亜美ちゃん! 高須君と仲直りしたんだ~!」

香椎「よかったね~」

亜美「うん!」

竜児「……」

能登「ちっ、仲直りしやがったのか高須」

春田「あーあー! 高っちゃん一緒に昼飯食べてくれなくて寂しーなー!」

竜児「……」


40 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:23:10.74 ID:clS0CO590
……

――放課後、教室

亜美「竜児、一緒に帰ろっ」

竜児「え、だって木原と香椎……」

亜美「今日はいいの! 竜児と帰りたいの!」

竜児「おう、それは嬉しいが……。今日は掃除当番なんだ」

亜美「じゃあ待ってる!」

竜児「いや、でも、知ってるだろ? 俺が掃除やるときはとことんやるぞ? 特に今日は……」

亜美「待 っ て る!」

竜児「……うーん(こいつって、こんなに強情だったか? いや、悪い意味ではなく)」


41 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:24:48.64 ID:clS0CO590

春田「しゃあねえなー。俺が代わってやるよ!」

能登「お前はもともと掃除当番だろ……。高須、ここは俺たちに任せて先に行け!」

竜児「いや、掃除だけは誰かに任せていられん。今日は特にゴミが溜まっているようだし……それに能登、あからさまな死亡フラグ言うな。余計心配になる」

能登「ったく、空気嫁よな~」

春田「そーだよ高っちゃ~ん! せっかく亜美ちゃんと帰らしてやろうってのにさぁ~!」

竜児「む……ぅ」

亜美「ありがとっ能登くん、春田くん! じゃあお言葉に甘えてっ!」ガシッ

竜児「あっ、おい! 俺は掃除の方が」ズルズル

能登「大丈夫だって! ちゃんとやっとくからさ」ヒラヒラ

春田「じゃ~ね~お二人さ~ん」ブンブン


42 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:29:17.20 ID:clS0CO590
……

――商店街

竜児「で、どこ行くんだ?」

亜美「うーん、どうしよっかなあ~」

竜児「決めてねえのかよ」

亜美「だって二人でデートなんて……」ボソ…

竜児「は?」

亜美「ううん! なんでもなーい! じゃあスドバでいっかぁ~」

竜児「じゃあ、っておい」

亜美「い~からぁ、行くよ! この亜美ちゃんとデートできるんだから、感謝しなさいっての!」

竜児「ったく、わかったよ」


43 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:30:08.33 ID:clS0CO590
……

――須藤バックス

亜美「んまぁー♪」モグモグ

竜児「女ってのはどうしてそんなに甘いもんばっかり食うんだろな」ズズッ

亜美「なぁに~? 竜児も食べたいのぉ? しっかたないなぁ、ほら、あーん」スッ

竜児「い、いらねえよ///」

亜美「お昼のときにできなかったから今やるのぉ~! ほらっ」

竜児「だが断る」

亜美「断っても無駄無駄ァ!」ズイズイ

竜児「やれやれだぜ……」


44 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:32:47.50 ID:clS0CO590

亜美「じゃあ、はい! あ~ん……」

竜児「あ、あーん……」

パク

亜美「どう?」

竜児「……甘い」

亜美「そーだけどさぁ、もっと、『ああ、愛しの亜美ちゃんにケーキ食べさせてもらえるなんて……竜児、感激っ!』とかさぁ~」

竜児「……竜児、か、感激っ……」

亜美「……」


45 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:35:34.26 ID:clS0CO590

竜児「……」

亜美「……ぶっ」

亜美「っあはははははははは!」

竜児「……」

亜美「っははははは! なっ、なにそれ!? なにそれ!?」

亜美「なに? 真似したつもり? っ似てねえええぇぇ~! あはははははははっ!!」

竜児「(´・ω・`)ショボーン」

亜美「……っはぁ、はぁはぁ、あーあ、笑いすぎて死ぬとこだったぁ! なぁんでいきなりそんな」

竜児「……もういい」プイ

亜美「あーもうごめんごめぇん! だってあんたの」

竜児「もういい」


46 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:37:00.46 ID:clS0CO590

亜美「ねえごめんって~」

竜児「もういいっ」

亜美「ねーえ、こっち向いてよぉ~?」ツンツン

竜児「……」ツーン

亜美「……じゃーキスしてあげるからこっち向いて♪」

竜児「んなっ!?」ンバッ

ビシ

竜児「痛っ」

亜美「うっそ~! ひっかかってやんの~! あははっ♪」

竜児「――っ」


47 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:37:40.23 ID:clS0CO590
亜美「はい、あ~ん」

竜児「……今度は俺が食わしてやるよ」

亜美「えっ?」

パシ

竜児「ほれ、あーん」ズイ

亜美「い、いやいや、あたしはいいって!」

竜児「うるさい。俺だけ恥ずかしい思いするのは不公平だ」

亜美「んぅ~!」


48 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:39:00.11 ID:clS0CO590

……

亜美「そういえばさぁ」

竜児「あん?」

亜美「そんな怖い顔しないでよぉ、もうしないって~」

竜児「この顔は生まれつきだ」

亜美「はいはい……それでさぁ」

竜児「おぅ」

亜美「あの時もさ、ここに座ってコーヒー飲んでたよね」

竜児「あの時……?」


49 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:40:39.21 ID:clS0CO590

亜美「ほら、あたしが転校してきて間もない頃……」

竜児「ああ、お前がストーカー被害に遭ってて、身元がわからないから証拠写真撮って警察に捕まえてもらおうとして、」

亜美「そうそう、祐作たちは激写係で、竜児はあたしについてくれて、」

竜児「それで北村とた……」

竜児「た……」

竜児「あ、れ……?」

亜美「? どうしたの?」

竜児「……なあ、あのときのメンバーって、さ」

竜児「北村と……」


50 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/01(月) 13:42:09.31 ID:clS0CO590
亜美「ああ、祐作と麻耶と奈々子ね。忘れてた? それで祐作が尾行の途中で溝に落ちちゃってさぁ~!」

竜児「(……え?)」

亜美「そしたら麻耶まで落ちてやんの! 今だから笑えるけど、あの時はほんと」

竜児「(そう、だった、か……?)」

亜美「でも麻耶は祐作と……って、ちょっと竜児?」

竜児「っ、おう」

亜美「どうしたの? 難しい顔して」

竜児「……ああ、悪い、今日の晩飯考えてた」

亜美「もぉ~。じゃあスーパー行く?」

竜児「おう、そうだな」

竜児「(……やっぱり何かが違う気がする)」

竜児「(それが何か、ってのが思い出せないから、なんとも言えない)」

竜児「(とても大事なことのはずなんだが……)」

66 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:00:00.05 ID:tIx76X+x0
test

67 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:03:47.24 ID:tIx76X+x0
すまない
規制喰らってて続きうpできんかった
>>60は、クラウンでレス代行頼んだんだが、その後はやってくなくて……
言い訳終わり。また規制されないうちに続ける


――スーパー

亜美「ね、これは?」

竜児「ん、どれだ? ……っ高い! さっきからお前はどうしてこう高いものを」

亜美「いいじゃん! だって今日は復縁記念日なんだからもっと豪華にさぁ!」

竜児「復縁もなにも、別れてないだろ」

亜美「じゃあ、やり直し記念日」

竜児「そんなに変わってない気が」

亜美「じゃーあー」

竜児「あーわかったわかった! 今日は豪華にするから! でも食材は俺に選ばせてくれっ!」

亜美「やたっ」


68 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:04:42.49 ID:tIx76X+x0
竜児「っていうか、俺んちで晩飯食ってくんだな……」

亜美「今更なに言ってんの? よく食べに行ってたじゃん」

竜児「おぅ、そうか」

亜美「あ、デザートも買おう」

竜児「太るぞ」

亜美「ぐっ……」

竜児「さっきもケーキ食ってたし……。まあ、この分だと晩飯もがっつり食うんだろうから、そんなに変わらないか」

亜美「――っ、もぉ~竜児がいじめるぅ~!」

竜児「なんでだよっ!」

……

69 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:05:57.22 ID:tIx76X+x0
――帰り道

竜児「で、結局買うわけな……」

亜美「っ、今日食べるんじゃないからね! 冷蔵庫で冷やしておいて、明日食べるんだからっ!」

竜児「はいはい。でも、ダイエットするからって朝飯抜くなよ?」

亜美「わかってる! っていうかダイエットは今はいいの!」

竜児「そうか。もともとそんな必要ないけどな」

亜美「えっ?」

竜児「まあ、お前はモデルだから、必要な時もあるのかもしれないが……」

竜児「ダイエットなんてしなくても、お前は十分かわいいぞ?」

亜美「あ、あったりまえじゃない/// あたしを誰だと思っていやがるつ!」

竜児「皆から好かれる、ついでにストーカーにもつかれる、人気モデルの川嶋亜美ちゃん、だろ?」

亜美「ストーカーの件はいらないっつの!」


70 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:06:44.79 ID:tIx76X+x0
スタスタ

竜児「ん……」

亜美「ん?」

竜児「……」ジー

亜美「なに? 隣の高級マンションがどうかした?」

竜児「(朝は色々あってスルーしてたけど……)」

竜児「ここのマンションさ、誰か住んでる、よな……?」

亜美「はぁ? そりゃマンションなんだから誰かしら住んでるでしょうよ」

竜児「いや、そうじゃなくて……」

竜児「誰か……知り合いが、とか……」

亜美「……」


71 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:07:36.83 ID:tIx76X+x0

亜美「いや、知らないけど」

竜児「……そうか」

竜児「(……)」

亜美「さっ、早く家入ろっ」グイッ

竜児「おぅ……」

……


72 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:08:53.59 ID:tIx76X+x0

――高須家、夕食

竜児「それでは皆さんご一緒に」

一同「い た だ き ま す!」

亜美「とんかつ……かぁ。あぶらもん……かぁ」

竜児「どうした?」

亜美「いや、さっきまでダイエットの話してた後の、これかぁ」

竜児「嫌なら食わんでいいぞ」

泰子「やっちゃんトンカツだいすきぃ。あと竜ちゃんもだいすきぃ」

竜児「はいはい」



73 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:10:36.08 ID:tIx76X+x0

亜美「あたしも竜児だいすきぃ」

竜児「はいはい」

泰子「あれぇ? 竜ちゃんもぉ、亜美ちゃんだいすきぃ、って言わないのぉ?」

竜児「――っ!?」

亜美「……」ジー

竜児「あ、う……」

竜児「さ、さっさと食え! 冷めちまうぞ、トンカツ」

泰子「もぉ~恥ずかしがりやさんなんだからぁ! ねぇ亜美ちゃん?」

亜美「あはは……」

亜美「……」

……


74 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:11:53.67 ID:tIx76X+x0

亜美「ねえ」

竜児「ん?」

亜美「なんで言ってくれなかったの?」

竜児「は?」

亜美「晩御飯のときの」

竜児「え? あ、あれは泰子がからかっただけで」

亜美「別に、言えばいいじゃん。あたしたち付き合ってるんだし」



75 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:12:54.24 ID:tIx76X+x0

竜児「でもあの場面で言わなくてもいいだろ……」

亜美「なんで? 泰子さんに隠してるわけでもないのに」

竜児「っ、それでもっ」

亜美「それとも、別に言うほど好きじゃない、って?」

竜児「いや、その……」

亜美「……」

竜児「……」


76 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:15:05.90 ID:tIx76X+x0

亜美「まっ、恥ずかしかったんならいいけど」

竜児「(……)」

亜美「……」

竜児「(気まずい……)」

竜児「あっ、じ、時間、大丈夫なのか?」チラ

竜児「ほ、ほら、もう遅いし」

亜美「あーほんとだ」

竜児「じゃあ送っt」

亜美「じゃあ今日は泊まるね」

竜児「……は?」



77 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:16:34.54 ID:tIx76X+x0
亜美「家にはさっきメールしといたから」

竜児「いや、え?」

亜美「着替えは前回置いてったのがあるし、化粧品とかも」

竜児「ちょ、そうじゃなくてっ」

亜美「なに?」

竜児「と、泊まるの……か?」

亜美「うん」

竜児「そう、か……」

竜児「泰子……朝までいないぞ?」

亜美「うん。だって一緒に見送ったじゃん」

竜児「……」


78 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:17:48.31 ID:tIx76X+x0

亜美「あれぇ? もしかして竜児……」

竜児「な、なんだよ?」

亜美「なんでもなーい。シャワー借りるね」スタタ

竜児「え、あ、おい」

亜美「なーにぃ? 竜児一緒に入りたいのぉ?」

竜児「んなっ!? そんなわけあるかっ!」

亜美「あーらもったいなーい! 素直に言えば一緒に入ってもいいよ、って思ってたのに~!」


79 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:19:06.73 ID:tIx76X+x0

竜児「だ、誰がっ」

亜美「じゃっ」バタン

竜児「……」

ガチャ

竜児「!!」

亜美「覗くなよ?」バタン

シャアアア…

竜児「――」ゴクリ

……


80 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:20:23.92 ID:tIx76X+x0

亜美「ふう……」

竜児「……」ウトウト

亜美「空いたわよー」

竜児「!!」ビクッ

亜美「?」

竜児「あ、ああ、じゃあ俺入ってくる」

亜美「いってらー」

竜児「……な、なあ」

亜美「んー?」


81 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:24:50.34 ID:tIx76X+x0

竜児「これから、どうするんだ?」

亜美「これから? もう少ししたら寝るけど?」

竜児「あっ、そう……(だよな……)」

亜美「なぁにー? なにかすることでもあるのぉ~?」ニヤッ

竜児「いや、別に」

亜美「まーた竜児はそーいうことばっか考えて~」

竜児「ち、違っ」

亜美「しょうがないなぁ~! 早くシャワー浴びてきな、待ってるから」

竜児「う……」

竜児「行ってくる」

亜美「いってらー」


82 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:25:57.46 ID:tIx76X+x0

シャアアア…

竜児「この流れは……そうなのか、なのか?」

竜児「落ち着け、高須竜児。まずは体全体を丹念に洗って……」

竜児「ココは特に重点的に……」

竜児「……って、」

竜児「なに考えてんだ俺は」

竜児「いやあ、流石に駄目だろ、常識的に考えて」

竜児「でもあいつ、待ってるから、って」

竜児「……」

竜児「んあーっ! どうするよ、俺!?」



83 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:26:56.80 ID:tIx76X+x0
……

竜児「……」スーッ

竜児「あ!」

竜児「(着替えを部屋に忘れた……)」

竜児「(取りに行こうにも、バスタオル一枚で行ったら押し倒されてそのまま……)」

竜児「(いやいや、ここは逆に押し倒してこちらに主導権を……)」

竜児「ぶぇっくしゅんっ!」

竜児「(このままじゃ湯冷めしちまう……一か八か)」

竜児「(覚悟を決めろ、ということか?)」


84 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:27:58.06 ID:tIx76X+x0
……

竜児「(あいつはどうしてるか)」ササッ

竜児「(ん? 居間にいない……)」

竜児「(ま さ か)」ソーッ

亜美「zzz……」

竜児「(俺の布団で寝てる……)」


85 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:28:56.97 ID:tIx76X+x0

竜児「(待ってるんじゃなかったのかよ……)」ハァ

竜児「(……俺はなにを期待してたんだか)」

竜児「(……)」

竜児「(仕方ない、今日は居間で寝よう……)」

竜児「(その前に着替え着替え、っと)」ソロソロ

亜美「わっ!」バッ


86 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:29:58.49 ID:tIx76X+x0

竜児「どわああああっ!?」ビクーン

ハラリ…

亜美「ぎゃあああああああああっ!!」

竜児「うあわあああああああああああ!!」

ガシャン

インコちゃん「ぐぇええええええぇぇぇぇぇ……」バタバタ

竜児「インコちゃあああああぁぁぁぁんっっ!!」

ギャアギャア…



87 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:30:48.46 ID:tIx76X+x0
……

――翌日、教室

北村「――はははっ。それで?」

竜児「それで、って」

北村「亜美とはしたのか?」

竜児「した、って」

北村「とぼけるなよ高須~? 男女が家に二人きり。することと言ったら……」

竜児「してねえよ。つーか『そんなグロいもん目の前に曝すんじゃないわよっ!』って言われて、そんな雰囲気になるとでも?」


88 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:31:35.49 ID:tIx76X+x0

北村「グロいとは失礼なっ! 高須のは立派だぞ!」

竜児「そっちかよっ! 黙ってろこの変態裸族!」

北村「ははは……」

竜児「(北村もなんか変だな……もとから変わった奴だが)」

竜児「(……)」

竜児「ときに北村」

北村「この動きは……トキ!!」

竜児「俺と川嶋って、どうして付き合ったか知ってるか?」

北村「流された……って、なんだって?」


89 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:32:47.52 ID:tIx76X+x0

竜児「忘れたんだ。教えてくれ」ギロ

北村「わかったよ。そんな睨まんでもいいだろう」

竜児「仕様だ」

北村「ああ知ってるさ。で、なんだったか……」

北村「お前と亜美がどうして付き合ったか、って」

北村「俺に訊かれてもなあ。別荘に行ったときにお前たちから訊いただけだし」


90 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:34:36.54 ID:tIx76X+x0

竜児「え? 別荘って夏休みの……」

北村「ああ、夏休みに行った亜美んちの別荘だよ。そこでお前が告白した、って訊いた。というか、お前が言っていた」

竜児「……そうか」

北村「自分自身のことじゃないか。本当に忘れたのか?」

竜児「ああ」

北村「それはどういう……」

竜児「もう一つだけ訊きたいんだが、」

竜児「別荘に行ったのは、俺たち以外に誰がいた?」


91 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:35:50.75 ID:tIx76X+x0

北村「俺とお前と、」

竜児「……」

北村「亜美たち三人だったけど……」

竜児「三人、っていうのは?」

北村「亜美と、木原と香椎」

竜児「(……)」

北村「『やっぱり』って顔してるぞ。でもその様子だと違う答えを期待してたみたいだな」

竜児「……まあな。俺自身なにを期待してたのかわからんが」ガタッ

スタスタ

北村「おい、高須」

竜児「教えてくれてありがとうな北村。ちょっと外で風に当たってくる」

北村「おい、もうすぐ授業……」

……


92 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:36:59.57 ID:tIx76X+x0

――廊下

竜児「……屋上、行くか」

「……」スタスタ

スッ

竜児「――っ!?」クルッ

竜児「――あ」

竜児「あ、あのっ」

「……え?」


93 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 01:39:09.48 ID:tIx76X+x0

竜児「(あ、れ……?)」

竜児「よ、よう(なんで俺、声かけたんだろう)」

「……や、やあ」

竜児「元気、か……?(なんで、俺、)」

竜児「櫛枝」

竜児「(名前知ってるんだろう……)」



94 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 02:00:12.18 ID:tIx76X+x0
櫛枝「う、うん、元気だよ」

竜児「え、えと……」オロオロ

櫛枝「高須くん……だよね?」

竜児「お、おう」

櫛枝「どうしたの? 私になにか用?」

竜児「いや、その……」

竜児「俺たち、前に逢ったこと、あったっけ……?」

櫛枝「え?」

竜児「いや、へ、変な話なんだけど、」

竜児「俺たち、もっと仲良かった気がするんだ」

竜児「なんていうか、よく話してたような」

竜児「気が、する……」

竜児「……」


95 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 02:02:47.48 ID:tIx76X+x0

櫛枝「え、えーと……」

櫛枝「確かに、高須くんとは北村くん絡みで何度かニアミスしてたけど……」

櫛枝「こうやって話すのって、初めてだよね?」

竜児「……そう、か」

竜児「そうだよな。悪い、いきなり話しかけたりして。意味不明だったよな」

櫛枝「いや、大丈夫だよ。唐突だったからちょっとビックリしただけ」

竜児「ほんとごめん。それでさ、櫛枝……」


96 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 02:04:27.15 ID:tIx76X+x0

亜美「ちょっと竜児!」バシッ

竜児「!」

亜美「なーにしてんの! もう授業始まるわよっ!」

竜児「お、おう」

亜美「ごめんね~櫛枝さん、お急ぎのところ邪魔しちゃって」

櫛枝「いいや全然。急いでなかったから。高須くんも気にしないで?」

竜児「ああ。こっちこそ、引き止めて悪かった」

櫛枝「じゃあ、教室戻るから」

亜美「じゃーねー」ノシ


97 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 02:05:32.06 ID:tIx76X+x0

竜児「……」

亜美「ねえ竜児、」

亜美「なーんで櫛枝実乃梨と話してたわけ?」

竜児「……」

竜児「――あいつと、友達、だった」

竜児「……気がする」

亜美「はあ?」

竜児「同じクラスだったはずなんだ、俺と……いや、」

竜児「俺たちと、あいつは」

亜美「な、なに言ってんの? 櫛枝実乃梨は別のクラスじゃん。あんた話したこともないくせに――」

竜児「お前こそ、櫛枝のこと知ってたのか? 二年の途中から転校してきて、俺とあいつとの関係知ってるのか?」

亜美「え……」


99 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 02:07:28.98 ID:tIx76X+x0

亜美「ま、まあ、ね」

竜児「どうやって知り合ったんだ? フルネームを覚えるほど――」

亜美「べっ、別に! たまたま知ってただけで、彼女とは面識ないし!」

竜児「――お前、なにか隠してないか?」

亜美「っ、なにを隠すっていうの?」

竜児「俺さ、思い出したんだ、少しだけ」

竜児「俺は、櫛枝実乃梨と交流があった。向こうはどう思っていたか知らないが……俺は、友達だと、思ってた。いや、むしろそれ以上の」

亜美「――バッカみたい」


100 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 02:08:20.66 ID:tIx76X+x0

竜児「え?」

亜美「バッカみたいって言ったんだよこのド畜生がッ!」ドガッ

竜児「おうっ!?」ドザバァ

亜美「なになになんなのなんなんだよ!? そんなに櫛枝実乃梨と仲良くしたいって言うわけ!? そんな気持ち悪い妄想するぐらいにっ!」

竜児「妄想じゃねえ! 思い出したんだよっ! ……なあ、さっきの様子だとお前も何か」

亜美「うるさいうるさいうるさい!!」

竜児「話を聞けっ!」ガシッ

亜美「あんたこそ聞けっ! 自分が正しいなんて思ってるの? 周りを見てみなさいよ! 違っているのはあんただけ! それをあんたは認めようとしてない!」バッ

竜児「――っ!!」

亜美「いい加減認めなさいよ! 昨日からあんたはおかしいの!」


101 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 02:10:39.72 ID:tIx76X+x0

竜児「……俺が、おかしい、か」

竜児「確かにそうかもしれないな、お前たちにとっては」

亜美「なっ、」

竜児「だが俺にとってはこれが、この俺自身の記憶だけが真実だ」

竜児「周りと違っていても、そう思うんだから仕方ねえだろ」

キーンコーンカーンコーン…

102 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 02:13:07.73 ID:tIx76X+x0

亜美「……なにカッコつけたこと言ってんだか。記憶曖昧なくせになにが真実だっつーの」

竜児「むう……」

亜美「……」ハァ…

亜美「ほら、チャイム鳴ったから教室行くよ」ガシッ

グイッ

竜児「あ」

竜児「ひ、引っ張らなくていいから」

グイグイ

竜児「おい川嶋っ」

亜美「――っ」

グイグイグイ

竜児「……」

……


103 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/07(日) 03:10:52.55 ID:tIx76X+x0
すまない、寝落ちしてた
というか今日はもう寝ます
見てくれた人、いないかもだけど
明日、というか今日? 書き溜め全放出します
っつってもそんなにないけど
待ってくれてたのに放置?してすまんかった
ではノシ

108 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:02:08.64 ID:QTuy/CgB0
おまたせ
見てくれてる人ありがとう
では残りをうpしていきます
っていっても書き溜めそんなに多くないです
うpし終わったら明日から続き考えるので、時間ください
じゃあ始めます

109 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:02:50.06 ID:QTuy/CgB0
……

――昼休み、教室

亜美「竜児ー、お昼……」

亜美「いねえし」

春田「亜美ちゃんどったのー? 高須なら授業終わってすぐどっか行ったよー」

亜美「……ったくあいつは」チッ

春田「え?」

亜美「ううん、なんでもないよぉ」ニコ


110 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:04:08.91 ID:QTuy/CgB0

――屋上

竜児「太陽がかわいている……」

スタスタ

櫛枝「高須くん、来たけど……」

竜児「おう、櫛枝。悪いな、さっき話したばっかなのにまた呼び出したりして」

櫛枝「それは別に……でも、なんで屋上に? 教室じゃ駄目だった?」

竜児「ああ、念のため、というか(あいつに見つかったら何言われるかわかんねえしな)」


111 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:05:51.59 ID:QTuy/CgB0

竜児「――ここ、覚えてないか?」

櫛枝「え? なにを?」

竜児「二年になって一ヶ月もしない頃だったかな……ここでお前がジャンピング土下座したんだよ」

櫛枝「ええッ!?」

竜児「うん、俺もそのときは驚いた。だってそれまでお前が怒っているのかと思ってたからな。それでお前は俺とた――」

竜児「た……」

竜児「……クソッ」チッ


112 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:07:29.38 ID:QTuy/CgB0

櫛枝「……ねえ、高須くん? なにを言ってるの? 私がジャンピング土下座って、なに?」

竜児「……」

竜児「櫛枝、あれ覚えてるか? お前がバケツでプリンを」

櫛枝「ちょっと待って! さっきから意味わからない話ばっかり……どうしたの?」

竜児「……っ」

竜児「なあ、櫛枝……なにか忘れてること、ないか?」

櫛枝「忘れてること、って」

竜児「――俺さ、記憶喪失なんだ」


113 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:08:13.34 ID:QTuy/CgB0

櫛枝「!?」

竜児「いや、少し違うか」

竜児「まあ、名前なんかはどうでもいいんだ、それより」

竜児「少しずつだけど、思い出してるんだ」

竜児「俺の記憶では、俺とお前は同じクラスで」

竜児「……友達だった」

竜児「そして、俺はそれ以上に、お前のこと……」

竜児「――好き、だった」


114 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:13:04.57 ID:QTuy/CgB0

櫛枝「……好き。私のことが」

竜児「ああ。でもそれは」

櫛枝「川嶋さんは?」

竜児「え?」

櫛枝「高須くんは、川嶋さんと付き合っているんでしょ?」

竜児「いや、それはそうらしいんだが、俺は覚えていなくて、」

櫛枝「なにそれ」


115 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:14:01.48 ID:QTuy/CgB0

櫛枝「川嶋さんと付き合っている、でも私が好き? なにそれ?」

竜児「違う違う! それは記憶を失くす前の俺で」

櫛枝「ねえ、高須くん。さっきからさ、なに言ってるの? 記憶がどうとか、もしかして電波?」

竜児「だから違うんだって! 聞いてくれ櫛枝!」

櫛枝「あのさあ、もしかして私をからかってるのかなあ? 彼女いるのに好きだとか、記憶がなくなる前は友達だったとか」

櫛枝「馬鹿にするのもいい加減にしてくれない? 自分がなに言ってるかわかってる?」

竜児「――っ!!」ガァーン


116 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:15:02.20 ID:QTuy/CgB0

櫛枝「……じゃあね、もう話しかけないで。あと浮気はやめた方がいいよ」

竜児「――ま、待ってくれ! 最後に一つだけっ!」

櫛枝「……なに?」

竜児「誰か一人、思い出せない人がいるんだ。とても大切な……」

竜児「お前も知っているはずだ! 覚えてないかっ!? お前の――」


117 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:24:00.16 ID:QTuy/CgB0

亜美「竜児ッ!!」バンッ

竜児「!!」

亜美「あんたまた……」

櫛枝「ああ、川嶋さん。安心して。私、高須くんに興味ないから」

亜美「?」

櫛枝「あなたも大変ね、こんな電波男が彼氏だと」

櫛枝「じゃあね」スタスタ

亜美「あ、うん……」


118 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:26:38.12 ID:QTuy/CgB0

亜美「……なんなのあいつ? ねえ竜児」

竜児「……」

亜美「竜児?」

竜児「……なあ、川嶋ぁ」

竜児「俺って、おかしいかな……?」ポロ…

亜美「(ああ、変なこと言って櫛枝実乃梨に嫌われた、ってところね)」

亜美「そうね、ちょっとおかしいわね(さっきも言ったけど)」


120 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:27:59.53 ID:QTuy/CgB0

竜児「ぐっ……」

亜美「大丈夫」ダキッ

竜児「っ!?」

亜美「もう、そういうのやめよう? 記憶とか、なにが誰と違うとか、考えるの」

亜美「忘れたままでいいじゃない。思い出したところで、またさっきみたいに電波扱いされるだけよ」

竜児「でも……」

亜美「やり直そう、って決めたじゃない。無理に思い出さなくてもいいの。記憶がなくたって、誰もあんたのこと嫌ったりしないから、そのままでいればいいの。あたしたちの関係だけじゃなくて、これから全部、また始めればいいの」

竜児「かわ、しま……」


121 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:29:22.72 ID:QTuy/CgB0

亜美「大丈夫、もし一人になっても、あたしは竜児の味方」ニコ

竜児「……ぅ、ぁ」ポロ…

竜児「うあぁぁ……」ギュ

亜美「うんうん、辛かったんだよね。誰も味方がいなくて」ナデナデ

竜児「あぁぁっ……っくぁ」ギュウッ

亜美「よしよし」ナデナデ


122 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:33:27.56 ID:QTuy/CgB0

竜児「あ、み……」

亜美「ん?」

竜児「亜美……」

亜美「なぁに?」

竜児「亜美……亜美……」

亜美「ここにいますよ」

竜児「……亜美」


123 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:34:11.17 ID:QTuy/CgB0

亜美「はい」

竜児「好きだ」

亜美「――はい」

亜美「(やっと、言ってくれた……言ってもらえた……)」

亜美「あたしも、」

亜美「あたしも、あなたが好きです」

竜児「亜美」

亜美「竜児」

竜児「……」

亜美「ん……」

……


125 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/08(月) 00:41:12.94 ID:QTuy/CgB0
やべ、もう終わっちゃった
これで第一部?完です
この先の展開はまだまとまってないので、続きうpには時間かかるかも
ここまできたからには、完結させたいので、もうしばらくお付き合いください
では、しばしノシ

140 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/10(水) 22:12:56.73 ID:woPR9XU/0
書き終わってからうpしようかと思ってたんだが……
ちょくちょくうpする方がいいの?

――数日後

141 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/10(水) 22:14:13.54 ID:woPR9XU/0

――深夜、高須家

……じ

竜児「zzz……」

……ゅうじ

竜児「……」

りゅう、じ……

竜児「ん……」ゴソ

――竜児

竜児「んあ……?」


142 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/10(水) 22:15:22.01 ID:woPR9XU/0

竜児「……泰子? もう帰ってきたのか?」

シーン…

竜児「あれ……?」

竜児「気のせいか……」

竜児「zzz……」

竜児……

――第二部


145 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/10(水) 22:41:25.93 ID:woPR9XU/0

チュンチュン…

アーターラシーイーアーサガキーター

竜児「っ!?」ガバッ

キーボーウノーアーサーガー

竜児「なんだ、びっくりした……」

カチ

竜児「(亜美が昨日持ってきて――)」

亜美『あんた最近あたしに起こしてもらえるからって、怠けすぎ! コレ使って早起きしなさい!』

竜児「(って置いてったんだっけ)」

竜児「ふわぁ……」

竜児「(……あの時から、専ら俺が起こされる側になってるな)」

竜児「(……)」

竜児「よし、飯、作ろう」スクッ


146 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/10(水) 22:42:24.99 ID:woPR9XU/0

竜児「(えーと、残り物はなにがあったか)」ガチャ

竜児「あ……」

竜児「(このプリン……)」

亜美『これは明日食べるんだから、ちゃんと取って置いてよ! 有名店の限定プリンなんだから、絶対食べちゃダメよっ!』

竜児「……」フフッ

竜児「(毒されてるよなあ、この家も、俺も)」


147 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/10(水) 23:42:48.81 ID:woPR9XU/0
……

――朝、通学路

亜美「おはよー」

竜児「おう、おはよう」

亜美「あら、あんた……」ジー

竜児「ん?」

亜美「なんかいいことあった?」


148 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/10(水) 23:43:32.08 ID:woPR9XU/0

竜児「え? あ、いや、別に」

亜美「そう? なーんかニヤニヤしてる。気持ち悪い」

竜児「きっ……」ガーン

亜美「うそうそ冗談だって! ……でも、ホントに嬉しそうな顔してるよ」

竜児「そうか……よくわかったな」

亜美「わかるよ~。だってぇ……」

亜美「竜児の彼女だもん」

150 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 00:08:36.15 ID:baVhZidl0

竜児「……そうか」

亜美「で、なにかいいことあった?」

竜児「そうだなー」

亜美「?」

竜児「お前と一緒にいられて、俺は幸せだなーと思ってな……」キリッ

亜美「……」

竜児「……」


151 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 00:10:59.87 ID:baVhZidl0

亜美「……ぶはっ」

亜美「あははははははっ!」ゲラゲラ

竜児「っ、おい! ここ笑うとこか!?」ドギャーン

亜美「ははっ! だ、だってあんた……っくく」

亜美「なんか……っあはははは!」

竜児「ええー……」ガビーン

亜美「あーあーごめんごめん! だってあんたが急にそんなこと真顔で――」

亜美「……って、あれ?」

竜児「先行くぞー」スタタタッ

亜美「あーん待ってよぉ~」タタッ


152 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 00:12:11.08 ID:baVhZidl0

……

――教室

ガラッ

竜児「ふうっ」

北村「おはよう高須」

竜児「おう、おはよう北村」

北村「どうした? こんなに早く来て。なにかあるのか?」

竜児「いーや。最近運動不足だから走ってきた」

北村「そうかぁ? だってお前毎晩亜美とぶぐはっ」ドゴォッ

亜美「テキトーなこと言ってんじゃないっ!」ハァハァ


153 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 00:13:03.50 ID:baVhZidl0

竜児「おう、おはよう」

亜美「『おう、おはよう』じゃないわよ! なんで先に行っちゃうのよ!」ハァハァ

亜美「普通そういうのは冗談で、ちょっとしたら待っててくれるもんでしょ! それなのにあんたは学校まで全力疾走だし」

竜児「もとを糺せばお前が爆笑してたからだな……」

北村「なになに? 高須が先にイッちゃったって?」ムッハー

竜児「お前は黙ってろ」
亜美「あんたは黙ってて」

北村「うう……付き合いだしてからお前たち俺に冷たいぞ……」


154 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 00:47:13.30 ID:baVhZidl0

亜美「もう、なんで遅刻でもないのに朝っぱらから走らなきゃいけないわけ?」

竜児「ダイエットだよダイエット」

亜美「む……」ブスー

竜児「ん?」

亜美「それって、あたしが太ってるって言いたいの?」

竜児「え? いやいや、そんなわけねえだろ」

亜美「だって、朝から走らなきゃいけないほどなんでしょ?」

竜児「おいおい、なに本気にしてるんだよ。俺が必要ないって言っても、モデルなんだから、って自分でいつも言ってるだろ」

亜美「そうだけど……竜児に言われるとなんかイヤ」

竜児「はあ?」


155 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 00:52:05.99 ID:baVhZidl0

能登「みんなおはよーう」

春田「うぃーっす。 WAWAWA忘れ物~」

竜児「おはよう。それと春田、なんか違う」

亜美「! あーん能登くん春田く~ん!」ウワーン

能登「ど、どうしたの亜美ちゃん?」

亜美「竜児がぁ、あたしのこと太ってるっていじめるのぉ」グスン

竜児「っ!? おい亜美」

春田「なんだってぇ? そいつは聞き捨てならねえなぁ~」


156 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 00:53:46.34 ID:baVhZidl0

竜児「(また面倒な……)あーはいはいわかりました! 亜美は全然太っておりません! いつも完璧なプロポーションを維持しております!」

亜美「……」ニヤ

亜美「あーらそんなに褒めなくてもいいのよ竜児~。確かにあなたの言うことは尤もだけど、そんな風に高らかに宣言しなくてもぉ(ふふっ、あたしを朝から汗だくにした罰よっ)」

竜児「はい! うちの冷蔵庫にあの店の限定プリンを取って置いているのも、学校ではダイエットとか言って少食気取ってるくせに、家では夕食をがっつり喰っていることもいいません!」

亜美「だあああ!! 皆まで言わんでいいっ!!」バシッ

ハハハ…


157 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 00:54:35.56 ID:baVhZidl0

――竜児

竜児「え?」

亜美「え?」

竜児「今、俺のこと呼んだか?」

亜美「はあ? あたしじゃないわよ」

能登「俺も違うぞ」

春田「右に同じ~」

北村「右におなに~」

亜美「空耳じゃない?」

竜児「うーん」

キーンコーンカーンコーン…


164 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 01:44:46.41 ID:baVhZidl0

……

春田「そんでぇー、学園祭のクラスの出し物についてなんですけど~」

亜美「みんなから意見ありますか~?」

ザワザワ…

竜児「(学園祭、ねえ……)」ボーッ

能登「はいっ!!」シュバッ

春田「――っ! はい能登くんっ!!」ビシィッ

能登「僕はぁ~、コスプレ喫茶がいいと思いまぁ~すっ!」

男子「うおおおおおっ!!」

女子「はあああああっ!?」

ガヤガヤ…


165 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 01:45:46.84 ID:baVhZidl0

男子「はいはーい! さんせーい!!」

女子「なに言ってんの! どうせ亜美ちゃんのコスプレ見たいだけでしょ!?」

木原「能登! あんた頭沸いてるんじゃないの?」

能登「うぇwwwひでえwwwww だって俺、木原のチャイナ見たいし!」

木原「きめえよ死ねっ!」

北村「俺も木原のチャイナ見たいし!」

木原「きめえy……え? マジで?」

香椎「まるおならいいんだ……」


166 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 01:48:52.14 ID:baVhZidl0

女子「「とにかく! 断固反対っ!」」

男子「「だが断るっ!」」

亜美「ちょっとみんな落ち着いて~(あーあ、めんど)」

春田「静かに~みんな静かにぃ~! とりあえずコスプレ喫茶にしようぜ~!」

亜美「(おいおい春田……)」

ヤイノヤイノ…

竜児「(コスプレ喫茶かあ……衣装、作らなきゃな……)」ボーッ

竜児「(まずメイド服に……能登はチャイナがいい、と)」

竜児「(でもチャイナにしたらあいつがまた……)」

竜児「(……)」


167 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 01:49:47.21 ID:baVhZidl0

スッ

亜美「(……ん?)はい、高須くん意見どうぞ!」ズビシッ

春田「おおー! たかっちゃん言ってやれ~! コスプr」

竜児「プロレス、ショー」

シーン…

竜児「……なんちゃって」

亜美「……」

竜児「(やべっ、外した……)」

亜美「……あ」


168 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 01:50:50.49 ID:baVhZidl0

恋ヶ窪「さああああんせえええええええいいいッッ!!」ドギャァーン

亜美「!?」

恋ヶ窪「賛成賛成大賛成!! 高須くん流石ねわかってるぅ~! それは彼女にコスプレさせたくないが為? それとも彼女いるからそんなん必要ねえぜ! っていう余裕ぅ~!?」

竜児「ええっ!? いや先生」

独身「あーそーですかそーですか! 30になって婚約者どころか彼氏もいない私への厭味ですかぁ~!」

竜児「……(そんなつもりじゃ……)」ギロ

独神「ぎゃああああ! ごめんなさいごめんなさい言い過ぎました許してやめて殺さないでえええええ……」ヒュバアア…

竜児「あ、え、ちょっと……」


169 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 01:51:56.61 ID:baVhZidl0

木原「ゆりちゃん先生……」

香椎「なんていうか……」

北村「あー、なんも言えねぇ~!」

春田「……うーん、じゃあ、プロレスショー? とコスプレ喫茶とどっちに――」

女子「はあ? その二択はないわー」

男子「だったらお前ら意見出せよ!」

能登「俺は断然コスプレ喫茶を押すねッ!」

竜児「プロレスショーも忘れないでくれ……」

ザワザワ…


170 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 01:52:44.27 ID:baVhZidl0

春田「よーし! じゃあ投票な! みんななにをやりたいか紙に書いて前にまわせーい!」

能登「(よし! 男子全員コスプレ喫茶と書けば当選確実!)」

北村「(皆の者、わかっておるな?)」

男子「「うむ」」

テンテンテケテーン

春田「集まったな~。じゃあ今から引いた紙に書いてあるやつに決定な~!」

能登「……え?」

男子「「ちょっ」」

シュッ

春田「はいコレ! え~と~なになに……プロレス、ショー」

春田「ってゴルァ! なんでコスプレ喫茶じゃないんだよアホたれ~!」

男子「「お前のせいだろがっ!!」」

竜児「(アホはお前だ、春田……)」


171 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 01:53:46.47 ID:baVhZidl0

能登「プロレスショー出したのって……」

ジロッ

竜児「っ……なんだよ、俺だよ」

男子「「おい高須~!!」」

北村「アレか? お前アレか? いつも亜美とコスプレHできるから別に興味ないってか!?」

春田「そもそもなんでプロレスショーなんて挙げたんだよ~!」

竜児「いいだろ別に! なんとなくだよ」

亜美「っていうか祐作黙れ」

……


172 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 01:54:50.64 ID:baVhZidl0

能登「プロレスショー出したのって……」

ジロッ

竜児「っ……なんだよ、俺だよ」

男子「「おい高須~!!」」

北村「アレか? お前アレか? いつも亜美とコスプレHできるから別に興味ないってか!?」

春田「そもそもなんでプロレスショーなんて挙げたんだよ~!」

竜児「いいだろ別に! なんとなくだよ」

亜美「っていうか祐作黙れ」

……

今日はこれにて終了ノシ
すんげー目がショボショボする……

176 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 18:37:13.39 ID:baVhZidl0

――放課後、廊下

亜美「で、結局プロレスショーに決まったわけだけど」

亜美「なんで急にあんなこと言い出したの?」

竜児「だから、なんとなくだって」

亜美「ふーん……まあ、決まったからには仕方ないけど」

竜児「イヤなのか?」

亜美「イヤっていうか……」

竜児「熱演してたけどなあ、主役」

亜美「え?」

竜児「え?」


177 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 18:38:10.89 ID:baVhZidl0

亜美「なに言ってんの、あんた……」

竜児「なに言ってんだろ、俺……」

亜美「(……)」

竜児「(……)」

――高須くん

竜児「?」クルッ

亜美「どうしたの?」

竜児「今、誰かに呼ばれたような……」


178 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 18:39:28.81 ID:baVhZidl0

亜美「あんた、朝もそんなこと言ってなかった?」

竜児「ああ、そうだけど……今のは、朝のと違う声――」

竜児「あ」

櫛枝「……」スタスタ

亜美「あ」

スタスタ

竜児「よう、櫛枝」

櫛枝「……」


179 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 18:40:18.21 ID:baVhZidl0

櫛枝「なにか用?」

竜児「いや、今俺のこと呼んだかなー、って」

櫛枝「呼んでないけど」

竜児「そうか、ならいいんだ。すまん、引き止めて」

櫛枝「……さよなら」

竜児「ああ、またな」

亜美「じゃあねー櫛枝さーん」

スタスタ


180 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 19:00:50.53 ID:baVhZidl0

亜美「……あんたまだ櫛枝実乃梨に嫌われてるわけ?」

竜児「……」

竜児「(あのあと、直ぐに謝りに行ったんだが……)」

亜美「ま、話してくれるだけマシよね」

竜児「(そう簡単には仲良くしてくれないよな)」

亜美「さ、帰ろ」

竜児「(でも、いつかは……)」

竜児「おう」

竜児「(あいつともう一度友達になりたい)」


182 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 21:38:30.23 ID:baVhZidl0

……

――駅前方面

スタスタ

竜児「この前来たばっかりだろ?」

亜美「今日は見るだけだから!」

竜児「そう言ってまた買うんだろ」

亜美「買 わ な い ってば!」


183 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 21:39:53.98 ID:baVhZidl0

ピーポーピーポー

亜美「あ、救急車」

竜児「なんかあったのかな」

スタスタ

ザワザワ…

竜児「駅前で何かあったみたいだ。軽く人だかりが出来てるな」

亜美「うん……」

竜児「警察車両も来てるぞ? なんだろ」

亜美「ねえ竜児、そんなのいいから」

竜児「わかってる。どうせ通り道なんだし、ちょっと見るだけだよ」


184 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 22:23:51.10 ID:baVhZidl0

スタスタ

亜美「ねえ、」

竜児「あ、見えてきた」

亜美「竜児……」

スタスタ

竜児「交通事故みたいだな……」

亜美「――っ!?」

竜児「車同士か……いや、自転車もある」

亜美「あ、あ……」

竜児「ほら、」クルッ

亜美「――」フラ…

竜児「!?」


185 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/11(木) 22:24:48.25 ID:baVhZidl0

ガシ

竜児「亜美? どうした?」

亜美「」

竜児「亜美!!」

亜美「……」

亜美「……だ、大丈夫……早く、あっち、行こう……」

竜児「あ、ああ……」

187 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:32:30.14 ID:qqnThWIA0
……

竜児「(結局、買い物には行かず、亜美を家まで送ることにした――)」

――川嶋家

竜児「そういえば、お前の家に行くの初めてだな」スタスタ

亜美「うん……。あたしの、っていうか、親戚の家だけど」

竜児「おうっ、でかいな……」

亜美「1階が伯父さんたちの家で、2階のアパートの一室を借りてるの」

亜美「ま、食事とかは一緒にとるから、距離のある子供部屋みたいなもんだけど」


188 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:34:13.37 ID:qqnThWIA0

ガチャ

竜児「お邪魔します」

亜美「はい、どうぞ」

竜児「(ここが亜美の部屋か……)」

竜児「なんというか、仮住まい感バリバリだな……」

亜美「そうね。もとはと言えば、ストーカーから逃げるために越してきたんだし」

竜児「もっと、モデルっぽい部屋かと思ってた」

亜美「モデルっぽいってなによ。大丈夫、実家はもっとオシャレだから」


189 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:35:48.64 ID:qqnThWIA0

亜美「何か飲む?」

竜児「いや、いいよ……っていうかお前は休んでろ。俺がやるから」

亜美「大丈夫だって」

竜児「……あのときはビックリしたぞ。急に倒れるんだもの」

竜児「ごめんな、嫌なもん見せちまって……そんなにショックだったか?」

亜美「……」

亜美「……ない?」

竜児「え?」

亜美「覚えて、ない?」


190 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:38:16.08 ID:qqnThWIA0

竜児「なにを?」

亜美「……なら、いいの」

竜児「(ああ……)すまん、覚えてなくて」

亜美「ううん、違うの」

竜児「違う、って?」

亜美「あんたが思ってるようなことじゃなくて」

亜美「……覚えてなくてもいいことだから」


191 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:39:40.99 ID:qqnThWIA0

竜児「なんだ、そりゃあ? うーん……(覚えてなくていいことって……)」

亜美「っ、いいの! 思い出さなくてっ!」

竜児「!! お、おう……」ビクッ

亜美「……」

竜児「だ、大丈夫か? 顔色、悪いぞ?」

亜美「うん、大丈夫。ごめん、急に大きな声出して……」

竜児「それはいいけど……やっぱり休んだ方がいいって」

亜美「え、でも……」

竜児「(あ、そうか。俺がいると着替えとかし辛いよな)」

竜児「じゃあ、俺は帰るから――」

亜美「待って!」ガシッ


193 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:40:30.91 ID:qqnThWIA0

竜児「え、だってお前」

亜美「お願い、行かないで……」ギュ

竜児「でもそれじゃあ着替えとか」

亜美「ここにいて……お願いだから……」

竜児「(うーん……)」

竜児「わかったよ。帰らないから一旦離してくれ」


195 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:41:55.19 ID:qqnThWIA0

亜美「うん……」パッ

竜児「じゃあ、少し寝てろ。……って、お前どこで寝てるんだ? ベッドがねえ」

亜美「布団。押入れに上げてる」

竜児「じゃあ俺がそれ敷いとくから……お前は着替えて、」

竜児「あ、ダメか。うーんとじゃあ――」

亜美「いいよ、ここで着替える」ヌギッ

竜児「ちょ!? 待て待てそれはまずいって! せめて俺は外に」

亜美「いいからそこにいて!」

竜児「(マジかよ……)」


196 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:45:58.55 ID:qqnThWIA0

竜児「……う、後ろ向いてるから、着替えたら言えよ」

亜美「うん」

スルスル…

竜児「(今、俺の後ろで亜美が着替えてる……)」ドキドキ

パサ…

竜児「(うわああああ……)」

竜児「(心を無にしろ、高須竜児。お前の任務は布団を敷くことだ……)」

亜美「……」


197 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:49:24.98 ID:qqnThWIA0

竜児「も、もういいか?」

亜美「いいわよ」

竜児「(ふう……なんとかなった)」クルッ

竜児「!?」

竜児「(Yシャツ一枚……だと……)」

竜児「お、おまっ、着替えてねえじゃねえかッ!!」

亜美「いつもこの格好で寝てるの」

竜児「嘘つけっ!」

亜美「嘘よ。だってあんたがそこにいるから着替えが取れなかったんだもん」

竜児「ぐっ……(それにしても、その格好は反則だろ……)」


198 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:51:57.49 ID:qqnThWIA0

亜美「なによ、ジロジロ見て」ニヤ

竜児「んなっ!? み、見てねえよ!」ドキドキ

亜美「いいのよ~。別に見たって」

竜児「(こいつ……)いっ、いいから! 着替えたなら布団入って寝ろよ!」クルッ

亜美「……」

ギュッ

竜児「うおぅっ!?」ドキーン

竜児「な、ななななんで抱きつく!?」

亜美「ねえ竜児、あたしって魅力ないのかな……?」ギュ


199 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:54:05.32 ID:qqnThWIA0

竜児「そそ、そんなわけ、ないだろ……お前だってわかってるくせに」

亜美「だって、竜児がいつまでたっても……」ボソッ

竜児「俺がなにかしたか?」

亜美「なにもしないから問題なの!」

竜児「え、それはどういう……」

亜美「……そ、それをあたしから言わせるの?」///

竜児「くぁwせdrftgyふじこlp;」

亜美「ねえ」

亜美「あたしじゃ……ダメ?」


200 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:56:34.92 ID:qqnThWIA0

竜児「!! 待て、ちょっと待て!」

竜児「今日はお前体調悪いんだから、さ」

亜美「イヤなの?」

竜児「いや、じゃねえ、けど……」

竜児「そういうのは、準備、ってもんが……あるからさ、色々」

竜児「だから――」グッ

亜美「……!?」

竜児「……」

亜美「ん……」

竜児「……今日は、これで勘弁してくれ」

亜美「……」


201 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 00:57:30.45 ID:qqnThWIA0

亜美「……ヘタレ」

竜児「は?」

亜美「このヘタレ! そんなんだから童貞なのよ! それともED!?」

竜児「なっ!?」

亜美「あんたがいつまでも言ってこないから、あたしが誘ってやったってのに……それすら断るっての?」

竜児「付き合って直ぐにがっつくのもどうかと思ったんだよ……」

亜美「そんなこと言ってあんた……もしかして男が」

竜児「んなわけあるかぁっ!!」


202 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 01:03:37.69 ID:qqnThWIA0

亜美「あーあーもういい、あんたのせいでやる気も失せた」

亜美「疲れたから少し寝るわ」

竜児「(最初からそうしろっての……)」ハァ

竜児「じゃあ俺は帰……」

亜美「ダメ。あたしが寝るまでここにいなさい」

竜児「なんでだよ!?」

亜美「いいから!」

竜児「……ったく、わかったよ」


203 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 01:04:38.88 ID:qqnThWIA0

ゴソ…

亜美「ねえ」

竜児「ん?」

亜美「手」スッ

竜児「はいはい」ギュ

亜美「……ねえ」

竜児「ん?」

亜美「好きだよ、竜児」



204 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 01:05:49.94 ID:qqnThWIA0

竜児「……おう」

竜児「俺も……好き、だぞ」

亜美「ん」

亜美「おやすみ」

竜児「おやすみ」

亜美「……」スースー

竜児「(……ごめんな)」

竜児「……」


205 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 01:09:28.11 ID:qqnThWIA0
キリのいいとこだけど、どうしようか……
切り上げて、明日にするか
もう少し続けて途中で終わるか
そろそろ寝たいんだが

208 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 01:24:22.25 ID:qqnThWIA0

……

――高須家

竜児「ただいま」

泰子「おかえり~! 今日は遅かったねえ~」

竜児「ああ、悪い。すぐ飯作るから」

泰子「あとぉ、インコちゃんの餌が無くなってるよぉ~」

竜児「ああ、ごめんなーインコちゃん。すぐ用意するから」

インコちゃん「あーい」


209 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 01:25:27.01 ID:qqnThWIA0

……

竜児「ふう……」

竜児「そうだ、プロレスショーの台本……」

春田『言いだしっぺの法則~! たかっちゃんが脚本ね!』

竜児「書かないとな……」

竜児「(えーと確か、)」

竜児「(……確か?)」


210 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 01:26:14.80 ID:qqnThWIA0

竜児「……え、あれ?」

竜児「(おいおい待て待て。なにを言っている高須竜児)」

竜児「(一体なにを 書 こ う と し て い る ?)」

竜児「なにって……プロレスショーの台本を」

竜児「(何故お前は、)」

竜児「(その思いつきで提案したプロレスショーの内容を)」

竜児「(やったこともない出し物の内容を)」

竜児「(覚 え て い る?)」


211 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 01:27:32.18 ID:qqnThWIA0

竜児「!?」

竜児「(だって、それは春田が――)」

竜児「え……?」

竜児「(なんで春田の名前が出てくる?)」

春田『……責任を感じたんだよね。だから……これ……俺、作ってみた。だ、台本』

春田『みんな~、頼むから興味もってくれよぉ~……もう後戻りできないんだって~』

竜児「――っ!?」

竜児「(そうだ……思い出した)」

竜児「(確か――)」


212 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 01:29:02.74 ID:qqnThWIA0
今日はここまで
おやすみ

220 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:11:35.11 ID:qqnThWIA0
さて、始めますか
今日で第二部が終わります


221 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:14:09.51 ID:qqnThWIA0

……

――明日、教室

竜児「プロレスショーの台本、書いてきた」

能登「はあ~? あれホントにやるのかよ~」

春田「おお~、さっすが仕事早いなたかっちゃ~ん!」

竜児「おう……(お前の考えたやつけどな……)」

竜児「みんなの分、刷ってきたから、回してくれ」


223 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:15:24.36 ID:qqnThWIA0

……

竜児「みんな、回ったか?」

香椎「うん、回ったよ~」

北村「ふむふむ」

クラスのリーダー・亜美ちゃんのもとで、2-Cの生徒はみんな仲良く、平和に暮らしていました。

亜美「え……?」

女子「へえ、亜美ちゃんが主役か~」

能登「ま、普通そうだよな~」


224 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:16:28.60 ID:qqnThWIA0

しかし、その平和を疎ましく思う者がいたのです。悪の化身・手乗りタイガーと、その手下でヤンキーの高須竜児です。

男子「高須がヤンキー役……嵌りすぎて恐い」

女子「確かに……」

木原「っていうか手乗りタイガーって誰?」

亜美「――っ」


225 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:17:09.20 ID:qqnThWIA0

手乗りタイガーとヤンキーに襲われる2-C。そして亜美ちゃんの奮闘虚しく、2-Cの仲間たちは手乗りタイガーによって洗脳されてしまいました。

男子「洗脳!?」

春田「やだあ~、超たいへ~ん!」

女子「春田、それアンタが言うセリフじゃない」

亜美「……」


227 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:18:02.91 ID:qqnThWIA0

手乗りタイガーの一味として大暴れする2-Cの仲間たち。しかし、亜美ちゃんの必死の説得により、洗脳は解けます。力を合わせて手乗りタイガーとヤンキーを追い払い、めでたしめでたし。ハッピーエンド。

亜美「なによこれ……」

女子「へえー、結構ちゃんとしてんじゃん」

男子「それよりこの手乗りタイガーって――」

亜美「なによこれ!!」


228 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:19:10.86 ID:qqnThWIA0

一同「!?」

シーン…

亜美「ちょっと竜児!」ズンズン

竜児「どうした? 亜美」

亜美「なんなのよこの台本は!?」

竜児「なんなのって、どういう意味だよ」

亜美「だってこれは春田くんが――」

亜美「……あ」


229 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:20:09.74 ID:qqnThWIA0

春田「なに~? 俺がどうしたって亜美ちゃ~ん?」

木原「亜美ちゃん、もしかして主役やりたくないの?」

女子「亜美ちゃんがキレたの初めて見た……」

男子「もしかして高須とケンカ中?」

亜美「……っ」

亜美「ご、ごめんみんな~! 急に大声出したりしてぇ~!」

亜美「ちょっと竜児借りるわね~」ガシッ

竜児「……」

ダダダ…

能登「どうしたんだろ、亜美ちゃん」

北村「さあ……」


230 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:24:48.77 ID:qqnThWIA0

……

亜美「あんた一体どういうつもりよ!」

竜児「どういうつもりって、台本を書いてきただけだが」

竜児「お前こそ、どういうつもりだ?」

亜美「え……」

亜美「だ、だって、その台本は――」


231 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:26:26.65 ID:qqnThWIA0

竜児「春田が考えた」

竜児「って、言いたいのか?」

亜美「!?」

竜児「……そうみたいだな」

竜児「どうして俺が初めて見せた台本を、急に春田が考えた、なんて言ったんだ
? 春田はなんにも言ってないぞ?」

亜美「……」


232 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:28:25.76 ID:qqnThWIA0

竜児「ふぅ――」

竜児「……お前の言う通り、これは春田が考えたプロレスショーの台本だ」

竜児「しかし、春田自身はそれを覚えていない……そしてそれ以前に」

竜児「今までプロレスショーなんてやったこともない」

亜美「!!」

竜児「それが何故、春田のだと言えるか――」


233 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:30:16.63 ID:qqnThWIA0

竜児「……俺、思い出したんだ」

竜児「俺は……俺たちは、今と同じ時期に文化祭でプロレスショーをやったんだ。恋ヶ窪が入れた投票用紙を春田が引いて、春田が台本を考えて……」

竜児「ただ、やったのは“ここ”じゃない」

竜児「ここからは、俺の想像だが」

竜児「俺たちは、今いる“ここ”じゃなく……同じ時間だけど、別の次元――」

竜児「なんと言えばいいのかよくわからないが、そういった、“もう1つの世界”にいたんじゃないかって――」

亜美「……ぷっ」


234 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:32:41.55 ID:qqnThWIA0

亜美「あっははははは!」

竜児「……」

亜美「なに? 自分がもう1つの世界からきた? そっちでプロレスショーをやった?」

亜美「あーっはっはっはっは……」

竜児「笑うのか」

亜美「ははっ、だってこんな冗だ」

竜児「俺は本気だぞ」

亜美「」


235 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:38:47.28 ID:qqnThWIA0

亜美「……本気で言ってるなら流石に笑えないな」

亜美「そればっかりはあたしもフォローできないわ。クラスのみんなにも言うつもり? 冗談としか思われないわよ。それとも櫛枝実乃梨のときみたいに嫌われたいの?」

竜児「いや、みんなには言わない」

竜児「言ったらまあそうなるだろうな。それを確認するためにみんなに台本を見せたんだ」

亜美「はあ?」

竜児「俺の予想が正しければ……こっちの世界の人間なら、これを初めて見た台本だと思う。だが、俺と同じ世界から来たやつがいるとしたら――この台本、見たことあるなと思うだろう、ってな」


236 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:40:04.99 ID:qqnThWIA0

竜児「そして台本を読んだ時点で、原作者の春田を含めクラス全員、誰も何も疑わなかった」

竜児「亜美、お前を除いてな」

亜美「っ」

竜児「何人かいると思ったんだが……」

竜児「どうやらこのクラスではお前だけのようだな」

竜児「まあ、お前は以前からたまに、俺から見ておかしなところがあったから、目を付けてたんだがな」


237 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:51:32.78 ID:qqnThWIA0

亜美「……」

竜児「俺の話はこれで終いだ。思い出したこともプロレスショーのことだけだし、今言ったことも只の想像だ。正解かどうかもわからない――だが」

竜児「ただ一つ、確信がある。それは――」

竜児「川嶋」

亜美「!」ビクッ

竜児「お前、なにか知ってるだろ?」

――To be continued…


238 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 21:58:27.78 ID:qqnThWIA0
さあ、第二部終わったわけだが
まだまだ終わる気配がないね……
これで書き溜め終わったんで、また時間ください
ちゃんと完結させるつもりなんで、時間あいてもご辛抱を

241 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/12(金) 23:37:04.64 ID:qqnThWIA0
>>239
>>240
そういってもらえてとても嬉しいです
頑張って書きます

244 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 14:20:20.36 ID:NADumf7P0
やあ
誰かいるかな?

249 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 14:30:25.64 ID:NADumf7P0
>>245ごめん

252 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 14:35:13.95 ID:NADumf7P0
>>251こういうツンデレは好きじゃないなあ

254 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 14:39:54.09 ID:NADumf7P0
>>253わかった

255 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 14:42:23.95 ID:NADumf7P0

――第三部

竜児「なあ、知ってるんだろ? 教えてくれよ。この世界のこと、俺の記憶のこと、それと……」

亜美「――さい」

竜児「あ?」

亜美「うるさいッッ!!」

竜児「っっ!!?」

亜美「知らない知らない知らない! あたしは何にも知らない!!」ブンブン

竜児「そんな筈はない! だったら何で台本のことを知っていたッ!?」ガシッ

亜美「知らないッつってんでしょしつこいわよあんたさっきからあたしに電波飛ばしてんじゃないわよ気持ち悪い近寄らないで離れてっつってんだろ触るな触るな触るなあぁッッ!!」ドンッ

竜児「おうっ!?」ドシャアッ


256 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 14:44:13.91 ID:NADumf7P0

ガンッ

竜児「痛っ……」

亜美「あっ……」ハッ

亜美「ごっ、ごめ――」

竜児「手乗りタイガー!」

亜美「!!」

竜児「台本にあっただろ! 『悪の化身・手乗りタイガー』って! こいつは一体誰なんだ?俺は、こいつのことが、どうしても思い出せないんだ! こいつは、手乗りタイガーは……俺にとって、とても大切な――」


257 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 14:49:54.05 ID:NADumf7P0

亜美「もうやめてっ!!」ギュッ

竜児「んっ!?(む、胸ぇっ!?)」ギュムッ

亜美「ダメっ! もうこれ以上思い出さないで!」ギュー

竜児「んぐぐ……」フガフガ

亜美「思い出したところでどうなるの!? 真実はすべて自分にとっていいものじゃないのよ!」

竜児「んぐっ!?(なんだって……?)」


258 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 14:52:08.13 ID:NADumf7P0

亜美「あの時言ったでしょ? あんたは何も思い出さなくていいの! このまま、あたしと、ここで生きていればいいのっ!!」

竜児「(……)」

亜美「あんたあたしを好きって言ったじゃない! あたしを好きなら、お願い……」

亜美「もう、これ以上っ、思い出さないで……」グスッ

亜美「あたしにもう、あのことを、思い出させないでっ……!」ポロポロ…

竜児「(……)」

竜児「(俺は――)」


259 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 15:13:50.86 ID:NADumf7P0

竜児「んんー」ポンポン

亜美「え……あっ」ガバッ

竜児「ぷはっ」

亜美「ごっ、ごめん……」

竜児「いや、大丈夫。むしろご馳走様っていうか……」

亜美「え?」

竜児「な、なんでもない! ってお前、涙拭けよ。可愛い顔が台無しだぞ」ゴソゴソ

竜児「ほれ、これまだ使ってないから」スッ

亜美「あ、うん……ありがと」グス


261 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 15:20:27.09 ID:NADumf7P0

竜児「……」

竜児「あのさ……」

亜美「ごめんなさい!」

竜児「!」ビクッ

亜美「急に取り乱して大声だして突き飛ばしちゃって」

竜児「え、いや、その」

亜美「あたしのこと嫌いになった?」

竜児「そ、そんなこと、ねえけど……」


262 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 15:21:15.65 ID:NADumf7P0

竜児「って違う、そうじゃなくて」

亜美「よかった! あたし竜児に嫌われたら生きていけないもん」

竜児「お、おい(なに言ってんだよ)」

亜美「あ! もう教室戻らないと! 遅いからみんな心配してるよね。さっきの大声聞こえてたらどうしよ~」

竜児「(まずい、またあっちのペースに――)おい川嶋っ」

亜美「」


264 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 15:42:34.28 ID:NADumf7P0
>>263自分が原作派なので、
原作読んでないとわからないようなとこが多々あると思われ
それ以前に地の文がないからわかりにくいですよね

265 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 15:43:40.03 ID:NADumf7P0

亜美「……どうして?」

竜児「え?」

亜美「どうしてまた“川嶋”って呼ぶの?」

竜児「……」

竜児「聞いてくれ川嶋」

亜美「ねえ、なんで?」

竜児「川嶋」

亜美「なんで“亜美”って呼んでくれないの?」

竜児「かわしまぁっ!」

亜美「っ!!」ビクッ


266 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 15:45:13.06 ID:NADumf7P0

竜児「……俺は“あっち”でお前のことをこう呼んでいたはずだ」

竜児「だから“こっち”でもこう呼ぶ」

亜美「な……」

竜児「俺は戻るぞ」

亜美「――っ」

竜児「お前が言うように……いや、真実を知るお前が言うんだからそうなんだろうが」

竜児「たとえ、真実が、俺がもといた世界が、俺にとって悲しいものであっても」

竜児「それでも……俺は……」

竜児「俺は、それを知りたい」

竜児「そして、帰りたい――」

竜児「……“俺が在るべき日常”に」


267 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 15:55:15.44 ID:NADumf7P0

亜美「……」

竜児「……声がさ、聴こえたんだ」

亜美「……え」

竜児「お前は、気のせいだ、空耳だ、って流してたけど……」

竜児「多分、あれは、向こうにいるみんなの――」

竜児「手乗りタイガーの声、なんだと思う」

竜児「俺のこと、呼んでたんだ。あっちの世界から」

竜児「早く戻って来い、ってさ……」

亜美「――」


268 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 15:58:47.49 ID:NADumf7P0

竜児「だから、教えてくれ。川嶋」

竜児「真実を……」

竜児「……」

亜美「もとのせかいにかえりたい、ねえ……」

亜美「そんなに“ここ”がイヤなんだぁ……」

亜美「そんなにあたしといるのがイヤなんだあ……」

竜児「っ、そんなことは」

亜美「だってそうでしょう!?」


269 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 15:59:54.40 ID:NADumf7P0

亜美「声が聴こえたから、俺を呼んでるから、俺は帰りたい! ここにはいたくない! って」

竜児「ちっ、違う! そうじゃない!」

亜美「なにが違うっていうの!?」

竜児「うっ……」

亜美「それとも――そっか、やっぱり」

竜児「なんだよ」

亜美「やっぱりあたしが……あたしが彼女なのがイヤなんだ! あたしと一緒にいたくないから……だから、恋人同士じゃないあそこに戻りたいんだ!」


270 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 16:02:06.10 ID:NADumf7P0

竜児「な、なに言って――」

亜美「竜児は、もう……」

亜美「あたしのことが好きじゃないんだ……」ポロポロ…

竜児「――っ」

亜美「そっか……」

亜美「じゃあ、別れよう」

竜児「え(違う……)」

亜美「今日はもう、帰るね」

竜児「あ……(違うんだ、俺は)」



271 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 16:03:43.29 ID:NADumf7P0



亜美「ばいばい、高須くん」



竜児「――っ!?」


――『ばいばい、高須くん』


竜児「(今の……)」


亜美「……」スタスタ…

竜児「あ……」


竜児「か、」

竜児「かわ、しま……」



竜児「……」

……


272 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/13(土) 16:04:52.23 ID:NADumf7P0
今日はここまで
バイト行ってきます

279 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/14(日) 00:53:58.02 ID:Tr/jsonp0
ただいま
寝る前にほんの少しだけ書いたので投下

>>276
原作→アニメだと端折が我慢できなかったなあ
全部見たけど
BGMはよかった

280 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/14(日) 01:07:01.09 ID:Tr/jsonp0

――教室

竜児「……」ガララッ

能登「おっ、高須帰ってきた」

香椎「……あれ? 亜美ちゃんは?」

竜児「(……)」

竜児「体調悪いから帰った」

能登「マジで? 大丈夫かな……」


281 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/14(日) 01:08:15.66 ID:Tr/jsonp0

竜児「木原、香椎」

木原「え?」

香椎「なに?」

竜児「すまないが、授業が終わったら、川嶋の荷物、家まで届けてくれないか?」

木原「いいけど……それなら高須くんが行けば――」

竜児「頼む」

木原「……うん、わかった」


282 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/14(日) 01:11:09.52 ID:Tr/jsonp0

竜児「ありがとう。……それと春田」

春田「え? あ、はい!」

竜児「……主役がいないから、今日は練習なしでいいか?」

春田「ああ、そう、だな~……仕方ないよな、亜美ちゃんいないし。今日は台本読んどくかぁ~!」

竜児「ああ、悪いな」ガタガタ

北村「おい、高須? なにしてるんだ?」


283 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/14(日) 01:16:29.53 ID:Tr/jsonp0

竜児「……今日は俺も帰る」

北村「帰るってお前、まだ授業――」

竜児「すまん、北村」

北村「……」

北村「亜美と、なにかあったのか……?」ジッ

竜児「……」

北村「……あったんだな」

竜児「お前のその眼……」

北村「え?」

竜児「変わらないな……」

スタスタ

北村「あっ、おい!」

北村「高須……」

……


284 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/14(日) 01:20:06.95 ID:Tr/jsonp0
こっから先、なかなか筆が進まない……
投下遅くても、気長にお待ちください
あまりツンデレに耐性ないので
ではノシ

288 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:25:59.68 ID:7e5qAcF40
続き投下していきます



竜児「勢いで俺までサボっちまった……」

竜児「……制服のままうろつくのもまずいし――帰ろう」

竜児「……」スタスタ…

――高須家

竜児「ただいま……」

泰子「おかえり~」

竜児「あ(やべ、泰子いたんだった……)」

泰子「竜ちゃん、今日は早いねぇ~」

竜児「ああ……」


289 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:27:06.43 ID:7e5qAcF40

竜児「飯、食ったか?」

泰子「うん! 竜ちゃんはぁ?」

竜児「食ったよ」

泰子「あれぇ~? 今日は亜美ちゃん一緒じゃないのぉ~?」

竜児「……っ」

竜児「……流石に毎日一緒にはいねぇよ」

竜児「それに――あいつも、今は俺といたくないだろうし」

泰子「え~、そんなことないよぉ」


290 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:28:04.78 ID:7e5qAcF40

竜児「……なんでわかるんだよ」

泰子「わかるよぉ~!」

泰子「亜美ちゃんはぁ、竜ちゃんといつも一緒にいたいって思ってるよぉ。竜ちゃんのことだぁいすきだって」

泰子「亜美ちゃんがやっちゃんに言わなくても、やっちゃんにはわかるもん」

泰子「だってもう――」

泰子「亜美ちゃんは家族だもん」


291 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:30:02.08 ID:7e5qAcF40

竜児「――っ」

竜児「……家族」

竜児「たった数日過ごしただけで、家族だなんて」

泰子「数日じゃないよぉ! もっと一緒にご飯食べたよぉ~!」

竜児「俺は違うんだよっ!」

泰子「……竜ちゃんはぁ、亜美ちゃんのこと好きじゃないのぉ?」

竜児「……そうじゃない……そうじゃねぇんだ」

竜児「そうじゃなくて、もっと……もっと前から」

竜児「一緒に暮らしてたやつがいただろ……」

泰子「えぇ~? う~ん……」

竜児「……」


292 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:31:00.90 ID:7e5qAcF40

泰子「わかんないなぁ、だぁれ?」

竜児「……そうか」

竜児「なんでもないんだ。忘れてくれ」

泰子「うん~! それとぉ、やっちゃん今からちょっと出かけてくるねぇ~」

竜児「おう」

……

竜児「(どうすれば……帰れるんだ……)」

竜児「家族……か……」

亜美『ばいばい、――高須くん』

竜児「(あいつなら、知っているんだろうか……)」


293 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:33:20.03 ID:7e5qAcF40

――……じ

竜児「……!?」

――竜児

竜児「あ……」

――竜児

竜児「っ、ど、どこだ? どこからっ……」

竜児「なあっ! どうすればいい!?」

竜児「手乗りタイガー!!」

……

竜児「……クソッ」ゲシッ


294 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:36:30.01 ID:7e5qAcF40

インコ「ひでぶっ!」ガタンッ

ガラガラ…

竜児「おうっ!?」

竜児「悪い、インコちゃん! 今のは決して八つ当たりではなく……」

インコちゃん「ワタシ……ニホンゴ……ワカラナイ……」

竜児「……」

竜児「すまんっ! すぐ片付けるから取り敢えずこっちに移動――」

竜児「……ん?」


295 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:37:54.84 ID:7e5qAcF40

竜児「あれ……この襖の……」

竜児「(花びらの形の、和紙……)」ピト

――『……襖』

――『襖、穴を開けてしまったけど……あれって随分お金かかるの?』

竜児「あ」

――『……これ、使えば。和紙』

――『これで直せるなら、直しなさい。もしもお金がかかるなら、ちゃんと払うから』


296 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:39:09.22 ID:7e5qAcF40

竜児「た――」

――『じゃあね、竜児。また明日』

竜児「たい、が……」

――『犬のようになんでもするって言ったでしょ。誓ったでしょ。だから来て。いますぐ来て。これから毎日、登校前にうちに来るのよ』


竜児「大河」


大河『竜、ね。……だっさ』



297 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:40:41.18 ID:7e5qAcF40

竜児「大河」

大河『うーわ……あんたってみのりんのこと……げえー……嘘でしょ? 生意気な……』

竜児「大河」

大河『むかつくむかつくむかつくんじゃっ! なにが手乗りタイガーじゃっ! ぜんぜん、ぜんぶ、平気なんかじゃ、ないんじゃぁぁぁぁぁ――――っ! なんで、誰も、わかんないんじゃぁぁぁぁぁ―――――っっっ!』

竜児「あい、さか……大河」

大河『高須くんのことは、みのりんの誤解なの! 私は、……北村くんが……』

竜児「逢坂、大河」


298 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:43:12.45 ID:7e5qAcF40

大河『――なんでこの私が、あんたが誰かと仲良くしたからって、怒らなきゃいけないの? 犬ごとき、誰に尻尾を振ろうがまったく興味なんかないんだけど?』

竜児「逢坂大河」

大河『竜児は、私のだぁぁぁぁぁ――――――――――――っっっ! 誰も触るんじゃ、なぁぁぁぁぁ――――――――――――いっっっ!』

竜児「逢坂大河!」

大河『傍にいてほしい時に、竜児だけが傍にいてくれたの! ……一緒にいたいって、いつも、そう思うの!』

竜児「逢坂大河! そうだ、逢坂大河だ――」


299 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:44:44.76 ID:7e5qAcF40



大河『……絶対、嫌いなんかじゃ、ないの。私は、竜児が……竜児、が……っ』


竜児「大河ぁぁぁぁぁ――――っ!!」





300 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:46:17.00 ID:7e5qAcF40

竜児「(……なんで……今まで忘れていたんだ……こんなに大切な……)」

竜児「大河っ……」

竜児「……そうだっ、マンション!」ハッ

竜児「大河っ!」ガララッ

竜児「いるんだろっ!? 大河っ!」

シーン…

竜児「くっ」

竜児「(……やはり……この世界にあいつはいないことになっている)」

竜児「(だけど……)」


301 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:47:17.86 ID:7e5qAcF40

竜児「(俺はもう思い出した)」

竜児「(――あれは、逢坂大河)」

竜児「(同じクラス。偶然の隣人。人呼んで手乗りタイガー。わがまま。横暴。傍若無人。金持ちお嬢。捨てられ子。ドジ。適当。おおざっぱ。でも繊細。壊れやすくて、扱い注意。行方知れずの紙飛行機みたいに孤独)」

竜児「(あいつは……いる)」

竜児「どこかに……必ず、いるんだ……」


302 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:48:56.33 ID:7e5qAcF40

――「なら、いつまでそうしているつもりだ?」

竜児「……え?」

インコちゃん「うずくまって名前を呼んでいれば、この夢から醒めると思うか?」

竜児「え? ……うえぇっ!?」

インコちゃん「それがお前の選択か?」

竜児「……」

竜児「俺は……」

泰子「ただいまぁ~!」ガチャ

竜児「!」

インコちゃん「……」

インコちゃん「……おっ、おかえりっ……おかえり~」


303 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:50:14.08 ID:7e5qAcF40

竜児「……インコ、ちゃん……?」

泰子「インコちゃんがどうかしたのぉ~?」

竜児「いや……(気のせいか……?)」

竜児「(……)」

竜児「泰子」

泰子「ほぇ?」

竜児「出かけてくる。晩飯までに戻らなかったら適当に食っててくれ」ガチャ

泰子「えっ、竜ちゃあん?」


304 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/15(月) 23:52:04.91 ID:7e5qAcF40

竜児「ああ、それと」ピタ

竜児「……仕事、無理すんなよ。……行ってらっしゃい、行ってきます」

泰子「あ……」

泰子「ぶいっ!」ビシッ

泰子「行ってきます! 竜ちゃんもぉ、気をつけて行ってらっしゃ~い」ノシ

竜児「おう(行ってきます。そして、さよなら。“この世界の母さん”)」バタン

……

307 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/16(火) 23:33:04.49 ID:gDo+zvJi0

ピンポーン…

シーン…

竜児「やっぱり誰も住んでない、か……」

竜児「……」

竜児「さて……次はどこへ行こうか……」

竜児「(こうやって……あいつのいた軌跡を辿れば――)」

竜児「……」

竜児「いや、ないな」

竜児「(そんなことをしても、帰ることはできないだろう)」

竜児「(……でも、今はそんな気分なんだ)」

竜児「(うずくまって嘆いているくらいなら……)」

竜児「どこまでも――足掻いてやる」

ダッ

……


308 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/16(火) 23:33:54.13 ID:gDo+zvJi0

――教室

ガララッ

竜児「……」

北村「……高須?」

能登「お前帰ったんじゃなかったのかよ~」

竜児「ああ、ちょっと用事がな……恋ヶ窪先生は?」

春田「ゆりちゃんなら、職員室じゃね~?」

先生「っていうか今授業中なんですけど……」


309 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/16(火) 23:35:18.12 ID:gDo+zvJi0

竜児「すみません、先生。お邪魔しました」

北村「待て、高須。生徒会副会長として、勝手な行動は許さんぞ」

竜児「……」ピタ

北村「それでも行くというなら、その理由を話せ」

竜児「すまん、北村」

北村「……親友の俺にも話せないことなのか」

竜児「……」

竜児「……全部終わったら、話すよ」


310 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/16(火) 23:36:05.08 ID:gDo+zvJi0

北村「……そうか」フー

北村「お前なりの考えがあってのことだろうが――」

北村「1つだけ、言わせてくれ」

竜児「……」

北村「亜美を悲しませるんじゃないぞ」

竜児「……ああ、大丈夫だ」

北村「……なら、行ってこい」

先生「ええっ!?」

竜児「北村、ありがとう……。みんな――」

竜児「また明日」

能登「おーう! じゃあなー高須」

春田「まったな~」ノシ

312 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/17(水) 00:37:43.81 ID:VFe7VHGH0

……

竜児「失礼します」ガラッ

竜児「恋ヶ窪先生」

恋ヶ窪「……えっ!? 高須くん!? あなたまだ授業中じゃ――」

竜児「すみません。クラス名簿を見せていただけませんか?」ギロッ

独身「ひっ! そっ、それはいいですけど……」

独身「はい」スッ

竜児「ありがとうございます」ピラ

竜児「……」

独身「高須くん? どうしていきなりクラス名簿なんて……」


313 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/17(水) 00:38:27.11 ID:VFe7VHGH0

竜児「先生」

独身「は、はいっ!」ビクッ

竜児「うちのクラスに……逢坂大河という生徒がいたはずなんです。ご存知ないですか?」

独身「逢坂……大河……?」

独身「そんな名前の生徒は、この学校にいないわよ」

竜児「……」

竜児「そうですか。ありがとうございました」

竜児「失礼しました」ガラピシャ

独身「……なんだったのかしら」

……


318 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/17(水) 22:19:51.11 ID:VFe7VHGH0

キングクリムゾンッ!


――大橋

竜児「(あれから、櫛枝のバイト先のファミレス、スドバ、スーパー……大河と行った場所は片っ端から回ってみたが――)」

竜児「(なにがわかるわけでもなかった……)」

竜児「はぁ……」

竜児「(やっぱりあいつに訊くしか――)」

竜児「ん?」


319 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/17(水) 22:21:54.18 ID:VFe7VHGH0

亜美「……」

竜児「(噂をすれば何とやら……)」

竜児「(あんなとこでなにして――)」

亜美「……」フラ…

竜児「!?」

竜児「(あいつまさかっ!)」ダッ



亜美「(魚いるかな……)」ジー

竜児「か――わ――し――まぁぁぁ―――――っ!」

亜美「え?」


320 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/17(水) 22:23:35.10 ID:VFe7VHGH0

竜児「早まるなぁぁぁぁ――――――――――っっっ!!」ズオァッ

亜美「ぎゃ――――――っっ!」

ズルッ

亜美「わっ、うわっ――」

竜児「川嶋ッ!!」ガシッ

亜美「っ」

竜児「大丈夫かっ!?」

亜美「うん……だいじょう――」

亜美「って、あんたのせいでしょうがっ!」ガスッ

竜児「あだっ」


321 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/17(水) 22:25:16.51 ID:VFe7VHGH0

亜美「なんでいきなり悪魔の形相で迫ってくるわけ!?」

竜児「いや、お前が橋の上から身を投げようとしてるのが見えて……」

亜美「なんであたしがそんなことしなくちゃ行けないのよっ!」

竜児「いや……ははは……(なんだ、思い違いか)」

竜児「(俺はてっきり――)」

亜美『あたし竜児に嫌われたら生きていけないもん』

竜児「(なんて言うから……)」


322 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/17(水) 22:26:41.24 ID:VFe7VHGH0

亜美「……あんた、あたしの荷物は?」

竜児「え?」

亜美「あのあとそのまま帰ったから、学校に荷物置いてっちゃったの」

亜美「てっきりあんたが持ってきてくれたのかと思ったのに」

亜美「つっかえねー奴」

竜児「お前なあ……」

竜児「……」ハァ

竜児「荷物なら、木原と香椎に頼んできた」

亜美「あっそ。じゃあ届けに来る前に家にいないと――」

竜児「待て」


323 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/17(水) 22:28:04.87 ID:VFe7VHGH0

亜美「……なに?」

竜児「話がある」

1 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:14:29.35 ID:130EID3A0
スレストくらった……
また食らったらクリエイターでやります
今日で完結です

2 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:15:50.60 ID:130EID3A0



亜美「話って、なに?」

竜児「……」

竜児「逢坂大河」

亜美「……!」

竜児「思い出したよ……やっと」

竜児「どっから話せばいいのかな……」


4 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:17:40.60 ID:130EID3A0

竜児「あいつ、北村宛のラブレターを俺の鞄に入れ間違えててさ」

竜児「中身を見られたと思って、あろうことか俺を闇討ちしようとしたんだ」

竜児「……中身を入れ忘れていたとも知らずに」クスッ

竜児「ろくに家事も出来ないくせに、一人暮らししてたから」

竜児「俺が毎日飯を作ったり、身の回りの世話をするようになった」

竜児「あいつは……大河は……」

竜児「人形みたいに可愛い。でもドジ。恐ろしく凶暴。でもドジ」

竜児「そして……櫛枝の親友。俺の――」

櫛枝『高須くんっ、大河のことっ、よろしくお願いしまぁぁぁぁ―――――すっ!』

北村『逢坂。高須のこと、よろしく頼む。……いやあ、言われてみれば二人とも、とてもお似合いじゃないか』

竜児「なんだろうな……わかんねえや」


5 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:18:49.03 ID:130EID3A0
>>3
あ、確かにそうだ
ありがとう

7 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:20:32.51 ID:130EID3A0

亜美「……」

竜児「そして、お前が転校してきた」

亜美『今日からこちらの学校に転入してきた川嶋亜美です。よろしくお願いします』

亜美『みなさんっ! 亜美、って呼んでくださいね!』

竜児「北村の幼馴染。モデル。天然。でも実は超絶腹黒女」

亜美『今、あたしのこと『天然』って思ったでしょ?』


大河『自分で自分を『天然って言われる』なんて言う人間に、まともな奴はいないのよ』

亜美『あたしは、この顔じゃなきゃダメなの。わかってるのよ、自分が一番』


8 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:21:36.31 ID:130EID3A0
>>6
あ、ごめん
またまたありがとう

9 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:23:23.29 ID:130EID3A0


北村『俺は、亜美の本性が嫌いじゃないんだ。嘘だってこれ以上つかせたくない。ありのままでいていいと思う』


亜美『あ、亜美ちゃん……』

亜美『もうこんなこと、したくねえっつ―――――――――――のっっっ!』



櫛枝『あーはははは! これは肉まんの分! あーはははははは! これはハーゲンダッツの分! くらえっ! コンビニ神拳・ファミマバージョンの煌きっ! ハイ・カロ・リ―――――っ!』

亜美『やめろっつってんだ……に゛ゃ――――――っ!』


10 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:24:58.03 ID:130EID3A0


大河『あんた、これ以上勝手な真似したら、この前の物真似100連発映像を流出させてやるからねっ……あ、150、だったかしら?』

亜美『そんなことしたら、こっちも肖像権侵害で訴えてやる……流石の手乗りタイガーも、法の裁きには勝てないでしょ~?』

大河『くっ……ふふふ……』

亜美『……あはは……』

大河『うふふふふふふ!』

亜美『あはははははは!』



11 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:26:15.76 ID:130EID3A0

竜児「俺の別荘行きを賭けて、水泳対決もしたよな。あいつ泳げないから俺が特訓に付き合って……」

大河『調子に乗るんじゃないよ……お前のために私はここにきたんじゃないんだ。私はただ、このバカチワワの、』

亜美『誰がバカチワワよ!?』

大河『思い上がったバカビキニを見て、恥をかかせてやろうと思っただけ!』

亜美『なにがバカビキニよ!?』



竜児「そのあと、櫛枝と北村と五人で、お前の別荘に行って……」

大河『気安いんだよこのせっくすおふぇんだー!』

大河『あんたとだったら、全然平気でいられるのに。……もう身体に、あのせまい2DK根性が染み付いちゃったみたい』



12 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:27:38.53 ID:130EID3A0

櫛枝『……高須くんは、幽霊、見える人?』

櫛枝『幽霊の次はUFO……その次はツチノコにしよう。そうやってどんどん世界を変えていったら……私の世界を変えていったら、そしたら、もしかしたら、いつかさ――』


亜美『高須くんは、月、だから』

亜美『憧れだけじゃ、対等にはなれないよ。対等になれるのは、たとえば、あたし――みたいな』

亜美「……」

竜児「やっぱりさ……俺は」



竜児「みんなに逢いたいよ」


13 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:28:47.68 ID:130EID3A0

竜児「……それなのに、何故だ? なんで大河がいない? それに、櫛枝とも疎遠になって……」

竜児「寂しいよ……この世界にいても」





亜美「そう……思い出したんだ」

竜児「……」



亜美「じゃあ、ネタばらし」


14 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:30:15.45 ID:130EID3A0

竜児「え……」

亜美「とっくに気付いてるでしょうけど、これは現実じゃない」



亜美「これは……」






亜美「夢なの」

竜児「……っ!?」


15 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:31:07.51 ID:130EID3A0

竜児「なに……?」

亜美「あたしが抱いた……妄想」

亜美「あたしが、りゅう――高須くんと、付き合ってるっていう……そんな願望が、何故かはわからないけど」

亜美「具現化した……っていうのかな。あたし自身よくわからないけど」

亜美「これは、そう……ただの……夢」

亜美「それが……あたしの知る真実よ」


竜児「……」

竜児「ゆ、め……」

竜児「お前の……妄想?」

亜美「そうよ」

竜児「これが……お前の望んだ、世界……?」

亜美「……」


16 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:32:14.89 ID:130EID3A0





竜児「ふざけんな……」

亜美「え?」

亜美『あたしはね、前から大人なのよ。でもまあ、変わったところもあるかもね。……少し、考えたの。考えて、変わりたい――変えたい、って思うところもあるのよ。……自分の、いろんな部分を』

竜児「変わりたいって……変えたいって……こういうことだったのかよ! 邪魔だからって……大河を消して、櫛枝を遠ざけて……そうやって、お前にとって都合のいいようになった世界で、俺と――」

亜美「違うっ! そうじゃないっ!」


17 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:34:01.06 ID:130EID3A0

竜児「!」

亜美「あたしはこんな世界望んでない!」

亜美「タイガーも、実乃梨ちゃんも、嫌いなんかじゃない! 邪魔だなんて、いなくなってほしいなんて、思ってない!」

亜美「むしろ邪魔なのは――あたし」

亜美「いなくなるべきなのは、あたしの方なの!」

竜児「な――」

亜美「あの夏」

亜美「あたしの別荘に行ったときに……見ちゃったの」

亜美「タイガーが、傷ついているところを見たの。あいつの気持ちがわかって、それにあたししか気付かなかったから……あたしが、救ってらなきゃ、とか思ったの」

亜美「でも……そのうち、他の綻びも見えてきて――」

亜美「あたしだけが気付いて、なんとかしなきゃって、そういうのに全部首突っ込んで……その一方で」

亜美「あたしだって傷ついてたの。でもみんなはそれに誰も気付いてくれなくて――」


18 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:35:58.49 ID:130EID3A0

竜児「そっ、(それなら……)」

亜美「我慢しなきゃ、って思ったの。あとから来たあたしは、自分の居場所を守るべきなんだ、邪魔しちゃいけないんだって」

亜美「でも……やっぱりダメだった」

亜美「あんなことがあって――あたしの思い……こんなとこで、爆発しちゃった」

竜児「(あんなこと……?)」

亜美「あたしね……」

亜美「あんたに好きになってもらいたかったんだと思う」

亜美「伝えられなかった気持ちを……諦めていた想いを――」

亜美「あんたに……気付いてほしかったんだと……思う」

竜児「……」


19 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:36:49.93 ID:130EID3A0

亜美「……でも、こんな望まないかたちで叶っても、全然嬉しくないね」

亜美「ごめんね。彼女ヅラして、彼氏のフリさせて」

亜美「『好きだ』なんて言わせて」

竜児「……」

竜児「フリさせられてもいねえし、言わされてもいねえ」

竜児「全部――俺の意思だ」

亜美「っ」

竜児「たとえそれが……夢の中だとしても」

竜児「お前の気持ちを知ることが出来た」

竜児「俺は、それが純粋に嬉しい」


20 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:38:32.58 ID:130EID3A0

亜美「……」

竜児「……櫛枝のこととか、大河のこともあって、まだわからないけど」





竜児「……俺は、お前のこと――好きだぞ」

亜美「――っ」

竜児「だから……一緒に帰ろう。亜美」

竜児「俺の日常には……お前が必要なんだ」



21 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:39:55.04 ID:130EID3A0

亜美「……」

亜美「ありがとう……竜児」

亜美「でも――あたし、帰れない」

竜児「っな、なんで!?」

亜美「あんたは……まだ忘れてることがある」

竜児「……?」

亜美「そもそも、どうしてあたしたちはこんなに長い夢を見てるの?」

竜児「え……」


22 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:41:15.69 ID:130EID3A0

亜美「あたしも思い出したのはつい最近なんだけどね」

亜美「それまでは……この世界を現実だと信じてたの」

亜美「違和感はあっても、隠してた」

亜美「でも――あの日」

亜美「駅前に寄ったとき……全て思い出した」

竜児「(駅前、って……あの……)」

竜児「あ――」

亜美「……あの場所で」

亜美「あたしたちは交通事故に遭った」

竜児「!!」


24 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[] 投稿日:2010/02/18(木) 20:43:57.43 ID:130EID3A0

竜児「(そうだ……)」

竜児「(駅前のカフェに寄った帰り)」

竜児「(大河と櫛枝が走って先に行ってしまって)」

竜児「(俺と亜美が追いかけようとしたら、車が――)」

……

亜美『このあとどうすんの?』

櫛枝『よーし……』

櫛枝『うちまで競争っ!』ダッ

大河『あっ! ずるーい!』ダダダ

竜児『おい! ……ったく、子どもかよ』タッ

亜美『そう言いつつあんたも走るのね』

竜児『ほら行くぞ川嶋っ』

亜美『待っ――』タッ

ププー!

亜美『え――』
竜児『あ――』


25 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:45:49.77 ID:130EID3A0
>>23ごめん

……

亜美「……思い出したみたいね」

竜児「(だからあの時、あんなにショックを受けてたのか)」

亜美「あたしたち……今どうなってるかわからないのよ」

亜美「もしかしたら……もう――」

竜児「そんなわけねえだろ! だって今、こうして」

亜美「こうしていること自体、おかしいと思わない?」

亜美「あたしたち、同じ夢を見てる。いつまでたっても醒めないし――」

亜美「あたしの勝手な予想だけど……あたしたちって……生と死の狭間……に、いるのかも」


26 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:46:36.48 ID:130EID3A0

竜児「(生と死の狭間)」

竜児「(俺たちは……そんなに危うい状態なのか……?)」

――竜児……竜児っ

竜児「!」

竜児「大丈夫だ! まだ狭間なんだろ!? だったらまだ戻れるってことだ!」

竜児「今また声が聴こえたんだ! まだ、俺たちはまだ生きてる!!」

亜美「……」

亜美「……いの」

竜児「え?」


27 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:47:57.22 ID:130EID3A0

亜美「聴こえないのよ! あたしには! あんたが以前から聴こえるって言ってるその声……あたしはずっと聴こえないの!」

竜児「!?」

亜美「やっぱり、あたし……」

亜美「もう死んじゃってるのかも……」ポロポロ…

竜児「っ!!」

竜児「大丈夫だ! 生きてる!」

亜美「っ、適当なこと言わないでよっ!」

亜美「あんただって、自分の体がどうなってるかわからないでしょ!?」

竜児「……」

亜美「目覚めたときに……死んでるくらいなら……」

亜美「あたしはこの世界に残る!」


28 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:49:07.44 ID:130EID3A0

竜児「――断る」

竜児「だが断るっ!!」

亜美「どうしてよっ! あたしのことなんだからほっといて!」

竜児「一緒に帰らないと意味ないんだよ!」ガシッ

竜児「もしかしてお前、まだ自分が邪魔者だなんて思ってないだろうな!?」

竜児「そんなの大間違いだぞ」

竜児「さっき言っただろ? 俺はお前が好きだって! 必要なんだって!」

竜児「大河が欠けても、お前が欠けても、誰が欠けてもダメなんだ!」

竜児「俺の世界は……みんながいないと成り立たないんだよっっ!!」


29 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:50:38.84 ID:130EID3A0

竜児「それともなにか? 俺や大河がいない世界の方がいいってか!?」

竜児「こんな偽りの世界がいいってか!?」

亜美「……ちが」

竜児「俺を好きだって言ったのは嘘だったのか!?」

亜美「違うっ!」

竜児「……なら、どうする」

亜美「……」

亜美「タイガーは――」

亜美「タイガーは……あたしに逢いたいって……思ってるのかな……?」


30 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:51:24.65 ID:130EID3A0

亜美「実乃梨ちゃんも……本物の、実乃梨ちゃんとも……仲良くできるかな……?」

竜児「相手がどうとかじゃねえよ。お前がどうしたいんだって訊いてるんだ」

亜美「あたしは……」

亜美「竜児と一緒に、帰りたい! みんなに、本物のみんなに、逢いたいっ!」

亜美「……でも、死んでたら逢えない……あたし……死にたくないよぉ……っ!」ボロボロ…

竜児「なら、そう望めばいい」

竜児「逢いたいと、帰りたいと望んで、行動しろ。待っていないで、お前自身が行動しろ」


31 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:52:42.04 ID:130EID3A0

亜美「……」

竜児「最後にもう一度訊く」




竜児「……川嶋亜美、お前はどうしたい?」

亜美「あたしは……」

亜美「――たい」

亜美「生きたいっ!!」

竜児「よしっ! 帰るぞっ!!」

亜美「……うんっ!!」


32 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:53:46.56 ID:130EID3A0

……

竜児「で、だ……」

竜児「どうやって帰るか……知ってるか?」

亜美「あんた……知ってるからあんなこと言ったんじゃないの?」

竜児「いや、俺はお前が知ってるもんだと……」

亜美「……」ハァ

亜美「あんたなんにも考えてなかったわけ?」

竜児「失礼な。どこかに出口があるかと思って色んなとこ探したよ……なかったけど」

亜美「それじゃ意味ないじゃない」

竜児「お前だってなんもしてないじゃねえか。……それかもしかして、“帰りたい”という強い意志があれば……」

亜美「そんなんで帰れるならとっくにここにはいないっつの!」


33 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:55:16.84 ID:130EID3A0

竜児「だよな……」

亜美「はぁ……」

亜美「取り敢えず今日のところは――」

竜児「待て」

竜児「今日中に帰ろう」

亜美「どうして?」

竜児「いやあ、泰子やクラスのみんなと別れた手前、今更何事もなかったかのように戻るのもカッコがつかないというか……」

亜美「はあ?」

竜児「それに……」

亜美「なに?」

竜児「帰る方法をまったく思いつかなかった……わけでもない、というか……」


34 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:56:40.60 ID:130EID3A0

亜美「……言ってみな」

竜児「あーいや、あくまで俺の予想であって……」

亜美「そんなの、確実じゃなくて当たり前でしょ? 試してみればいいじゃない」

竜児「えーと……でも、失敗すると……ちょっと……」

亜美「なに? 怪我するとか?」

竜児「怪我で済むならいいけど……下手したら……」

亜美「……」

亜美「よし、言いなさい」

竜児「!? だ、だって死――」

亜美「今更いつ死んだって同じよ! あんたさっきの自信はどうしたの?」

竜児「お前こそ、さっきは死ぬ死なないで泣いてたくせに」

亜美「もう吹っ切れたの。こうなったら何だってやってやるわよ。ほら、さっさと教えなさい!」

竜児「……おう。わかった」


35 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:57:40.35 ID:130EID3A0

竜児「さっきのお前の話で思いついたんだ」

亜美「うん」

竜児「俺たちは交通事故に遭ってこっちに来た」

亜美「うんうん」

竜児「だったら、もう一度同じようにして――」

亜美「……ちょっと待って」

亜美「竜児、まさかあんた……」

亜美「また車に轢かれろ……っていうんじゃないでしょうね」

竜児「……それぐらいしか思いつかなかったんだよ」


36 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 20:59:18.10 ID:130EID3A0

亜美「……」ハァ

竜児「だから言いたくなかったんだが」

亜美「……竜児」

亜美「事故に遭った時間、覚えてる?」

竜児「時間? それは流石に……放課後、カフェに寄った後、としか――」

竜児「ってなんでそんなことを訊くんだ?」

亜美「やるならあの時と同じの方がいいでしょ?」

竜児「まあ、そうかもしれないが」

亜美「うーん……じゃあ、18時にしよ。」

竜児「随分と大雑把だな……」

亜美「あんたんちの夕飯が18時半だし、それぐらいが妥当でしょ」

竜児「ああ、確かに」


37 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:00:29.18 ID:130EID3A0

竜児「……って、マジでやるのか?」

亜美「行くわよ」グイッ

竜児「ちょっ、待っ……まだ心の準備が!」

亜美「今日中に帰るって言ったのはあんたでしょ!」

竜児「あっ、ちょっ」

……



38 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:01:34.12 ID:130EID3A0

――駅前

亜美「そろそろ18時ね……」

竜児「そうだな」

亜美「どこの世界に生きるために自殺する人がいるんだっつの……」

竜児「そうだな」

亜美「ほんと……バカみたい」

竜児「そうだな」

亜美「……あんたさっきから『そうだな』しか言ってないけど」

竜児「そうだn」

亜美「しつこい」バシ


39 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:03:33.41 ID:130EID3A0

竜児「ってえな……殴ることないだろ」

竜児「俺は覚悟を決めるために精神統一をしようとしたんだよ」

竜児「それなのに、お前がさっきから話しかけるから……」

亜美「なにか喋ってないと落ち着かないの!」

亜美「だって……これから……」

竜児「わかった」

竜児「話しながら行こう」ギュッ

亜美「あ……」


40 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:06:52.57 ID:130EID3A0

竜児「えーと……どの車に轢いてもらう?」

亜美「酷い質問よね……それ」

竜児「ははっ……」

亜美「ねえ竜児」

竜児「どうした? 亜美」

亜美「もし、あたしが帰れなかったら――」

竜児「断る」

亜美「なっ、まだなにも言ってないじゃない!」

竜児「“もし”はない。あるのは――」

竜児「必ず帰る。それだけだ」

亜美「……」フフッ


41 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:09:05.70 ID:130EID3A0

竜児「……なにが可笑しいんだよ」

亜美「……だって」

亜美「頼もしいこと言ってる割に、足は震えてるわ、手にたくさん汗かいてるわで……」

竜児「っし、仕方ないだろ! 俺だってこええんだから!」

亜美「ふふっ……じゃあ、恐くなくなるおまじないを教えてあげる」

亜美「……こっち向いて」


42 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:10:00.14 ID:130EID3A0

竜児「なんだよ――っんん!?」

亜美「……」

竜児「……」

亜美「……っは」

竜児「……」

亜美「はい、これでもう恐くない」

亜美「あんたも、あたしも」

竜児「……おう」

ブオォォ…

竜児「よし、行くぞ」ギュッ

亜美「うん」ギュッ

ゴオォォォ…


43 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:11:22.58 ID:130EID3A0




竜児「今だっ!!」

ダッ

竜児「うぉぉぉぉぉ――――――――っ!」
亜美「わぁぁぁぁぁ――――――――っ!」

ププーッ!

竜児「(亜美っ!)」
亜美「(竜児っ!)」

キキーッ


44 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:14:38.00 ID:130EID3A0

……

――竜児……

竜児「あ、み……」

竜児「ん……」パチ

竜児「(……天井だ)」

泰子「zzz……」

竜児「あ……泰子」

竜児「(体が動かせねえ……)」

竜児「(戻って……来れたのか……?)」


45 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:16:52.41 ID:130EID3A0

大河「やっちゃ~ん、今日はもう――」ガラ

大河「りゅ……」

大河「竜児っ!?」

竜児「たい、が……」

大河「やっちゃん! 竜児がっ! 竜児が目ぇ覚ました!」ユサユサ

泰子「んぅ……」

竜児「大河……いた……よかった……」

大河「いるよ! 私はここにいるよ!」

竜児「夢じゃ……ない……よな……?」

大河「うん……うんっ! 夢じゃないよ……竜児っ」グスッ


46 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:18:05.41 ID:130EID3A0

竜児「おい……泣くなよ……」

大河「だってっ……竜児がこのままっ……目覚めなかったらって……」

竜児「……んなわけねえだろ。ちょっと眠ってただけだ」

泰子「……竜ちゃん?」

竜児「おう。おはよう、泰子」

泰子「あ……」

泰子「……ぅ……ちゃ……」ジワ…

泰子「竜ちゃんっ!」ガバッ

竜児「うぐっ!?」

泰子「竜ちゃぁぁぁ――――んっっ!! うぇぇぇぇ―――――ん竜ちゃん生きてたぁぁぁぁ―――――……」ボロボロ

ギューッ

竜児「痛っ、いだだだだだだだだ!!」バキバキ


47 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:19:26.03 ID:130EID3A0

大河「やっちゃん! それ以上やると竜児が死んじゃう!」

泰子「ふえぇ……? ……あっ」ガバッ

竜児「おっ、まえ……なあっ」ゴホッゴホッ

泰子「ごめぇ~ん! だってぇ~うわぁぁぁ――――んっっ!」

竜児「泣くか謝るかどっちかにしろ……」

大河「わ、私っ! みのりんと北村くんに電話してくるっ! 二人ともさっきまでお見舞いに来てくれてたから、まだ近くかも!」ダッ

竜児「あ、大河……」

泰子「あ、あわわああ……じゃ、じゃあやっちゃん、お医者さん呼んでくるっ!」ダッ

竜児「え、ちょっ……」

シーン…

竜児「……」


48 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:20:47.66 ID:130EID3A0

……

ガラッ

櫛枝「高須くんっ!」ハァハァ

北村「高須っ!」ゼェゼェ

竜児「おう……二人とも久しぶり。……病院内では走るなよ」

櫛枝「よかった……よかったぁ~……」ヘナヘナ…

北村「高須、大丈夫なのか!? 俺のことわかるかっ!?」

竜児「北村祐作に、櫛枝実乃梨、だろ。大丈夫だよ、忘れるわけねえだろ」


49 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:22:13.43 ID:130EID3A0

北村「そうか……」ウルウル

竜児「お、おい。お前まで泣くこと……」

北村「だって、お前たちが事故に遭ったって聞いて……病院に来てみれば、意識が戻らないっていうし……」

櫛枝「何日も目を覚まさなくて……本当に……このまま――」グスッ

竜児「そうだったのか……そんなに眠ってたのか――」

竜児「そういえば、あみ……川嶋は?」

櫛枝「……っ」

大河「……」

北村「亜美は……」

竜児「どうしたんだよ……」

竜児「――まさか」ガバッ


50 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:23:48.71 ID:130EID3A0

竜児「痛っ……」ズキッ

櫛枝「高須くんっ!」

北村「落ち着け高須! 亜美は生きてる!」

竜児「……」ホッ

大河「ばかちーは……まだ意識が戻らないの」

大河「目立った外傷はないけど、頭を強く打ったみたいで……」

竜児「そんな……」

竜児「亜美……」


51 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:25:38.70 ID:130EID3A0

……

亜美「ん……」

亜美「あ……あれ……」パチ

亜美「りゅう、じ……?」

シーン…

亜美「(どうして……真っ暗なの)」

亜美「誰か……いないの?」

亜美「竜児?」

亜美「麻耶? 奈々子? どこ?」

亜美「祐作! いるんでしょ!? ねえっ!」

亜美「……タイガー! 実乃梨ちゃん!」


52 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:26:56.48 ID:130EID3A0

シーン…

亜美「(なにも見えない……なにも聴こえない……)」

亜美「(誰もいない……)」

亜美「そんな……(あたし……)」ポロ

亜美「(本当に死んじゃった――)」ボロボロ…

亜美「りゅうじぃぃぃぃぃ―――――――――――っっっ!!」









53 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:28:32.50 ID:130EID3A0

――……っ

亜美「……」

――あ、み……

――ばかちー、起きて

亜美「……え?」

――あーみん!

亜美「……タイガー? 実乃梨ちゃん?」

――亜美! 起きろ!

亜美「祐作……」



――亜美! 戻ってこい!

――竜児『亜美っ!』


54 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:34:53.60 ID:130EID3A0



亜美「りゅっ」

亜美「竜児っ……」

亜美「(みんな……)」

亜美「みんなぁっ!!」バッ




……


55 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:36:54.55 ID:130EID3A0

――病院

亜美「……」

大河「ばかちー! 起きろ!」

北村「亜美! 亜美!」

櫛枝「あーみんっ!」

亜美「……」ピクッ

大河「!!」

櫛枝「あーみん!?」

亜美「ん……」パチ

竜児「亜美っ!!」

亜美「……りゅうじ」


56 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:38:48.46 ID:130EID3A0

大河「ばかちー!」

亜美「タイガー……あんた……生きてたのね……」

大河「っ……そ、それはこっちのセリフよ!」

大河「『綺麗な顔してるだろ……死んでるんだぜ、こいつ』って言おうと思ってたところよ!」グスッ

亜美「あはは……そっか……」

櫛枝「あーみんっ……」ダキッ

亜美「あ、実乃梨ちゃん……」

櫛枝「あーみんごめんっ! あのとき私が、走って先行ったばっかりに……」ボロボロ…

亜美「そんなに泣かないでよ……今こうして生きてるんだから……そんなに気にすることないって……」ポムポム

北村「亜美っ……」

亜美「祐作……なんでいるの?」

北村「」


57 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:40:18.01 ID:130EID3A0

竜児「……」

亜美「もう……置いていかないでよね」

竜児「……すまん」

亜美「……結構怪我してるわね」

竜児「ああ、まあな。でもすぐ治るさ」

亜美「あたしは……」

竜児「お前は頭打っただけだから、バカになったかも」

亜美「む……」


58 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:41:22.43 ID:130EID3A0

亜美「……じゃあ……勉強、教えてよ」

竜児「おう、まかせろ」

亜美「うん……」

竜児「亜美」

亜美「……ん?」

竜児「おかえり」

亜美「……」

亜美「ただいま、竜児」




――第三部、完


60 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:43:33.46 ID:130EID3A0

以下、後日談


――数週間後

――ファミレス

亜美「ねぇ~。いいじゃないちょっとぐらい」

大河「イーヤ! なんで私があんたにノート見せなきゃいけないのよ!」

亜美「仕方ないでしょ! 最近まで入院してたから、テスト範囲の授業受けてないし」

大河「だったら他のやつに頼めばいいでしょ」

亜美「あんたって意外と勉強は出来るじゃない? むしろそれしか取り柄がないっていうか~」

大河「ぐっ……。ばかちーのくせに生意気なぁ~……」ゴゴゴ


61 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:44:46.80 ID:130EID3A0

竜児「どうしてお前らはそうやってすぐ……」ハァ…

北村「亜美、だったら俺のを――」

亜美「祐作のはいらない」

北村「」

竜児「北村、そっちは俺に貸してくれないか?」

北村「た、高須……もちろんさ!」

竜児「大河」

大河「……なによ」

竜児「俺からも頼むよ。見せてやってくれ」

大河「……あんた、犬の分際で主人の私に指図するつもり?」

竜児「指図じゃねえよ。頼んでるんだ」

竜児「ほら、お前からもちゃんと頼めって」


62 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:46:05.73 ID:130EID3A0

亜美「……」

亜美「逢坂さぁん、おねがぁ~い」

大河「うぅぅ~っ、気持ち悪いっ! 却下!」

亜美「っ、このチビタイガー……」

竜児「大河」

大河「……わかったわよ。ほら、ばかちー」

亜美「ありがとっ。……ったく、最初からそうやって――」

竜児「お前も一言余計だ」

亜美「……むぅ」

櫛枝「あ~らよっ! 出前一丁!」ドン


63 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:48:13.88 ID:130EID3A0

竜児「……パフェ? 櫛枝、俺たちドリンクバーしか頼んでないぞ」

櫛枝「あーみんの退院祝いってことで、バニラアイス増し増しの特別サービスだぜ! 店長には内緒で4649!」

大河「え~! なんでばかちーなんかに……」

亜美「ありがと~実乃梨ちゃん!(けっ! ざまみろタイガー)」

大河「ぐぬぬ……」

櫛枝「高須くんも何か食べる? 盛るぜ~、超盛るぜ~」

高須「ああ、俺はちゃんと注文するよ。えーと、じゃあ……俺もこのパフェを」

櫛枝「かしこまり~! それじゃあちょいと待ってな。すぐ持ってくるぜ!」ヒュバッ

亜美「はやっ!」


64 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:49:27.69 ID:130EID3A0

高須「……お前、食いたかったんだろ? パフェ」

大河「え……」

亜美「あー! またあんたはタイガー甘やかして!」

大河「ふんっ! 私の犬なんだから当然よ」

高須「取り敢えず、パフェやるから静かにしてくれ。俺たちは今日テスト勉強をしに来たんだから」カキカキ…

大河「む……」

櫛枝「ほいお待たせ―――っ!」シュバッ

亜美「はやっ!」


65 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:52:06.71 ID:130EID3A0

竜児「ありがとな櫛枝。それ大河に渡してくれ」

櫛枝「どうぞ大河様。あちらのお客様からでございます」コト

大河「あら、ありがとう」

櫛枝「では、ごゆっくり……」ススス…

竜児「お前らもそれ食ったら勉強しろよ」カキカキ…

大河「はいはい」

亜美「わかってるわよ」

大河「いただきまーす♪」パク

北村「……」


66 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:55:36.75 ID:130EID3A0

大河「……んふぉ? どふぉしたぬぉ?」モグモグ

竜児「こら。食べ物を口に含んだまま喋るな。行儀悪いぞ」

北村「逢坂、そのチェリー食べないのか?」

北村「ガッつくようだが、俺の大好物なんだ……くれないか?」

大河「えっ……い、いいよっ」

北村「サンキュー」パク

北村「レロレロレロレロレロレロレロレロ」

大河「……」ポカーン

北村「レロレロレロレロレロレロレロレロレロ」

亜美「げぇ……」


67 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 21:58:08.44 ID:130EID3A0

北村「レロレロレロレロ……あつ」ビチャ

竜児「こら北村、食べ物で遊ぶな――って大河! スプーン!」

大河「えっ? あっうわっ!」ガタッ

ガシャン ドバー

亜美「あぁぁぁぁ――――っ! もうなにやってんのよドジタイガー!」

大河「あらー遺憾だわー。竜児、拭くもの」

竜児「なんでお前そんなに冷静なんだよ! ノートがっ!」

大河「私のじゃないからいいもーん。たかがノートごときで――」

北村「それ……俺のノートなんだけど……」

大河「……うえっ!? あ……うあわっえと……ご、ごめっ……!」アタフタ

竜児「やっぱお前は落ち着け! 俺がやるから! あーこりゃもっと布巾いるな……大河! 櫛枝呼んで布巾持ってきてもらえ!」

大河「みっみみみみのみのり――――ん!」


68 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 22:02:58.48 ID:130EID3A0

ギャアギャア…

亜美「……」フフッ

亜美「ねえ、竜児」

竜児「どうした? 亜美」

亜美「……」

亜美「ううん、なんでもない」ニコ

竜児「……っ」

竜児「だ、だったらお前も手伝えっ!」///

亜美「はーい」ニコニコ


69 名前:自治スレにて名無し変更議論中@VIP+[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 22:07:54.29 ID:130EID3A0

大河「あーもうあんたたち! こんなときになにイチャついてんのよっ!」

竜児「お前のせいだろっ!」
亜美「あんたのせいよっ!」

櫛枝「どーしたー? ……って、なにしとんじゃおぬしらぁっ!」

竜児「すまんっ、布巾持ってきてくれっ!」

櫛枝「わしのパフェが食えねえっつうのかぁっ!?」

亜美「ちっが―――う!」

ギャアギャア…

北村「……」パク

北村「レロレロ……」



――Fin
[ 2011/08/09 12:16 ] SS とらドラ | TB(0) | CM(1)

たいが「とらまるようちえん!」



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 04:56:39.14 ID:7iBjALcu0
北村「よう、高須」

竜児「おう、北村か」

北村「今日から二年生、今年も同じクラスだな」

竜児「おう、今年もよろしくな」

今日から俺は泰子の未体験ゾーンである高校二年生を迎えることになった。
泰子とは俺の母親であり、我が高須一家の稼ぎ柱である。何故、泰子にとって高校二年生が未体験ゾーンなのかの説明はここではしないでおく。
とにかく今、俺のテンションは最高潮まで上がっており、それは泰子がなる事の出来なかった高校二年生になれたからではない。

実乃梨「やあやあ北村君!今年は同じクラスだね!」

北村「櫛枝、何だお前も同じクラスだったのか」

実乃梨「やだねえ、北村君ったら!同じクラスのメンツくらいちゃんと確認しといてよー」

竜児「……」

実乃梨「およよ、君は高須君だね!何回か北村君の周りでニアミスしてるんだけど覚えててくれてるかな?」

竜児「く、櫛枝、櫛枝実乃梨だろ……」

実乃梨「おおー!フルネームで覚えてくれてるとは嬉しい限りだよ!これから一年間よろしくね!」

竜児「……おう」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 05:19:27.33 ID:7iBjALcu0
そう、彼女――櫛枝実乃梨こそが俺のテンションをかつてないほどまで上げている原因だ。
櫛枝実乃梨は元気溌剌、天真爛漫、清廉潔白……とにかく俺にとって女神のような存在であり、俺が一年生の頃から片思いをしている相手である。
そういったわけで俺はクラスで席に着いてからも口元から笑みを消すことなど出来なかった。
それがクラスの生徒を恐がらせていると知りながらも、だ。

春田「……高須君こええ」

木原「馬鹿!聞こえるわよ、春田!」

能登「だから、高須は顔だけだって。別に恐くないし、普通にいい奴だから」

香椎「そうなの?」

一年生の頃からの数少ない友達の一人である能登がどうやら俺の弁解をしてくれているみたいだ。能登の行為はものすごく嬉しいのだが、他の生徒が恐がるのも無理はない。
実際、俺の顔は恐いのだ。と言うよりも、目付きがヤバい。
そのせいで誰かが勝手に付けたあだ名は「ヤンキー高須」、噂の俺はこの学校を暴力で支配しようと目論んでいたり、関東一帯を統括する暴走族の総長だったり、ヤクザの組長の息子だったりするらしい。
だが、俺はこの学校を暴力で支配しようと考えてなどないし、暴走族の総長でもない。ヤクザの息子、と言うのは当たっているのかもしれないが確証もない。
とにかく俺はケンカもしたことがないほど大人くて良い子である。
俺がそんなことを考えているうちに、いつの間にか俺を恐れるクラスの雰囲気が消えていた。と言うより、男共の熱狂的な歓声と女子達の黄色い悲鳴にかき消されていたのだ。

能登「よっ、我がクラスのエンジェル!」

春田「神様仏様亜美ちゃん様ー!」

木原「亜美ちゃん遅いよー!」

香椎「どうしたの、亜美ちゃん?」

亜美「ごめんごめん!クラス間違っちゃって別のクラスを転々と訪ねちゃったんだ!」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 05:43:12.77 ID:7iBjALcu0
川嶋亜美――我が校の誇るトップアイドルであり、ファッション誌などでモデルをやってるスタイル抜群の超絶美少女。
どうやら川嶋も同じクラスだったらしい。俺は自分の名前と櫛枝の名前しか探していなかったので川嶋が同じクラスだと言うことには全く気づかなかった。
恐らく同じクラスの男共はおろか、女子達も同じクラスに川嶋の名前があるかを確認しただろう。確認しなかった人間が俺以外にいるとするなら、それは北村くらいだ。

北村「よう、亜美。遅かったじゃないか」

亜美「もう祐作~!同じクラスなんだったら教えてくれれば良かったのに~!」

春田「あ、あ、あ、あ、亜美ちゃんが!男子を名前で呼んでる!!」

能登「ああ、北村先生はしょうがねえよ」

木原「まるおと亜美ちゃん幼なじみなんだってね、いいなー!」

独身「はーい、みなさん席に着いて下さい。HR始めますよー」

このクラスの担任の恋ヶ窪ゆり先生が来たが、クラスの喧騒は未だ鳴り止まない。おーい、みんな。そろそろ静かにならないと先生が愚痴り出すぞ。

独身「静かにして下さーい、HR始めますよー……誰も聞いちゃいない」

独身「そりゃそうよね……三十路手前独身真っ只中の女教師を見るより学校のトップアイドルの女生徒見てるほうが楽しいわよね……」

ヤバい、始まる。そう思った俺は椅子を少し大げさに、音が出るように後ろにずらす。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 05:54:17.34 ID:7iBjALcu0
その瞬間、クラス中が一気に静まり返る。

春田「ひいいい!……高須君怒ってる!?」

木原「ヤバい、超恐いー!」

独身「た、た、た、高須君!?ごめんなさいね!クラスをまとめることも出来ない駄目な先生でごめんなさいね!だから、怒らないでね!」

竜児「……HRを」

独身「……そ、そうでしたね!はい、みなさん!気を取り直してHRを始めましょうね!」

恋ヶ窪先生とは去年一年間も同じクラスだったのに、未だに俺は恐れられている。
ちなみにさっきの行為は、別に俺がイライラしてクラス中を締め上げるために立ち上がろうとしたわけではなく、去年から続けている恋ヶ窪先生が円滑にHRを進めれるようにするための手助けだ。
……当の恋ヶ窪先生は俺がイライラしている時の癖だと勘違いしているみたいだが。

北村「さっきはすまんな、俺が何か言うべきだった」

竜児「いいよ、去年と同じだ。あれでみんな静かになるんだったらお安い御用だ」

北村「でも、そのせいで去年はお前がクラス中の生徒に正しく理解されるのに1月まで掛かったじゃないか」

北村「今年のクラスではそのようなことが起きないように、俺も誠心誠意努力するからな」

竜児「おう、その言葉だけでも十分嬉しいぞ北村」

時間をかければこうやって俺のことを正しく理解してくれる奴も現れる。俺は今年もそれでいいと思っていた。
今の今までは。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 06:14:25.42 ID:7iBjALcu0
亜美「高須君、だったっけ?先生を脅かすみたいなことはあまりしない方がいいと思うけどな~」

俺に犬が噛み付いてきた。それもクラス中の生徒の寵愛を一斉に受けている愛犬が。

竜児「……何の話だ?」

亜美「さっきのHR始まる前のことだよ~、ゆりちゃん先生すごく怯えてたじゃない」

北村「違うんだ、亜美。高須は……」

亜美「祐作は黙ってて……祐作が肩持つってことは、何か弱みでも握られてるの?」

クラス中がざわめき出す。こいつのこの言い草じゃ、俺の立場はどんどん危うくなっていくのがわかる。
さしずめ、正義の美少女戦士VS悪の魔王と言ったところか――当然、俺は正義の美少女戦士の方ではない。

亜美「高須君さぁ、そういうのやめてみんな仲良く平和に行こうよ!ねぇ?」

竜児「だから、そんなわけじゃ……あ」

しまった。どうやら俺はやらかしてしまったらしい。
この顔のおかげで今まで障りはあっても当たりのない生活を送ってきたのだが、初めて自分と対峙する人間が現れ、その結果思わず凄んでしまったのだ。
すると、どうだろうか。今までキャンキャンと吠えていた愛犬は、一瞬にして目元を潤ませてぷるぷると震えだしたではないか。
まずい。これはまずいぞ。

亜美「あ、亜美ちゃんはね……みんなで仲良くやりたいだけなのに……!」

グスングスンと鼻を鳴らし、その大きな瞳から真珠のような輝きを持った雫を零して、川嶋は泣き出した。
この瞬間、俺はおそらくこのクラスでは一生俺という人となりを理解されないことを覚悟した。

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 06:44:33.92 ID:7iBjALcu0
北村「超絶わがままお姫様で人身掌握に長けている、それが亜美だ」

放課後、と言っても今日は始業式のため午前授業で学校は終わっている。今はまだ午後の二時頃だ。
家に帰った俺は、俺と泰子の昼ご飯を作り、それから北村に呼び出されてスドバでコーヒーを共に北村と話している。

竜児「はあ……」

北村「あれでも昔は超絶わがままお姫様だけで済んでいたんだがな、モデルを始めてからああいう仮面を身につけるようになったんだ」

北村「以来、昔からの幼なじみである俺にだってその仮面の姿で接している」

北村の話によるところ、学校のトップアイドルと褒め称えられている川嶋は本当の川嶋ではないらしい。

竜児「じゃあ、俺に噛み付いてきたのは新しいクラスでの自分の立ち位置を磐石にするためのパフォーマンスってところか?」

北村「おそらくそうだろうな……いや、本当にすまない高須」

竜児「何で北村が謝るんだよ……でも、本当にすごいな。あれでクラス中のみんなは確実に川嶋の味方になったろうな」

北村「何を他人事のように言ってるんだ、高須。あれで被害を受けるのはお前なんだぞ」

竜児「まあ、そうなんだろうけどよ……でも、俺はいいよ」

北村「いいって、何がだ?」

竜児「俺はあのクラスで誰かに理解されることを諦めた、この状況じゃもうチェックメイトだろう」

そして、俺の淡い初恋も終わったのだ。
櫛枝のために書いた何枚にも及ぶラブレターも、櫛枝とのドライブのために作ったMD集も、櫛枝にプロポーズする時のために選んだ夜景の綺麗なホテルも。
全てが無駄になったのだ。そう思うと、こんな俺でも胸がちょっぴり苦しくなる。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 06:47:36.10 ID:7iBjALcu0
駄目だ、急に眠くなってきた。寝ます。
残ってたら続きを書きたいと思います。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 11:40:03.93 ID:7iBjALcu0
おはようございます、再開します

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 12:04:07.07 ID:7iBjALcu0
北村「高須……本当にお前はそれでいいのか?」

竜児「ああ……悪い、北村。今日はかのうやの特売日だからそろそろ行くわ」

北村「お前がそれでいいと言うのなら俺はこれ以上口出ししないが……そうだな、高須の気が変わったならすぐに俺に声をかけてくれ。出来る限りの協力は惜しまないからな」

竜児「北村ありがとうな、じゃあまた明日」

そう言って俺はスドバを出て、かのうやに向かった。
北村に言った言葉は嘘ではない。どう考えても今の状況から俺を理解してもらうのは今までにも増して困難だと思ったからだ。
ただ、一つ――せっかく一緒のクラスになることの出来た櫛枝に誤解されたままなのは少し辛かったが、それもしょうがないのだろう。

竜児「……今日は俺を慰めるために少し豪華にするか」

竜児「豚ブロックが安いな……角煮にするか」

家に帰る頃には四時を回ってるかもしれないが、今日は泰子が同伴のはずだ。夕飯は取って置くことになるだろうからゆっくり時間をかけて煮込もう。
かのうやからの帰り道、一人頭の中で今夜の夕飯をイメージしながら歩いていると家の近くにタクシーが止まっているのを見つけた。

竜児「あれ?もう泰子出るのか……?」

ボロアパートの方に目を向けてみるが、一向に人が出てくる気配はない。
あのタクシーは泰子が呼んだのではないのかと俺が思うと、ちょうどよくタクシーのドアが開き中からはよく見知った顔が出てきた。

竜児「あれは……川嶋?」

竜児「そうか……あのマンションの住人だったのか、あいつは」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 12:26:58.16 ID:7iBjALcu0
さっき買った豚ブロックに包丁を入れていく。自然といつもより力を込めて。

竜児「そうか……あいつ、あのマンションの住人だったのか……ククク」

眼光は鋭く、口元に笑みを浮かべながらゴンッ、ゴンッ、と包丁がまな板を叩く。

竜児「家から太陽の恵みを奪ったのは……あいつのマンションなのか」

高須家はボロアパートながらも、南に窓がありそこから燦々と日の光が差し込んでくる中々住み心地のいい家だった。
だが、神様が高須一家に唯一贈ったプレゼントを奪った輩が現れた――それが隣にある高層マンションだ。
以来、洗濯物は乾きにくくなり、水場にはカビが生えやすくなり高須家に深刻なダメージを与えてきた。ただ、その分家賃も安くなったのだが。
だからといっても、安くなった家賃だって俺の節約術で何とか出来る範囲だった。まあ、要するに俺が何を言いたいかと言うと……
あのマンションが憎い。
太陽を奪ったあのマンションが憎い。
公園を見渡せる景観を奪ったあのマンションが憎い。
デザインと機能性に優れているであろうシステムキッチンを備えたあのマンションが憎い。
シンプルかつオシャレな内装を施されているであろうあのマンションが憎い。
あのマンションに住む住民が憎い。
川嶋亜美が憎い。ほら、イコールで繋がった。

竜児「ククク……さて、今からじっくり煮込んでやるぞ」

ちなみに言っておくが、今から煮込むのは角煮用に切り落とした豚肉である。
川嶋が憎いからと言って、決して五体をバラバラに切り落として煮込んで食べようなんてカニバリズム的思考は、俺の頭の中には一欠けらも存在しない。
いや、マジで。
結局のところ、川嶋のことをどう思おうが何も動くことが出来ないのが高須竜児と言う男である。
いくら人相が危なかろうが手を出すことなんて俺には出来ないのだ。

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 12:55:26.89 ID:7iBjALcu0
俺は走っていた。何故走っているかと言うと、それは数分前まで遡ることになる。

竜児「ククク……高須特製角煮定食、完成だ!」

竜児「さて、茶碗に真っ白なご飯ちゃんをついで……お茶を出して……芥子芥子っと……おう!?」

竜児「……芥子がねえ」

と言ったわけで、俺は家からコンビニまでの道を鬼気迫る形相で爆走していた。
今の時間は午後九時を回ったばかり。約五時間を費やして作った今日の夕飯、何か一つでも欠けているのは俺にとっては許せなかった。
コンビニで買ったチューブ入りの芥子を握り締め(もちろんエコのためにビニール袋はもらってない)、俺はコンビニから家までの道のりを再び爆走していた。
おそらく、この時も子どもが見たらなまはげと勘違いしそうな顔をしていたはずだ。
あの曲がり角を曲がれば、我がボロアパートまで後少し。そんな時だった。

竜児「あれは……?」

全身黒のジャージに黒のキャップを被っていたが、あれほどのスタイルを持った人間はこの街に一人しかいない。よって、見間違えることもない。
本日三度目の邂逅、川嶋亜美である。

竜児「あいつ何持ってるんだ?……ビニール袋?随分とパンパンだな」

川嶋の詰めたであろうビニール袋の歪な形に俺は気を取られながらも、俺は面倒なことにはなりたくないと思って足を止めた。 
だが、その瞬間――

亜美「きゃっ!?」

あの学校のトップアイドル川嶋亜美が、あろうことにも転けたのだ。しかも、袋の荷物をぶちまけて。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:21:00.45 ID:7iBjALcu0
すいません、気づいたらパソコンの前でうつ伏して寝てました。
再開します

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:32:28.65 ID:7iBjALcu0
竜児「おう……また随分と派手に転んだな」

いくら今朝噛み付かれたばかりの犬であろうと、いくら口ではあんな風に思っていても、その窮地を見てほっておくような男ではない。
ましてや川嶋の転んだ場所は家からもほど近い場所――我が家には今か今かと芥子の到着を待っている角煮ちゃんもいるのだ。
ここはパパッと声をかけて、袋詰めをしてやって、家に帰ろう。

亜美「やだ……もう最悪」

竜児「おう、大丈夫……か?」

亜美「きゃっ!?」

第一声が叫び声とは。まあ、しょうがないか。夜道で出くわしたら殺されそうな顔しているもんな。

竜児「俺だ……高須だ」

亜美「高須君……?やだ、どうしてこんなところに?……もしかして今日のことを恨んで付けて来たの?」

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:44:47.57 ID:7iBjALcu0
こいつ本気で俺を見て怯えてやがる。もうそのまま帰ってやろうか。
だが、俺の顔がいくら鬼のようでも心は仏なのだ。
そうでもしないと人としてバランスも取れないしな。

竜児「はあ……随分派手にぶちまけたな。何だこれ、お菓子ばっかじゃねえか」

亜美「え……ちょっと何……?」

竜児「川嶋、お前な袋詰めには手順ってものがあってよ……こんな入れ方じゃそりゃパンパンにもなるだろう」

亜美「え……あ、うん……」

竜児「ほら、全部入れてやったぞ……どうした、立てよ?」

そういって俺は川嶋に手を差し伸べてやった。
だが、その手は取られることもなく逆に必要以上に俺と川嶋の間に空間を作った。
……そこまで警戒するか。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 19:54:26.88 ID:7iBjALcu0
亜美「ありがとう……で、何で高須君ここにいるの?」

竜児「俺の家、そこなんだよ」

亜美「え……高須君もあのマンションだったの?」

竜児「違う……俺の家はその隣のアパートだ」

ああー、と納得したような表情を見せる川嶋。その納得はどういう意味だ。
俺の顔は鬼面ではあるかもしれないが、貧乏面のつもりは毛頭ないぞ。

竜児「で、何で袋の中身はお菓子ばっかなんだ?今からホームパーティーでもするのか?」

亜美「違うわよ、私の食べる分に決まってるじゃ……あ」

竜児「そんなもんばっかり食べてると太るぞ、お前モデルじゃないのかよ?」

亜美「うるさいな……高須君、小姑?亜美ちゃんに指図しないでくれるかな?」

竜児「ってか、北村の話は本当だったんだな。学校の姿はガラスの仮面、本性はそれってわけか」

亜美「あ……」

今さら素に戻っていたことに気づく川嶋。鬼面ドッキリ作戦大成功ってところか。
もちろん意図していなかったけどな。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 20:03:45.91 ID:7iBjALcu0
亜美「やだ~、何言ってるの高須君!今のは高須君に驚かされちゃったから、亜美ちゃんからの逆ドッキリだよ!」

竜児「俺は驚かすつもりなんて微塵もなかったけどな」

こいつ俺に仮面が外れていることを気づかされるや否や、すぐに仮面を被り直してきやがった。
なんて面の皮が厚い奴だ。

竜児「あのな、川嶋……別にもういいんじゃないか?」

亜美「いいって……何が?」

竜児「俺にはお前の本性はバレてるし、北村にだって当然バレてる。なのに、なんでまた取り繕う必要があるんだ?」

亜美「え~、何のことかなぁ?亜美ちゃん、全然わかんないな~!」

竜児「だからよ、その……」

グゥ~。ふと可愛らしい鳴き声のようなものが聞こえてきた。なんだ、猫でもいるのか。いや、それとも芥子の到着を今か今かと待っている角煮ちゃんの声か。
意外にもその声の主は案外近くにいた。というか、俺の目の前にいた。
赤面する女子が一人。

竜児「……腹減ってるのか?」

亜美「や、ヤダ~何言ってるの高須君!亜美ちゃんモデルなんだからそんなわけ……」

グゥ~。再び鳴く川嶋の腹。流石に二度目は堪えたのか、顔は真っ赤に染め上げ、俯き、モジモジしている。
クソッ!カワイイじゃねえか。これだから女子はズルい。それもカワイイ子はなおさら、だ。

竜児「……家で飯食うか?」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 20:19:24.46 ID:7iBjALcu0
一応言っておくが、俺が川嶋を家に誘ったのは家の中で野蛮な行為をしようと目論んでいたためではない。
何度も言うが俺の顔は確かに鬼、悪魔、大魔王、その他諸々によく似たものかもしれないが、その心はそこらの高校生よりも清く正しく美しい。そう自負しているつもりだ。
だから、俺が川嶋を家に誘ったのはあくまでもご飯を食べさせてやるためであり――さながら、腹を空かして鳴いてる子猫に餌をくれてやるようなものなのだ。

竜児「……どうだ?」

亜美「ヤダ……っ!何これ……っ!」

竜児「ふふふ……もっと味わえよ」

亜美「やめて……っ!でも、止まらない……っ!」

もう一度言っておく。俺は川嶋に野蛮な行動など一切行っていない。当然するつもりもない。もし迫られたとしても……いや、それはわからないが。

亜美「ふう……食べ過ぎちゃった」

竜児「おい、ごちそうさまは?」

亜美「あ……ごちそうさまでした。って!何で亜美ちゃんが高須君に指図されなきゃいけないのよ!」

竜児「おい、戻ってんぞ」

亜美「あ……キャハ☆」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 20:33:11.25 ID:7iBjALcu0
誰が誤魔化されるか。お前の性格はいわば俺の顔みたいなもの――つまり、最悪だ。
……自分で言っていて少し悲しくなってきたな。

竜児「おい、口元に米粒付いてるぞ」

亜美「いや~ん!恥ずかしい、高須君取って~!」

竜児「自分で取れ……ほら、茶淹れたぞ」

亜美「あ、ありがとう」

そうして、二人で茶を啜りながら テレビを見て、まったりとした時間を過ごしている。
あれ、何かおかしくないか?

竜児「……おい、川嶋」

亜美「ん~?」

竜児「……何でお前家でくつろいでんだ?」

亜美「え……駄目なの?」

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 20:49:22.53 ID:7iBjALcu0
いや、駄目じゃないけれども。
だけど、おかしくないか。今朝ケンカをふっかけた初対面の相手と、その日の夜には家で一緒に和んでいるというのは。
でも、そんな図太い神経を持っているからこそ川嶋はあの仮面を被り続けられるのかもしれない。
頭の中ではそう納得しながらも、俺はついつい口に出して聞いてみてしまった。

竜児「だってよ……今朝あんな揉め事あったのによ」

亜美「ああー、高須君ってそういうの気にするタイプ?顔に似合わず結構デリケートなんだ~」

竜児「顔のことは余計だ!」

亜美「ふふ、高須君って面白~い!主に顔が」

竜児「だから、顔のことは言うな!」

なんて失礼な奴なんだ、全く。
こんな奴に何で俺は愛しの角煮ちゃんを食べさせてしまったのだろう。こんな奴、冷食で十分だ。家に冷食なんてものは置いてないが。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 21:01:20.62 ID:7iBjALcu0
亜美「でも、高須君が本当に私のことを理解しているんだったら今朝のことだってわかるでしょ?」

竜児「そりゃ……」

思わず言葉に詰まる。
北村と話した時に思ったことを正直に言ってやればいいのだろうが、それでも言うことに躊躇った。

亜美「私はクラスでの自分の立ち位置を磐石にするためにあんな芝居打ったの、別に相手なんて誰でも良かったのよ」

亜美「ただ、そこに高須君がいた。だから、高須君を利用した。それだけよ」

竜児「……」

亜美「やだ~!もうこんな時間!早く寝ないとお肌荒れちゃうかも~!」

亜美「じゃあね、高須君!このことは二人だけのヒ・ミ・ツね☆もし誰かに言ったら……その時は、高須君にあんなことやこんなことをされちゃったって言っちゃうからね!」

竜児「大丈夫だ、誰かに言うつもりなんてねえよ……それに俺が何をしたって言うんだ」

亜美「ふふ、高須君優しい……ご飯すごく美味しかった」

竜児「え……?」

亜美「バイバイ!」

竜児「あ!川嶋……」

こうして、嵐のような新学期初日は過ぎていったのだった。

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 21:18:48.20 ID:7iBjALcu0
それからの一週間は変化に富んでいた。
まず、クラスの生徒の俺の見る目が変わった。今までは恐れからか敬遠されていたが、今はクラスのアイドルを虐めた悪者として敵視されている。
かと言って、誰かが俺に直接危害を与えるようなことはなく、俺はただ孤立を深めていくだけだった。まあ、孤立していたのは去年もさほど変わらないのだが。
今では俺に話しかける生徒はクラスに二人しかいない。
一人は、今俺の中で好感度急上昇中の大親友・北村だ。あいつは川嶋の幼なじみということもあってか川嶋に媚びへつらうこともなく、また俺と川嶋との対立に責任を感じているのか妙に優しい。
そして、もう一人は意外な人物だった。
先に言っておくが能登ではない。あのインチキ眼鏡野郎は始業式の次の日に俺にこう言ってのけた。

能登「いや、高須がいい奴だったのは俺はわかってるよ!でもさ、亜美ちゃんに嫌われたくないじゃん!わかってくれるよな、高須?」

別に俺は能登を責めるつもりはないし、能登がそういうのも無理はないとも思っている。俺だって能登の立場だったらそう言うかもしれない。
川嶋は今やクラスの男子に崇拝される存在であって、川嶋に背くことは絶対的神に背くのと同じことだからだ。だけど、俺の中で能登の好感度が著しく下がっていることも言うまでもない。
では、一体誰がクラスで孤立している俺に話しかけてくれているのかと言うとだな……お前ら、聞いて驚くなよ。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 21:29:05.19 ID:7iBjALcu0
なんと、あの櫛枝なのだ。
櫛枝は毎朝俺に会うたびに声をかけてくれるし、廊下などで偶然出くわした時も自然に声をかけてくれる。
ああ、櫛枝!あなたは天使、いや女神か!そして、今もまたトイレに行った帰りに偶然櫛枝と出くわしたわけだが。

櫛枝「やあやあ、高須君!元気してるかい!」

竜児「お、おう……」

櫛枝「そうかいそうかい!元気があれば何でも出来る!いくぞー!ってね!」

竜児「おう……!」

今、俺の顔を見た女生徒の一人が明らかに顔を青ざめてさせていた。どうやら、俺の顔が般若か何かのように見えたらしい。
だが、今の俺にはそんなことはどうだっていい!嬉しい、嬉しすぎて泣きそうなのだ!そして、その涙を堪えるの必死なのだ!

櫛枝「およよ、高須君どうしたんだい?顔が引きつっているけど、今君のお腹の中でイオナズンでも唱えられたのかい?」

竜児「い、いや……そ、そういうわけじゃ……ねえけど、よ」

時々櫛枝は意味の分からないことを宣うが、その言葉すら今の俺には一語一句聞き逃せない大事なものだ。そして、櫛枝と話す機会は神に与えられた最大の試練である。
俺はここ一週間、あまりにも言葉を慎重に選びすぎて結局櫛枝と会話することはままならなかった。
だからこそ、今日は必ず櫛枝と会話してみせる!神が一週間も連続して与えてくれた最大の愛の試練、今日こそは乗り越えてみせようじゃないか!

竜児「な、なあ櫛枝……」

櫛枝「なんだい、高須君?」

竜児「あ、あの……何で俺に……は、話しかけてくれるんだ?」

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 21:52:32.72 ID:7iBjALcu0
櫛枝「そりゃ、高須君……君のことが好きだからだよ」

………………

…………

……

なんて言われた日にはどうしてしまおうか!俺は嬉しさのあまり、一年間ラマダーンであっても耐えられる!まあ、俺はイスラム教徒ではないのだが。
とにかく掴みとしては悪くないんじゃないか、俺は冷静に自己分析した。ここでいきなり櫛枝に彼氏がいるのか探るのは馬鹿げているし、愛を叫ぶのはもっと大馬鹿だ。
よって、ここでの選択は正しいはずだ。まずは、ゆっくりと確実に外堀を埋めていく作業から始めようではないか。櫛枝と仲良くなる、それが第一の関門で最大の難関だ。

櫛枝「何でって……私と高須君はもう友達じゃないの!」

竜児「友達……!?」

ああ、ここは天国か!櫛枝が俺を、俺のことを友達と言ってくれた!なんて身に余るお言葉!嬉しさのあまり全身に鳥肌が立つ!今にも昇天してしまいそうだ!

櫛枝「友達の友達はみな友達だ、世界に広げよう友達の輪!」

竜児「……」

櫛枝「……あれれ?高須君、どったの?もしやネタのチョイス間違った?」

竜児「いや……す、すまない!櫛枝が俺のことを友達と思っていてくれたことが嬉しくて、な」

櫛枝「そんな大層なことじゃないよ!ハハハ!高須君大げさだな~!おっと、もうこんな時間!授業始まっちゃうよ、先行くねー!」

櫛枝の後ろ姿に白い天使の翼が見えるのは幻覚ではないはずだ。そう、確かにこの瞬間、彼女はまさしく俺にとっての天使だった。

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:19:44.07 ID:7iBjALcu0
昼休みが終わり午後の授業が始まる。昼食後ということもあってクラスには倦怠感が広がっていたが、それ以上に負のオーラを振りまく者が一人。
もちろん俺だ。
机をガタガタと震わし、机におでこを擦り付けてブツブツと一人呟く様は、まるで死の間際に世界を呪う大魔王のよう。
昼休みあれだけ晴れ渡っていた俺の心が、どうして今大雨洪水竜巻雷地震直撃と壊滅的な状況に陥っているのかと言うと――気づいてはいけないことに気づいてしまったのだ。

櫛枝「何でって……私と高須君はもう友達じゃないの!」

と言うのはつまり、友達以上の関係には進展しないということではないのか。
私は高須君のこと友達としか思ってないから告白なんかされても迷惑なだけだよ、ということではないのか。

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:31:22.63 ID:7iBjALcu0
今の授業は英語、担当教師は担任である恋ヶ窪先生だ。
先生は留学経験があるらしく確かに流暢な英語を話すのだが、時々語る留学時代の思い出はいつ聞いても同じ内容ではっきり言って誰もが聞き飽きている。
そして、そのことを気づいていないこの担任教師は今日もまた留学時代の思い出に耽っていたのだ。

竜児「……はぁ」

高須竜児の溜息!クラス中が凍りついた!

独身「ど、ど、ど、ど、どうしたの高須君?な、な、何か嫌なことでもあったのかな?そ、それとも先生の話がつまらなかったかな?」

竜児「……」

恋ヶ窪ゆり(29)独身の質問攻撃!しかし、高須竜児には当たらなかった!

独身「そ、そ、そうだ高須君!気分転換に教科書読んでもらいましょうか!ね、そうしましょうね?」

29歳独身(恋ヶ窪ゆり)の指名攻撃!しかし、高須竜児には当たらなかった!

竜児「……はぁ」

高須竜児の溜息!痛恨の一撃!恋ヶ窪ゆり(もうすぐ三十路)独身は逃げ出した!

独身「そ、そ、そ、そうですよね!嫌なことがあった時に教科書なんて読んでらんないわよね!じゃあ、春田君お願い!」

春田「ええーっ!!俺ーっ!?」

すまない春田君、だが俺は今教科書を読んでいられるような状況じゃないのだ。

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 22:37:54.93 ID:7iBjALcu0
すいません、お風呂入ってきます

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 23:33:45.38 ID:7iBjALcu0
放課後、俺はかのうやに寄って夕飯の食材を買い、いつもの道を歩いていた。
この一週間の変化の中で、唯一変わらないものがあった。
それは川嶋亜美だ。
あの始業式の夜以来、川嶋とは一度も口を利いていない。廊下ですれ違っても声はかけないし、帰りに見かけても声はかけない。
正義の美少女戦士と悪の魔王が簡単に馴れ合ってはいけないのだ。恐らく、川嶋と会話を交わすのはあの日が最初で最後だったのだろう。
俺はそれを別に寂しいとは思わないし、川嶋だってきっとそうだと思う。
だから、そんなことを考えていた今だからこそ、俺は川嶋に話しかけられて少し驚いていた。

亜美「た、高須君……!やっと……やっと追いついた……!」

竜児「川嶋……!?」

息を切らし、膝に手を当て、川嶋は呟いた。

亜美「ごめん……少し匿ってくれない?」

その怯えた表情は、普段身に着けている仮面の川嶋ではない、本物の川嶋だった。

138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 23:49:36.12 ID:7iBjALcu0
竜児「ほら、これ飲め……落ち着くぞ」

亜美「ホットミルク……?ありがとう」

手渡したマグカップを両手で持ち、ゆっくりと口を付ける。

亜美「温かい……それに甘くて優しい味」

竜児「川嶋……落ち着いたらでいいから話してくれ、なんであんな顔をしてたんだ?」

亜美「……うん」

ストーカー。
特定の誇示に異常なほど関心を持ち、その人の意思に反してまで跡を追い続ける者。
川嶋はストーカーの被害にあってるらしい。
中学の頃からモデルとして活躍していた川嶋には結構ファンも付いているようで、その中には時々こういった危ない人間もいるみたいだ。

亜美「……中学までは両親と一緒に住んでたんだけどさ、多分今付けてる奴がすごくしつこくて」

亜美「親の迷惑になるのも嫌だったし、こっちには親戚もいるから引っ越すことになったんだけど、親戚の人にも迷惑かけたくなかったから結局一人暮らにしたんだ」

竜児「親の迷惑って、そんな……」

亜美「高須君知らなかった?私のお母さん女優なんだよ。お父さんも芸能関係の仕事してる人だし、やっぱそういうのってイメージ悪いじゃん」

竜児「でもよ……!」

俺にはこれ以上言葉を続けることが出来なかった。家庭の数だけ事情があるのに、考えなしに何かを言うのも間違っている。
それは俺自身も痛いほど身に染みているから。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/08(月) 23:59:14.54 ID:7iBjALcu0
俺と川嶋の間に沈黙が続く。お互いに何て言葉を続けていいのかわからない状況だった。
その時、玄関の方からガチャリと音がした。何故か家に居なかった一家の大黒柱が帰ってきたみたいだ。
けど、その大黒柱はきっとこの状況を打破する救世主にはなれないだろう。

泰子「あれ~?鍵開いてる~?竜ちゃん帰ってきてるの~?」

竜児「おう、おかえり泰子。どこ行ってたんだ?」

泰子「ちょっとお買い物~!あれ~、お客さん来てる~?」

竜児「お、おう……ちょっとな」

亜美「あ、お邪魔してます……」

泰子「……」

泰子「わぁ~!大変だ~!!竜ちゃんが、竜ちゃんがべっぴんさんな彼女を連れてきた~!!!」

やっぱり泰子は救世主にはなれなかった……それどころか事態を余計にかき乱してくれている。

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 00:10:35.62 ID:Fsu31dR40
竜児「お、落ち着け泰子!こいつはただの友達だ!」

泰子「へ?お友達、なの?」

亜美「高須君、えっと……」

竜児「悪い川嶋、紹介が遅れた……高須泰子、俺の母だ」

亜美「……」

泰子「へへへ、どうも~!やっちゃんって呼んでね!」

亜美「おおおおお母さんっ!?」

竜児「泰子、この子は川嶋亜美。クラスメイトだ。ほら、そろそろ仕度しないと仕事遅れるぞ……飯は今すぐ作るけど食べてくか?」

泰子「食べる~!あ、川嶋さんだっけ?ゆっくりしていってね~!」

亜美「はあ……」

竜児「川嶋も食べてくか?今日の夕飯は野菜炒めだけど」

亜美「え……悪いよ、それは」

泰子「いいのいいの~!みんなで食べた方がご飯もおいしいし~!」

こうして川嶋はあっさりと我が家の家長に認められたのだった。

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 00:49:52.02 ID:Fsu31dR40
夕飯が済み、泰子も仕事に出た。
今高須家には、俺と川嶋とあと一匹我が家の秘蔵っ子しかいない。

亜美「ねえ、高須君」

竜児「おう、何だ?」

亜美「さっきから気になってたんだけどさ、あれ何?」

川嶋が指差す方向には鳥かごがかかっている。
我が家の秘蔵っ子はその中にいる。

竜児「あれとはなんだ、あれとは。あの子はインコちゃん、高須家の大事な家族の一人だ」

俺がインコちゃんの名を呼んだ途端、インコちゃんは両翼を数回はためかせた。そうだ、インコちゃんも何か言い返してやれ。
だが、一方川嶋は突然腹を抱えて笑いだしたのだ。

亜美「アハハハハ!い、インコの名前が、インコちゃんって!た、高須君それ誰が名づけたの?」

竜児「お、俺だ……」

亜美「キャハハハハ!た、高須君、センス無さ過ぎ!ククク!しかも、このインコ超ブサイクだし!ヒヒヒ!だ、駄目だ、超面白い!」

竜児「ば……インコちゃんを馬鹿にするなよ!そうだ、インコちゃん!川嶋に自己紹介してやってくれ!」

亜美「フフフ……へぇー、そ、そんなこと出来るんだ?やらせてみてよ」

川嶋、今に見てろよ!インコちゃんの話す様を見たら、きっとお前だって感動するに違いない!
さあ、行け!俺のインコちゃん!

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 00:51:16.20 ID:Fsu31dR40
眠くなってきたんで目覚ましがてらタバコ買ってきます

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:23:18.67 ID:Fsu31dR40
俺の声と共に、インコちゃんは可愛らしい奇声を上げながら自分の名前を名乗ろうとし始めた。

インコ「ン、ンコ、ンコ!」

竜児「いいぞインコちゃん!その調子だ!さあ、ほら!川嶋をぎゃふんと言わせてやれ!」

インコ「イ、イン、イン!」

亜美「へえー、すごい……ってか、喋るのってオウムじゃなかったっけ?」

竜児「うちのインコちゃんは喋るんだよ!さあ、ほら!インコちゃん、もう少しだ!」

インコ「インデックス!」

竜児「……」

亜美「……」

竜児「あ……ち、違うんだ川嶋!これはインコちゃんなりの精一杯のギャグなんだよ!なあ、インコちゃん!」

インコ「ちげーよ」

竜児「……不幸だ」

せっかくフォローしたのに見事にスカしてくれるとは、この気持ち悪い化け物め。明日からラマダーンでもしてもらおうか。

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:34:42.11 ID:Fsu31dR40
亜美「で、でもさ、ペットと漫才出来るって逆にすごいと思うよ!」

竜児「いいんだ川嶋……そのフォローが逆に辛い」

亜美「ご、ごめん……」

俺はインコちゃんの鳥かごに布をかけ、強制的に眠りに付かせることにした。
ふと時計を見ると、時計の針は既に10時を示していた。

竜児「おう、もうこんな時間か……そろそろ帰るか?」

亜美「そうだね……そうするよ」

竜児「あ、送っていくぞ。と言ってもすぐそこまでだけどよ」

亜美「ううん、大丈夫。さすがにこの時間までストーカーが張り付いてるなんて考えられないし」

竜児「そうか……でもよ」

亜美「大丈夫!亜美ちゃん、実は拳法とか習ったりしてるから強いんだぞ☆高須君だって秒殺出来るんだからね!」

竜児「川嶋……」

亜美「じゃあ……本当に今度こそもう話すこともないと思うから……うん、ありがとうね!じゃあね、高須君!」

そういって川嶋は家を出て行った。最後に、再びあの仮面を付け直して。
それはつまり、もう二度と俺には素の自分を見せないという意思表明なんじゃないかと俺は思った。

153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:46:23.26 ID:Fsu31dR40
瞬間。叫び声。
その声はさっきまで俺が耳にしていた声だ。
馬鹿野郎、何が拳法習ってるだ。何も出来てないじゃないか。
いや……馬鹿野郎は俺の方だ。あそこは無理矢理にでも付いていくべきだったはずだ。

竜児「何やってんだ俺は……!」

そして、俺は靴など履かずに勢いよくドアを開けた。

竜児「川嶋!」

亜美「高須君!」

俺の目に映ったのは川嶋と、そこから逃げようとする男の影。
何も考えていなかった。ただ、感情の赴くままに。

竜児「鍵かけて家の中に居ろ!」

亜美「え……」

川嶋に特に外傷がないことだけ確認すると、俺は振り返りもせずに男を追った。

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 01:55:24.39 ID:Fsu31dR40
泰子は昔こんなことを言っていた。
自分は魔法使いで、三回だけ魔法が使えると。
そのうちの二回はもう使ってしまったけど、最後の一回は俺にくれると。
悪い、泰子。
その一回、ここで使わせてもらうぞ。

男「ひい……ひい……こ、ここまで来れば……」

竜児「大丈夫なわけ、ねえだろ?」

男「ひいいいい!!」

男はきっと混乱しただろう。少なくとも後ろから追っかけてくるはずの人間が今目の前にいるのだから。
俺は男の襟首をグイと掴み上げ、出来る限りの強面をしてみせた。

竜児「おい、お前……」

男「ははははははいいいいいい!!」

竜児「今度川嶋の跡を付けるような真似をしてみろよ……」

男「……!」

竜児「ただじゃ済ませねえぞ……!」

男「すいませんすいませんすいませんすいませんすいませんすいません!」

俺が男の襟首をパッと離すと、男は一目散に逃げ出した。

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:05:04.54 ID:Fsu31dR40
竜児「ふう……」

脚がガクガクと震えている。全身に鳥肌が立っている。
正直、めちゃくちゃ怖かった。
額からは嫌な汗が未だに流れ、恥ずかしい話だがパンツも少し湿ってる気がする。

竜児「ハッタリが利く相手で良かった……はあ……」

俺の武器はその顔だけだった。この顔で脅して、ハイ終了。それが俺が唯一考え付いた撃退法だった。
もし相手が手を出してきたら……その時は俺の方が危なかったかもしれない。
何度も言うが、俺が「ヤンキー高須」などと呼ばれているのはこの顔のせいだけである。殴り合いのケンカなんて今までに一度もしたことがない。
だから、今日だけはこの顔面凶器のDNAをくれた父親に感謝しよう。
俺はそんなことを思いながら家に帰った。

159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:27:14.70 ID:Fsu31dR40
亜美「馬っ鹿じゃないの!」

家に帰ってきた俺に対する川嶋の第一声はそれだった。

竜児「か、川嶋……」

亜美「何でそんな危ないことするのよ!」

竜児「す、すまん……」

亜美「高須君に何かあったらどうするのよ!」

竜児「すまん……」

亜美「もう……何で私を助けてくれたのよ……」

川嶋は泣いていた。俺の胸に額をつけ、両腕で俺を叩きながら泣いていた。
そんな川嶋に俺はどんな反応をすればいいのかわからず、ただそのままその場に立ち尽くしていた。

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:37:09.66 ID:Fsu31dR40
川嶋が落ち着くのを待ってから、今度こそ俺は川嶋を送ってった。
今まで素通りして行くだけだったお隣さんの高層マンションの玄関はやっぱりキレイで、高級感も漂っていた。

亜美「今日は本当にありがとうね」

竜児「おう」

亜美「これからは私もストーカーに負けないような強い女になるから」

竜児「おう」

亜美「……またご飯食べに行ってもいいかな?」

竜児「もちろんだ、泰子も喜ぶし」

亜美「そっか、わかった!じゃあ、また明日ね……あ」

竜児「どうした、忘れ物か?」

亜美「ううん、バイバイ竜児!」

竜児「なっ!?りゅ、竜児って……!」

亜美「アハハハハ!顔赤らめてる~!高須君うぶだね~!」

竜児「う、うるせえ!」

さっきとは違って今度は本物の川嶋と別れの挨拶を済ませて俺は家に帰った。

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/09(火) 02:48:52.05 ID:Fsu31dR40
次の日、クラスで俺を取り巻く環境に変化が生まれた。

亜美「あ、おはよう高須君」

竜児「……」

川嶋が俺に声をかけてきたのだ。俺も思わぬ出来事に思わず目を丸くした。

亜美「なんて顔してんの?そんな顔なんだからもうちょっと気を使った方がいいと思うけどな~」

木原「あ、亜美ちゃん!?」

竜児「う、うるせえ……」

亜美「あーあ、昨日はあんなカッコよかったのに。亜美ちゃんがっかり~」

香椎「昨日って、亜美ちゃん高須君と何かあったの?」

亜美「うん、あのね……」

昨日まで悪の魔王だった高須竜児は、一転して暴漢からクラスのアイドルを救ったヒーローになった。
広めたのはもちろん俺ではない。川嶋だ。
川嶋の敵ではなくなったと知るや否や、声をかけてくる奴らも増え、新しい友達も出来た。
クラスメイトに理解されることを諦めていた俺の高校二年生の生活は、ここからリスタートを切ることになるのだろう
[ 2011/08/09 12:14 ] SS とらドラ | TB(0) | CM(0)

大河「倦怠期……」

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:21:32.70 ID:qSRWFxRW0
大河「結婚五年目……」


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:24:29.46 ID:qSRWFxRW0
亜美「で、私に相談してきたの?」

大河「コクリ」

亜美「いや、まあ、五年目でしょ?」

亜美「そろそろそういう時期に入ってもおかしくないんじゃない?」

大河「……」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:26:31.05 ID:qSRWFxRW0
亜美「高須くんに不満があるの?」

大河「そ、そんなわけないじゃない!」

亜美「まあ、そりゃそうよね」

亜美「お店も軌道に乗ってるみたいだし」

亜美「何が不満なの?」

大河「不満っていうか、その」

大河「ゴニョゴニョ」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:28:00.05 ID:qSRWFxRW0
亜美「なによ、モジモジして」

亜美「気持ち悪いったらありゃしない」

大河「う、うっさいわねー!」

亜美「はいはい、で、なにが問題なの?」

大河「いや……その」

亜美「なに?」

大河「最近、シてくれなくて……」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:29:54.40 ID:qSRWFxRW0
亜美「……」

大河「……あのね!」

大河「竜児のお店、レストランでしょ?朝仕入れとかで早くて」

大河「家帰ってきてもすぐ寝ちゃうし」

大河「休みの日がない仕事だし……」

亜美「……」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:32:01.61 ID:qSRWFxRW0
亜美「はあ、そうですかとしか…」

大河「本気で悩んでるんだから!」

亜美「あー、はいっすはいっす」

大河「こういうときどうすればいいかわかんなくて」

亜美「あたしにきかれてもー」

大河「あんたなら経験豊富だろうと思って……」

亜美「……」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:32:48.19 ID:qSRWFxRW0
大河「……」

亜美「……」

大河「……ないの?」

亜美「……」

大河「えっ」

亜美「えっ」

大河「……」

亜美「……」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:36:58.27 ID:qSRWFxRW0
亜美「……」

亜美「…な、ないわよ」

大河「そ、そうなんだ」

大河「ふーん……」

亜美「……」

大河「……」

大河「あの、どうしよう……」

亜美「こっちが聞きたいわ!」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:39:03.79 ID:qSRWFxRW0
亜美「まあいいわ」

亜美「聞くだけ聞いてやるわよ、話」

大河「……」

亜美「結局、最近仕事で忙しくて構ってもらえないのが寂しいのね?」

大河「コクリ」

亜美「直接言ってみればいいじゃない」

亜美「構ってーって」

大河「できるわけないじゃない!」

亜美「まあ、あんたの性格ならね…」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:42:14.55 ID:qSRWFxRW0
亜美「まあ、話を聞く限り高須くん忙しそうだし」

亜美「構ってー、っていっても難しそうね」

大河「そこが問題なのよ……」

亜美「でも不安なんでしょ?」

亜美「私、飽きられてるんじゃないかって」

大河「うん」

大河「竜児がいなくなったら私……」

大河「洗濯もできないし、料理もできないし……」

大河「一人じゃ暮らせなくて……」

亜美「……」

亜美「打算!?」

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:44:56.33 ID:qSRWFxRW0
大河「そ、そんなわけないじゃない!」

大河「私は竜児のこと好きよ!?」

亜美「でも最近Hしてくれない、とか」

亜美「いなくなったら家事できないから困る、とか」

亜美「そういうのばっかりじゃない」

大河「ち、違うわよ!」

亜美「高須くんのことだから、愛想はつかさないだろうけど」

亜美「あんたがそれじゃいつまでも平行線のままだと思うわよ」

大河「うー……」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:48:16.90 ID:qSRWFxRW0
大河「じゃあどうすればいいのよ……」

亜美「初心に戻ってみれば?」

亜美「高校時代の気持ちよ」

亜美「ほら、覚えてる?」

大河「高校時代……」

亜美「色々あって、好きあった二人でしょ?」

亜美「あのときの気持ちで向かい合えば大丈夫よ」

大河「あのときの気持ち……」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:51:27.17 ID:qSRWFxRW0
大河「……」

亜美「大丈夫?」

大河「うん、大丈夫」

大河「そうよね、あのときの気持ちが大事なのよね」

亜美「ちゃんと高須くんの気持ちを確かめて」

亜美「そうすればあんたの不安も晴れるんでしょ?」

大河「たぶん」

亜美「じゃあ、がんばって」

大河「うん」

大河「がんばる」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:52:42.95 ID:qSRWFxRW0
亜美「よし」

大河「うふふ」

亜美「なによ気持ち悪い」

大河「ありがとばかちー」

亜美「……」

大河「ニコニコニコニコ」

亜美(と、良い感じのこと言ってみたけれど、大丈夫かしら…)

亜美(まあ、なんとかなるか)

大河「♪」

亜美(本人も満足そうだし)

亜美(よしよし)

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:54:23.02 ID:qSRWFxRW0
……
………
…………

亜美「そろそろ時間かしらね」

亜美「一応経過が気になるから、今週も逢ってみるけど…」

亜美「結構適当言っちゃったからなあ……」

亜美「大丈夫だとは思うけど」

大河「……あっ」

大河「ばかちー!」

亜美「お、来たかしら」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:56:19.43 ID:qSRWFxRW0
大河「♪」

亜美「……」

大河「……なによ」

大河「じろじろとこっちの顔見て」

亜美「いや、別になにもないんだけど」

亜美「なんでこんなにテカテカした感じなんだろうと…」

大河「?」

大河「ああ、でも身体の調子はいいわよ」

大河「ほら」

ヒュンヒュンヒュン

亜美「ああ、もうわかったから」

亜美「ジャブうっとい…」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:57:38.78 ID:qSRWFxRW0
亜美「で、うまくいったの?」

大河「ふふふー」

大河「バッチリよ!」

亜美「あのアドバイス、利いた?」

大河「それもバッチリ!」

亜美「へえ」

亜美「ちょっと、経過聞かせてよ」

亜美「どうなったのか気になるじゃない」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 19:59:29.34 ID:qSRWFxRW0
大河「け、経過!?」

亜美「なによ」

亜美「経過よ?」

大河「……」

大河「言わなきゃダメ?」

亜美「むしろ、聞いちゃダメなの?」

大河「そんなことはないけど……」

亜美「ああ、やっぱりじれったいわね!」

亜美「ほら、聞かせなさいよ」

大河「……」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:01:15.93 ID:qSRWFxRW0
大河「あの、月曜日にね」

亜美「うん」

大河「制服……」

亜美「制服」

大河「高校時代の」

亜美「高校時代の制服?」

大河「うん」

亜美「制服がどうかしたの?」

大河「制服着てみたの」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:03:16.44 ID:qSRWFxRW0
亜美「は?」

大河「でね!でね!」

大河「それが竜児のツボにハまったみたいで!」

大河「三ヶ月ぶりに……」

ヒュンヒュンヒュン

亜美「いや、だからジャブやめてって…」

亜美「あのね、大河」

大河「?」

亜美「高校時代の気持ちに戻って、って……」

大河「え、そういう意味じゃないの?」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:06:22.30 ID:qSRWFxRW0
大河「ちなみに火曜日はスクール水着着て、水曜日は文化祭のときの衣装着て」

亜美「文化祭のときの衣装まだ持ってたの!?」

亜美「いや、そういうことじゃない!」

大河「で、木曜日は私のリクエストで竜児にくまサンタのぬいぐるみ着てもらって…」

亜美「違うの、違うの」

亜美「なんていうか」

亜美「キモい!」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:08:44.35 ID:qSRWFxRW0
亜美「ああ、もう腹立ってきた!」

グビグビグビグビ

亜美「プハー!」

大河「ば、ばかちー?」

亜美「……おいー」

亜美「あんたらの思い出ってそうやって使うもんじゃないでしょ?」

亜美「あァん?」

大河「えっ、えっ」

亜美「高校時代の写真のアルバムとか開いて」

亜美「あのころはどうだったね、とか」

亜美「そういう流れがあるでしょ?」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:10:42.05 ID:qSRWFxRW0
亜美「それがさ」

グビグビグビ

亜美「プハー!」

亜美「汚れちまったよ……」

亜美「汚れちまったわよ、あんたたちは……」

大河「……」

亜美「こんな風に育てた覚えはないわよ、あたしゃ……」

大河「ばかちー……」

大河「お酒はいるとこんなキャラになるんだ……」

亜美「うっせー!」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:20:10.13 ID:qSRWFxRW0
亜美「あんたももう一回自分を見つめなおしてみたら?」

大河「えっ?」

亜美「今の自分を好きになってもらいたいんでしょ?」

大河「うん……」

亜美「これじゃ高須くんが昔の思い出に欲情しちゃっただけじゃない」

大河「そ、そんなことないわよ」

亜美「そうなのよ」

亜美「現に今のお前も好きだ!とは言ってもらえなかったわけでしょ?」

大河「う、うん…」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:23:30.79 ID:qSRWFxRW0
大河「じゃ」

大河「じゃあ、どうしたら好きって言ってもらえるわけ?」

亜美「そりゃ、もう自分を見つめなおして……」

亜美「あれ?」

亜美「そういやあんた普段はなにしてんの?」

亜美「家事もしてないみたいだし、趣味とかないの?」

大河「趣味……」

大河「……」

亜美「ないの?」

大河「寝て、起きて、竜児にいってらっしゃいのちゅーしてから、寝て……」

亜美「ダメだ、こいつ」

亜美「はやくなんとかしないと!」

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:28:34.75 ID:qSRWFxRW0
大河「だって、竜児が全部やっちゃうし…」

亜美「あんたの場合はまず、自体性を持つことね」

亜美「高須くんに甘えすぎ」

大河「甘えてなんか!」

大河「……あるかも」

亜美「でしょ?」

亜美「これじゃペットかなにかじゃない」

亜美「さすがに高須くんでもペットには欲情できないわよ」

大河「ち、違うわよ!」

大河「バカ犬なのは私じゃなくてあいつで……」

大河「うー……」

亜美「否定できないじゃない」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:32:31.81 ID:qSRWFxRW0
大河「だって竜児が全部やっちゃうし…」

亜美「まあね」

亜美「文句言わずやっちゃうのが凄いとこなんだけど…」

亜美「でもこれじゃあんたにとって高須くんが大事ってことがわかるばっかりで」

亜美「高須くんにとってあんたが大事、ってことにはつながらないでしょ」

大河「えっ、大事じゃないの!?」

大河「そ、それはやだ……」

大河「ふぇ…」

亜美「ああ、もう泣くな!」

亜美「大事じゃないとは言ってないでしょ!」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:39:40.79 ID:qSRWFxRW0
亜美「俺には大河しかいない!」

亜美「みたいな実感を持ってもらうのが大事なの」

大河「実感……」

亜美「そ」

亜美「自分は何もしてないのに、相手から好きって言ってもらいたいっていうのはわがままよ」

大河「わがまま……」

亜美「ただ、まあ、養ってるという実感はあるのかもしれないから」

亜美「複雑といえば複雑だけど…」

大河「ええっ、私、養われてるの!?」

亜美「ひ」

亜美「酷いな!」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:43:33.90 ID:qSRWFxRW0
亜美「じゃあさ」

亜美「こういうのはどう?」

大河「?」

亜美「あんたじゃなくて、私が聞いてみる」

大河「えっ?」

亜美「あんたじゃもう埒があかないだろうから」

亜美「私が高須くんに聞いてみるってこと」

大河「なにをよ?」

亜美「……」

亜美「シャー!」

大河「わっ、ばかちー噛み付くな!」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:46:03.17 ID:qSRWFxRW0
大河「あんたが竜児に?」

亜美「そう」

亜美「人肌脱いであげるわよ」

大河「だから何をきくのよ?」

亜美「高須くんの本心」

大河「えーっ!」

亜美「気になるんでしょ?」

大河「気になるけど……」

大河「もし、本当に飽きられてたら……」

亜美「不満があったらそれも聞いてあげるから、直せばいいじゃない」

大河「……」

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:47:45.60 ID:qSRWFxRW0
亜美「ほら、いくわよ」

大河「……」

亜美「心の準備は?」

大河「うん……」

亜美「……」

ピポパピ
トゥルルルル
ガチャッ

竜児「もしもし」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:49:33.06 ID:qSRWFxRW0
亜美「あ、高須くーん?」

大河「!」

竜児「おう、久しぶりだな」

亜美「久しぶりー」

亜美「時間大丈夫?」

竜児「おう」

竜児「いま、丁度上がりの時間だから」

竜児「でもどうしたんだ、突然」

亜美「んー」

亜美「ちょっと話が聞きたくて」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:51:31.08 ID:qSRWFxRW0
竜児「話か」

竜児「どうした?」

亜美「いやー、最近大河とヨロシクやってるかなあって」

竜児「ヨロシク?」

竜児「………」

竜児「ちょ、おまえ!なにいってるんだ!」

竜児「そんなヨロシクだなんて……」

亜美(……これ面白いな)

大河「……ちょっと、何にやにやしてんのよ」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:54:56.92 ID:qSRWFxRW0
亜美「結婚して5年目だっけ?」

竜児「それくらいだな」

亜美「最近はどうなの?」

竜児「なにがどうなんだよ」

亜美「大河とはうまくやってるの?」

竜児「……」

亜美「なによ、黙りこくっちゃって」

竜児「いや」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:56:32.47 ID:qSRWFxRW0
亜美「もしかして、なにか不満とか?」

竜児「不満じゃないんだが……」

亜美「じゃあ、なによ」

竜児「変な悩みといえば、変な悩みだとは思うんだが」

亜美「?」

亜美「いいわ、聞いてあげる」

竜児「おう」

竜児「頼む」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 20:58:37.66 ID:qSRWFxRW0
亜美「気にしないで」

亜美「で、悩みって?」

竜児「……いや」

竜児「もしかしたら、俺は大河に甘えてるんじゃないかって」

亜美「……は?」

竜児「俺の家族のことは知ってるだろ」

亜美「まあ、一応」

竜児「親父がああいう人だったのも知ってるだろ?」

亜美「一応ね」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:02:29.17 ID:qSRWFxRW0
竜児「それでああなっちゃいけないと思いすぎて」

竜児「そういう気持ちを大河に押し付けすぎてるんじゃないかって」

亜美「あの、話が見えない」

竜児「大河の不安そうな顔を見るのが怖いんだよ」

竜児「昔みたいに飯食っても楽しそうにしないし」

竜児「ああいう顔を見ると、なんか考えてしまって」

亜美「なにを?」

竜児「その、なんだ」

竜児「こういうことを大河のためにやってるんじゃなくて」

竜児「親父みたいになりたくないからやってるんじゃないかって」

竜児「そういう気持ちを勘付かれてるんじゃないかって」

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:04:05.90 ID:qSRWFxRW0
亜美「……」

大河「????」

大河「なによ、人の顔見て」

亜美「………」

亜美「はあ」

竜児「なんだよ、溜息ついて」

亜美「べっつにー」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:09:42.12 ID:qSRWFxRW0
亜美「……まあ、思ったんだけど」

亜美「多分ね、大河が高須くんに甘えちゃうのも同じだと思うの」

竜児「同じ?」

亜美「うん」

亜美「大河もまあ、こう言うとアレだけど、あの両親を見てきたわけじゃない?」

竜児「おう」

亜美「あの二人を見てきたから、ああなっちゃいけないと考えちゃうんだと思うの」

竜児「……」

亜美「だから自立しようとせずに、極端に依存できる場所を見つけたら甘えちゃう」

亜美「ああなるのが怖いから?」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:17:16.52 ID:qSRWFxRW0
亜美「大河、昔みたいに家事もなにもしてないでしょ?」

大河「ちょっとばかちー」

亜美「はいはい」

大河「モゴモゴモゴ」

竜児「?」

竜児「なんでわかったんだ?」

亜美「いや、まあ、なんとなく……」

亜美「家でゴロゴロして」

竜児「いや、おう、そうだが……」

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:20:20.01 ID:qSRWFxRW0
亜美「高須くんがなんでもやって」

亜美「あの娘が受け入れて」

亜美「一見それで巧くいってるように見えるんだろうけど、なんかすれ違ってる気がする」

竜児「……」

大河「……」

亜美「それは多分、今二人が同じ目標に向けて一緒に歩いてるように見えて」

亜美「実は別々に歩いてるからじゃない?」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:23:47.53 ID:qSRWFxRW0
竜児「……」

亜美「なーんて」

亜美「亜美ちゃん、適当なこと言ってみちゃったけど」

竜児「……」

亜美「あ、そうだ」

亜美「今、隣に本人がいるんだけど替わってみる?」

竜児「えっ?」

大河「えっ?」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:26:05.05 ID:qSRWFxRW0
竜児「ちょ、待て、川嶋……」

亜美「じゃあ、替わるから」

大河「ええっ!」

亜美「ほら」

大河「ほらって……どうしてそうなるのよ!」

亜美「直接話してみないとわかんないって!」

大河「ええっ、だって……」

亜美「大丈夫、流れは作ったから」

亜美「あとは『竜児、私のこと好き』って聞けば大丈夫」

大河「な、なによ、それ」

大河「ええっ!?」

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:27:47.14 ID:qSRWFxRW0
亜美「はい!」

大河「う、うー……」

大河「……」

竜児「おい、川嶋!どういうことかって……」

竜児「川嶋?」

大河「りゅ、りゅ…」

大河「りゅーじゅ……」

亜美(……噛んだ)

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:29:46.40 ID:qSRWFxRW0
竜児「その声は…」

竜児「大河か?」

大河「……」

大河「コクリ」

竜児「……」

竜児「……その」

竜児「なんだ」

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:32:13.87 ID:qSRWFxRW0
竜児「悪かった」

大河「えっ」

竜児「すまなかった」

大河「えっ、えっ」

竜児「ずっと不安にさせてたのは気付いてたんだ」

竜児「いつの間にかお前のことを考えずに、こっちの不安を押し付けるだけになってて」

竜児「気付いてたけど、甘えてて…」

大河「えっ、ちょっと」

大河「何の話?」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:36:35.78 ID:qSRWFxRW0
大河「違うの」

大河「最近、どんどんあんたの表情が暗くなってて」

大河「もしかしたら私のせいなんじゃないかって……」

大河「それでばかちーに聞いてみたら、やっぱり私のせいなんじゃないかって」

大河「甘えすぎだって……」

竜児「いや、そんなことないぞ!」

竜児「もしそうだとしたら、それは大河が最近元気がないのが不安だからで……」

大河「……」

竜児「……」

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:39:47.70 ID:qSRWFxRW0
大河「あんたの仕事も忙しいのもあるかもしれないけど」

大河「最近、その、あんまり構ってもらえなかったし」

竜児「それは、その……」

竜児「いろいろ考えてたからで……」

竜児「その、家族のこととか、お前のこととか」

竜児「もちろん、仕事が大変なのはあるけど」

竜児「そんなの、お前の顔見れば気にならないし…」

大河「……」

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:43:06.38 ID:qSRWFxRW0
大河「じゃ」

大河「じゃあ聞くわよ」

大河「あの……」

竜児「おう」

大河「竜児、私のこと好き?」

竜児「……」

竜児「好きだ」

大河「……」

竜児「……」

大河「……ば、ばかちー」

大河「竜児、私のこと好きだって……」

亜美「……」

亜美「……あー」

亜美「はいはい、それは」

亜美「良かったですね!」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:47:56.84 ID:qSRWFxRW0
……
………
…………

亜美「……で」

亜美「あれから一週間たつわけだけど」

亜美「結局どうなったの?」

大河「そりゃあ、もう」

大河「ラブラブよ」

亜美「あー、そうでしょうねはいはい」

大河「でもちょっとは竜児のこと手伝おうと思うようになったわよ」

大河「お鍋のおたま回してみたり、お風呂にお湯入れてみたり…」

亜美「進歩した……のかしらそれは」

亜美「まあ、いいわ」

亜美「うまくいってるなら何よりよ」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/03/17(水) 21:50:53.90 ID:qSRWFxRW0
大河「あら、ありがと」

亜美「どういたしまして」

亜美「ところで……」

亜美「最近どうなの?」

大河「どうって?」

亜美「だって、不満だったんでしょ?」

亜美「アレ」

大河「………」

大河「ええと、1、2、3」

大河「……3日で5回」

亜美「……」

大河「……」

亜美「なんか」

亜美「あんまりだわ!」
[ 2011/08/08 15:12 ] SS とらドラ | TB(0) | CM(0)

実乃梨「とらP?」



2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/23(金) 23:36:29.44 ID:bq7E3B00O [2/6]
目が覚めたらそこは知らない場所で
少し固いベッドの上で私は天井を見上げていた


なんだろう、この感じ…ふわふわしてて
起きたばかりだというのになんだか眠い

「知らない天井だ…」

ふと、そんな言葉を無意識に呟く
なんで私、こんなこと言ったんだろう、わかんないや

「櫛枝!…櫛枝…よかった」

そんな私の声が聞こえたのか突然開いたドアから

ッ!…思わず悲鳴をあげる所だった
世にも恐ろしい顔をした鬼般若がそこにいた


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/23(金) 23:39:06.66 ID:bq7E3B00O
その鬼般若、もといその少年はたぶん
私の事を心配、しているんだと思う
だが肩で息をしているその少年の姿ははたからみればまるで私をこれから…んん、まあいいかそれは

とにかく
ここは薬品の、とくにアルコールのニオイがすごいし、ベッドは白くて清潔で
窓の外を見渡せば、何をいってるのかサッパリな掛け声とともに走りこむスポーツ少年達が見える
たぶん、ここは保健室
うん、思い出した!ここは私が通う高校の保健室だ
だからこの人は私を心配してるんだ
でも、この人は誰だろう、思い出せない

ーそれが何故かー

こんな恐ろしくて、確実に2、3人殺っちゃってそうな顔で、そんでもって
こんなに優しい目をした人を思い出せないなんて

ー何故だかとても、悲しくてたまらないー


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/23(金) 23:43:24.30 ID:bq7E3B00O
「櫛枝、大丈夫か?まだ痛むか?頭」

少年は言う
頭?…げ、こぶ!しかもでか!
言われてさすってみると確かに腫れて押さえると痛い
これってもしかして…

「こ、ここは何処?私は誰?状態…か?」

「ま、まじかよ櫛枝…って、おう!?なんだ?なんかすげぇ違和感が…はっ」

何だ!?どうした!?
なんかマズった?

これは後で聞いた話、普段の私なら
こんなおいしいシチュエーションで「ここは誰?私はどこ?」必ず言うはずだったらしい…




7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/23(金) 23:49:04.41 ID:bq7E3B00O
それはほんの一時間もしないくらい前の事
今日は日曜日、他校のソフト部との練習試合の最中だった

「おらおらかっ飛ばすぜ今日はかっ飛ばすぜ~」

私のそんな声に外野を守る(おそらく)一年生諸君は素直に一歩、また一歩と後ろへ下がる

ヘイ、カマッ!とバットを構えてタイミングをはかる
相手のピッチャーが豪快なウィンドミルでボールを放つ
おっと、これはボールだぜよ!
スパン、と小気味の良い音がすぐ後ろで聞こえた

「ヘイ櫛枝!ピッチャービビってるぞ!」

そんな声がもっと後ろ、バックネットの裏で聞こえた
誰だ誰だ?…おっとイカン、試合中!横目で振り返るとそこには北村君、と…………

「…高須、君」

櫛枝!前!北村君が慌てて叫ぶ
そして私も慌てて振り返る

「ひゃあ!…ッんへぇい!」

間抜けな声と軌道で振られたバットは、間抜けな音を発して間抜けな打球を打ち上げる
た、高須君のせいだかんな!……ビックリさせやがってもう

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/23(金) 23:56:23.09 ID:bq7E3B00O
「あーれまー…」

そんな打球はキャッチャーフライ一直線、ワンナウト確定
格好悪いとこ見せちまったぜ、なんてバカな事を考えながらその打球の行方をアホ面さげて見守る
「ど、ドンマイだ!櫛枝!」

と、そんな声が聞こえた、北村君じゃない方から
そういえばなんで学校にいるんだろう?日曜だよな今日は
北村君は生徒会…だよね、たしか
高須君は…んーわっかんねぇや、なんで?

そんな高須君は高須君で何故か私に向かって万歳をして…ん?
頭?頭がどうしたの?ああ、ヘルメット?

とりあえずヘルメットを外すと高須君は…、うひー…その顔はやばいぜ高須ボーイ

「なんだよ高須君!それなんのジェスチャークイズ?わかんねーって、んがッ!!」

これが最後の言葉、最後の思考
櫛枝実乃梨、ここに倒れる


…とまあ

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 00:04:31.47 ID:+nAxmNUSO [1/28]
「…とまあ、こんな感じだ」

と言うのは高須竜児君、私のクラスメイトで友達、みたい

「へ~ドジだなみのりんは~…って私か!ははは面目ねー、櫛枝がご心配おかけしたようで」

櫛枝実乃梨、それが私の名前、みたい

「おう他人事かよ!…なあ櫛枝、お前本当に何も覚えてねぇのか?…その…ほら、クリスマスパーティー…とか」

ードクンー

『それ、いいクマだね、高須君』

なんだ!?何だ今の…いっ

「どうした?なんか思い出したか?」

「つつ…いや、なんだろ?なんか……たんこぶが今頃痛むんだ、はははー痛てぇなこのこぶ野郎」

「そ、そうか…いや、いいんだ…おう、ゆっくり一つずつ思い出していけば」

「…ごめんな、高須くん」

「おう、気にすんな」

本当にごめん、何かひっかかってるのはなんとなくわかるんだよな
一瞬だけ、君の着ぐるみ姿が浮かんだんだ、でもそれだけ
でもさ、なんとなくだけど、君の事は思い出さなきゃいけない気がするんだ、ちゃんと自分で、絶対に。
だから、少しだけ待っててくれるかな

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 00:13:30.80 ID:+nAxmNUSO [2/28]
練習試合はもう終わっちゃって撤収済み
だからあとはこれから家に帰るだけ、なんだけど

「っかぁ~!…家どこだよ!」

「おう、それなら心配すんな。北村がちゃんとお前ん家の住所知ってるから」

「…北村?」

「ああそっか…えーっと北村ってのは」

「呼んだか!?高須。」

おう!?やべ、うつった
この人が北村君?
目で高須君に合図すると彼も頷く

「おお櫛枝気がついたか!よかったよかった」

「…君はだれ?ここは何処?」

「…おい櫛枝っ…はっ!…ふふ、ははは騙されんぞ俺は!なんせ二年の付き合い……ん?なにか違和感が…」

割愛



16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 00:22:06.43 ID:+nAxmNUSO [3/28]
高須君と別れて私は北村君に案内をしてもらう
高須君は最後までついてこようとしてくれたけど、もう日も暮れてるし
北村君の「確か今日は日曜だからスーパーかのう屋が」の一言も決め手になってか、諦めて帰っていった
なんて優しい人って、思う

「あのさー北村君」

「なんだ?俺のプロフィールか?スリーサイズ以外なら全て答えてやるぞ?」

「……なんでもねーべ」

この眼鏡君の顔をみてると何か思い出せそうだな…

「あのさ北村君、何かしゃべってみてくれないか?なんでもいいんだ高須君のこととかソフト部のこととか」

あれ、なんで1番に高須君?あれ?
まあいいか、さっきまで一緒だったから当たり前か…?



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 00:39:51.42 ID:+nAxmNUSO [4/28]
「そうだな…おっ」

北村君は急にたちどまり眼鏡をクイっとあげる。WOW…知的だぜベリークール

「スリーサイズは上から」

「耳が腐るわい!」

前言撤回!さっきの取り消しな!この人バカだ! 思わず裏手で突っ込みを入れてしまったぜ

ん?突っ込んだ拍子で北村君の胸ポケットから何かが落ちた
これは…生徒手帳?

「おっといけない、やはりここだとすぐに落ちてしまうな」

「生徒手帳…あ!」

ートクンー

『やめるやめるやめるやめる全部!やめゆーーーーーっ!!!』

頭の中であの一件がフラッシュバックした
駒送りで再生される場面には

・・・
金髪頭の北村君



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 00:48:04.05 ID:+nAxmNUSO [5/28]
「ってなにやってんだ北村オイ!」

「痛っ!どうした櫛枝、時間差二度突っ込みとは斬新だぞ………まさか、なにか思い出したのか!?」

「うん!北村君!そうだよ北村君だ!うおお!完全に思い出したぜーーうーっはっはっは!」

「おお!なにやらよくわからんがよかったな!わっはっはっ」

北村君の事、北村君との思い出。全部、全部思い出せた
何だかいやに簡単な、まあいっか
この調子でもっとたくさん思い出してい

ードクンー

か、なきゃ…ってあれ?

ードクンー

『アンタのその弱さが!臆病さが!北村君を傷付けたんだ!』

い、痛い…痛いよ…なんだよこれ…
誰、なんだよ…この声…


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 00:51:00.23 ID:+nAxmNUSO [6/28]
「だ、大丈夫か櫛枝!」

しゃがみこんだ私の顔を覗きこむ北村君
こういうときはふざけないで本当に心配する

-そう、そういう人なんだよね北村君は-

「なんでもないさー!たんこぶの野郎がさー」

-だから私は弱気をかっ飛ばすんだぜ?-

…でも本当に誰だったんだろう?
私、もしかして大事な何かを、誰かを、忘れてるのか?
駄目だ、…これ以上何も思い出せないや

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 01:05:35.09 ID:+nAxmNUSO [7/28]
ここからが試練だぜ櫛枝実乃梨!
北村君に聞いた私の家族構成は父親、母親、私に弟
弟は野球の名門校に寮から通っているらしいから、とりあえずは三人暮しというわけだな…よし!

「ただいまー」

自然に、ナチュラルに、溶け込むように

「誰?……あ、実乃梨…どうしたの普通に『ただいま』なんて、体の調子でも悪いの?」

そりゃないぜママン…ますます私という人間がわからない、櫛枝実乃梨はただいまの度に何か一発ギャグをかますような人間だったなんて…
でも、なんだろ
この人がお母さん、なんだよね

ートクンー

なんだか、あったかくて高須君とも北村君とも違う安心感、みたいな…
「あ!」

「何?どうしたの急に」

「ううん、みどりの奴は次いつ帰ってくるの?半殺しにするって約束なんだ」

思い出した、やべ…泣きそう…でも、泣かねー
この家で育って、弟にも、誰にも負けたくなくて、叶えたい夢があって…

ートクンー

「ああーっ!バイト!バイト忘れてたあああっ!」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 01:15:56.90 ID:+nAxmNUSO [8/28]
俺のターン!喰らえいっ北村君直伝の!
土下寝!

「はははもういいから、櫛枝さんが遅刻なんて、初めてだよね?本当にいいから着替えてホールでてよ、ね?今回はお咎めなしって事で」

「すんませんっしたあっ!失礼します!」

おお~よかった、クビになんなくて
このファミレスでの仕事も思い出したし…なんか調子でてきたぜ!

「いらっしゃいませ!お客様、何名様ですか?」

「よ!櫛枝、日曜の夜に大変だね~」

「ふふ、三人だよ櫛枝、お疲れ様」

おう?美女二人に声かけられちまった、櫛枝も隅にはおけぬ…

「あ~寒い寒い、って暑っつ!暖房効き過ぎなんじゃね?ってゆ~か人多いし、あみちゃん待つの嫌いなんだけど~あ、みのりちゃんやっほ~」

おうおうおう絶世の美女じゃねぇかこりゃ!どうなってんだぁっ?

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 01:28:15.46 ID:+nAxmNUSO [9/28]
「やっほ~」

どうするべどうするべさコレ…
私のこと知ってる雰囲気だし、友達…なんだよなこの子たち

「ほらほら櫛枝、案内してよ!亜美ちゃんキレちゃうよ~?」

「何言ってんの摩耶ちゃんそんなことでキレたりしないよ~ねぇ奈々子ちゃん?」

「ん~まあまあ、ふふ」

「も~う、否定してよ!」

はははーってうわーお、ギャル!って感じがぷんぷんするぜ~

「え~じゃああちらのお好きなお席へどうぞ~」

この子がマヤちゃん、このセクスィ黒子がナナコちゃんね、ふむふむそんで

ードクンー

ん?なんだぁ?妙な胸騒ぎが…

「どうかしたの?実乃梨ちゃん?」

「いやいやなんでもないぜあーみん!………?」

あーみん?ん~~?

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 01:38:29.59 ID:+nAxmNUSO [10/28]
咄嗟に口を着いたけど、あーみんって呼び方はさっきされてなかったよな…
あの亜美って子の事…ふむ、何かニオイますなぁ

「ご注文は以上でよろしいですか?」

「はぁ~い」

「…」

見れば見るほど…う~む、惚れちまいそうだぜ
しかしなんでかな、なんとなく黒いオーラ的な物を感じるけれど
その亜美ちゃんはけだるそうに頬杖をついたまま私の熱い視線に気付いたようで
?と片眉をあげるようにして

「実乃梨ちゃん?私の顔何かついてる?」

そういえばさっきから私に対しての言葉は全部、どこか棒読みって感じがして気にかかる

「いや、あーみんってモデルみたいだなーって、おっとつい本音がでちまった!…あれ?」

なんでみんなしてポカーンなの?

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 01:44:39.34 ID:+nAxmNUSO [11/28]
ードクンー

「モデルみたいって…何言ってんの?櫛枝」とマヤちゃん

「みたいっていうかモデルだよ?」とナナコちゃん

ードクンー

「はぁ?…それ、ってさ、嫌味?」

ードクン!ー

『-罪悪感は、なくなった?』

ザザァッ、と…とある日の記憶が砂嵐がかかったみたいにぼんやりと脳裏をよぎる
またしても頭痛…なんなんだよこれは…ッ!



37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/24(土) 01:49:35.36 ID:+nAxmNUSO [12/28]
「あ~あなんか亜美ちゃん気分わるくなっちゃった~…ごめん、二人とも、私帰る」

そう言い残して店を出る亜美ちゃん

「あ、亜美ちゃん!」

残された二人も後を追って店をでる

「櫛枝さん!?」

あまりにも頭痛が激しくその場にしゃがみこんでしまった私を店長が支えて事務所へ連れていってくれる

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 02:00:06.00 ID:+nAxmNUSO [13/28]
事務所の椅子に崩れるように座る
店長は「調子わるかったなら言ってよ?休んでて無理そうだったら今日はもういいから」と、私に熱さましの冷却シートをくれた

ドアの向こうからややくぐもった忙しそうな声や物音が聞こえてくる
申し訳ないです、と心の中で呟く

おかしい、いままではすぐに頭痛も胸騒ぎも収まったのに…

「いっ!…つつ…」

ードクンー

『ほんと、いい面の皮してる』

これは…そうだ修学旅行…あーみん、そうか私たち喧嘩を…ッ!

ザザァッ

『はあ?こっちが水に流してやったのに-』

これは、私か…はは確かに酷い面…

ザザァッ

キラッと一面真っ白な雪景色のなかで何かが光を放ってる
私はそれがなにか、知っている
とても大切な、大切な物だってわかっているのに…なんで大切なのか、誰に貰ったものなのか…

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 02:08:26.05 ID:+nAxmNUSO [14/28]
「今日ぐらい、休んだっていいのよ?」

そうは言われても、学校には行かなくちゃ
行かないと何も進まないから
私の忘れている大切な何かを思いださないと…多分、もっと大事なものを失ってしまう事になる

昨夜は結局、いつのまにか事務所で眠ってしまって起きる気配のない私のために店長が私の家に連絡をしてくれたみたいで
学校へとむかう途中、ふとたちどまる
通学路がわからないってわけじゃない、それは朝起きた時には思い出していた
            ・・・
そうじゃなくて、-このいつもゅ交差点で-

いつもの…?私は、ここで何をしてたの?
なんで立ち止まるの?まるで、誰かを待っているみたいに…

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/04/24(土) 02:09:59.03 ID:+nAxmNUSO [15/28]
>>40
ずれたw

・・・
いつも



42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 02:18:42.12 ID:+nAxmNUSO [16/28]
「おう、おはよう櫛枝!気分はどうだ?」

「高須君、一人?」

一人?なんで私は高須君が一人って事が気になったの?
高須君は一瞬だけ、悲しそうな顔をして、でもすぐに笑う

「おう、一人だ!…行くか、遅刻しちまう」

「…そうだね」

この時の私はどんな顔をしてたのだろうか
少し歩いた所で高須君が口を開く

「その…ど、どうだ調子は、なんか思い出したか?」

私の元気があまりないことがわかったんだろう
隠していたつもりだったのになあ

「うん、北村君でしょ?あーみんも!う…私、あーみんと喧嘩してたんだわ、はは、衝撃の真実だよね」

「あ…そうだったな…いやまあ、大丈夫だろ」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 02:28:03.03 ID:+nAxmNUSO [17/28]
あまり大丈夫な気がしない

「なんで!?私は全然、第一、高須君の事だってまだちゃんと思い出せてない!まだ他にもたくさん………ごめん、逆ギレだよな」

「いや…でも、大丈夫だ」

「ッ!…だから、何が大丈夫なんだよ…ちっとも私には、大丈夫なんて…おも…」

しまった、油断した
泣かないって決めてたのに
あ、くそ…女の子だもん…って言いそびれた

「…思えないよ、そんな風に…怖いんだ忘れてたものが少しずつだけどぼんやり浮かびあがってきてさ…パズルみたいに思い出したことを一つ一つ嵌めていったら」

「…」

「外側のピースばっかりが埋まって…真ん中がぽっかりぬけてるんだぜ?…でもそれがどんなものなのか少しずつ…怖いんだっ…高須、君」

ードクン!ー

「『…直る!』」



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 02:38:31.72 ID:+nAxmNUSO [18/28]
クリスマスの少し前
櫛枝実乃梨は、恋をした
いや、多分違う
もっと、ずっと前から
…私は…

『時間がねえんだよ。おまえはおまえでちゃんとやれ。俺は俺で、おまえを手伝うんじゃなくて、俺のために、やってくから。』

あの時の星も、今の私の記憶のかけらも
ーそうだー

『…高須、くん…』

『おう』

『…高須くん、高須くん…』

『聞いてるよ』

『高須くん…』

『いるよ』

ちゃんと答えてくれた、全部に答えてくれた
臆病な私が恐る恐る差し出した手を、彼は
ちゃんと握り返してくれた
ー高須くんが、私は高須竜児に、恋をしていたー

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 02:47:55.90 ID:+nAxmNUSO [19/28]
思いだした…そう、だったんだ
私は…私は…

『ほら。見ろよ、綺麗だろ。壊れたってちゃんと直るんだ。だから元気だせよな』

『…元通りには、ならないよ…』

『でもちゃんと光ってる』

『…な、直るかどうか、私には、…わからない…っ』

『直る』

ーそうだ…大丈夫ー

『大丈夫。-直るんだ、何度でも』

ー大丈夫!ー

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 02:53:57.91 ID:+nAxmNUSO [20/28]
「高須、くん…」

「おう」

「へへ…高須くん…」

思いだしたよ。私、思い出したんだ
高須君の事ちゃんと
記憶のパズルが一気に埋まってくみたい
真ん中のぽっかりあいた穴が全部、埋まってく

「高須くん、私ね…」

ーズキンー



49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 03:06:19.57 ID:+nAxmNUSO [21/28]
何かがずっとひっかかる
私はそれに気付かない
ちがう、気付かないフリをした
ううん違う!高須君を思い出す前の私は
多分無意識に心の中でブレーキをかけたみたいに…
そうだよ、1番に思い出さなきゃ駄目なのに、よりによって最後なんだよ…
せっかく思い出したのに、好きだって思い出せたのに…

ーズキンー

『竜児は私のだぁあああああっ!誰も触るんじゃなぁあああああああああいっ!!』

大、河…

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 03:15:07.20 ID:+nAxmNUSO [22/28]
クリスマスイブ、パーティーのあった日の夜
私は、そうだ…私はあの日確信したんだ
自分の予想は外れてなかったって

ー大河も、高須君の事がー

『…竜児ぃぃぃぃぃーーーっっっ!』

泣きながら彼の名を叫ぶ親友をこの目で見たのだ
それはもう疑いようのない事実で
ごまかしようのない現実で
私は選択したんだ

大河のために、なにより自分のために

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 03:23:52.94 ID:+nAxmNUSO [23/28]
『それ、いいクマだね、高須くん』

『言いたいことばっか言ってごめん。…櫛枝は、これで帰ります』

大河みたいに泣きだしそうなのを我慢して
でも、それでもやっぱり我慢できなくて
ニットキャップで腕で必死に顔を隠して
私は…高須君を拒絶することを選んだ


「おい、おい櫛枝!」

「…ッ」

「痛むのか?」

まいった…ショックでかすぎて、声でねぇや…
格好悪いったらないよな…


確かに直ったよ高須くん…
一度壊れてもう一度直して…わかった
やっぱり、私には幽霊も、UFOも見えない方がいいみたい

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 03:33:36.15 ID:+nAxmNUSO [24/28]
「とにかく落ち着け櫛枝!ほら、深呼吸だ」

「すー、はー…あーあー、こちら櫛枝」

「おう、俺は高須だ」

「うん、思い出したよ……全部」

「そうか、よかった…本当に」

「大河の事も…大河は、学校?」

「おう、だろうな、そうそう弁当忘れていきやがったんだよアイツ」

そういいながら高須くんは手にさげたお弁当箱の入った袋を二つ見せる

そっか、なんでいなんでい、よろしくやってんじゃねーか!

「…妬けちゃうね」

「おう、だよな…思い出したか?」

だよな…って…ん?話がイマイチ噛み合ってない?

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 03:36:34.36 ID:+nAxmNUSO [25/28]
「何をいってるんだい?高須くん?」

「あれ?思い出したんだろ?大河と、---北村のこと---」

へ?


え、えぇぇぇーーっっっ!??


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 03:47:15.66 ID:+nAxmNUSO [26/28]
その時のショックで私は全てを
修学旅行のあの一件
大河を命懸けで救った北村君に大河がコロリとやられちまったこと
先に崖に下りた高須くんは転んで滑って落ちて全治二週間の捻挫プラス、インフルエンザ再度襲来、またも入院一週間

その間に何がおきたのやら高須君は知らないけど
私は知っている、お正月の大河の失恋大明神への祈りの真意をしった北村君は
大河に猛烈なアタック、そしてゴールイン

そんでもってあまりもの二人…

「あのさーあのさー高須くん」

「おう?」

「きっと大河は北村君と学食だと思うからその大河の分のお弁当私にくれないか?」

「お、おう!食おう…一緒に」



55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/04/24(土) 03:57:13.70 ID:+nAxmNUSO [27/28]
---この世界の誰一人、見たことがないものがある。
それは優しくて、とても甘い。
多分、見ることができたなら、誰もがそれを欲しがるはずだ。
だから、そう簡単には手に入れられないように、世界はそれを隠したのだ。
だけどいつかは、誰かがみつける。
手に入れるべきたった一人が、ちゃんとそれを見つけられる。

そういうふうになっている---
[ 2011/08/08 15:08 ] SS とらドラ | TB(0) | CM(0)





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